安全性 |
1. 食経験
GABAは野菜や果物に含まれており,トマトには 62.6 mg,ジャガイモには35.0 mg,ナスには20.0 mg,ブドウには23.2 mg,温州ミカンには28.9 mg(それぞれ100 gあたり)含まれることが報告されている 1)。また,現在までに販売されているGABA配合食品ではGABAが1日推奨摂取量として数十~数百mg配合されているが,これまでにこのようなGABA配合食品を原因とした大きな健康被害は報告されていない。
2. 既存情報による安全性調査結果
GABAの安全性について,研究報告データベースを検索した結果,日本人の健常者を被験者とした研究報告が3件見つかった。20~250 mgのGABAを配合した食品を4~12週間摂取した場合で,臨床上望ましくない検査値の変動は1例も認められなかった。
3. 安全性試験結果
本品の機能性関与成分であるGABAを含む原材料であるGABA含有米胚芽抽出物の安全性を評価した。
1)単回投与毒性試験
体重30 g前後のマウスにGABA含有米胚芽抽出物2000 mg/kg体重の用量で経口投与し,温度23±2℃,湿度50±10%,エサ,水自由摂取の条件下で14日間飼育しGABA未摂取群との比較を行った。その結果,異常な体重変化はみられず,また試験終了後の剖検においても臓器に異常は認められなかった。従って,マウスに対するGABA含有米胚芽抽出物のLD50値(投与した動物の半数が死亡する用量)は2000 mg/kg体重以上と考えられた。
2)変異原性試験(Ames試験)
サルモネラ菌株4種及び大腸菌株1種を用い,GABA含有米胚芽抽出物のAmes試験を行った。その結果50~5000 μg/plateの濃度において変異原性は認められなかった。
3)臨床試験
心療内科または精神神経科を受診した女性患者20名に対し,GABAを26.4 mg/day,連日8週間経口摂取させた。投与期間中にGABAの摂取による副作用と考えられる症状の悪化は一切認められなかった。また,血液検査においても異常変動は全く観察されなかった。
4. まとめ
以上より,機能性関与成分「GABA」を配合した本品は基本的な安全性に懸念はないと考えられる。
引用文献
1)横越英彦,広がりつつあるサプリメントを理解する -腎不全患者に活用するために[各論]GABA,臨床透析,24,1761-1763,2008 |
機能性 |
1. 標題
最終製品「ハーバルグッド 癒しのムーンミルク」に含有する機能性関与成分「GABA」によるデスクワークに伴う短時間の精神的ストレスを緩和する機能に関するシステマティックレビュー
2. 目的
健常者においてGABAの摂取は,GABAを含まない食品を摂取した場合と比較して精神的ストレスを緩和するか,システマティックレビューによって評価することを目的とした。
3. 背景
ストレスが原因で発症する疾患は数多く知られており,精神的ストレスを緩和したりリラックス状態を保つことは心身の健康維持に非常に重要であり,GABAのストレス緩和効果についても期待がもたれている。よってGABAを関与成分とした機能性表示食品を販売するにあたり,改めてその効果について検証するため本研究レビューを行った。
4. レビュー対象とした研究の特性
2016年2月26日に研究報告データベースを用いて関連研究を検索した。研究の適格基準は、査読付の無作為化試験(評価の偏りを避け,客観的に効果を評価するための試験方法)およびこれに準じる研究とし、研究の参加者は健常者であることとした。この検索より8報の研究をレビュー対象とした。
5. 主な結果
脳波(α波)のシグナル強度,VAS(主観的疲労感)スコア,唾液中クロモグラニンA量,唾液中コルチゾール量,副交感神経活動によって精神的ストレスを評価した結果,各指標においてGABAの摂取による有意な効果が確認された。これらの指標は,一般的に精神的ストレスの評価に採用されており,レビューの結果より28~100 mgのGABAの摂取によって精神的負荷に伴う短時間の精神的ストレスの緩和およびリラックス効果が示唆された。
6. 科学的根拠の質
本レビューでは科学的根拠の質は確保されていると評価したが、以下の点で限界も存在する。
1)研究方法やデータの解析方法についてバイアス(偏り)があり,正確な結果が出るような方法ではない可能性が否定できない。また,試験品の原料供給を担うメーカーが著者に含まれる等の利益相反も認められた。
2)健常な成人を対象者に設定しているため,病者に関しては本研究レビューの対象外である。
3)GABAの安全性については別の切り口での評価が必要である。
4)評価対象論文数は8報と少ないことから,今後更なる有効性の検証が必要である。
5)今後GABAの消化吸収を妨げる恐れのある成分が報告された場合は,その成分との配合には注意が必要である。 |