機能性 |
(ア)標題①:
難消化性デキストリン(食物繊維)を用いた健常成人に対する食後血中中性脂肪上昇抑制作用に関するシステマティックレビュー(メタアナリシス)
(イ)目的:
健常成人もしくは空腹時血中中性脂肪値がやや高めの成人に対して難消化性デキストリン(食物繊維)を摂取することにより、食後血中中性脂肪値の上昇抑制作用が見られるか検証することを目的とした。
(ウ)背景:
水溶性食物繊維の一種である難消化性デキストリン(食物繊維)は、平成27年9月4日時点で387品目の特定保健用食品に使用されており、「食後の血中中性脂肪値の上昇を抑制する」といった表示内容の許可を受けた特定保健用食品は16品目となっている。
(エ)レビュー対象とした研究の特性:
対象論文は、試験群として難消化性デキストリン(食物繊維)を含有した食品(または飲料)を使用し、対照群にプラセボ食品(または飲料)を用いている臨床試験とした。採用基準に従い内容を精査し9報が採用された。採用された論文はすべて日本国内で実施され、健常成人もしくは空腹時血中中性脂肪値がやや高めの成人を対象としていた。これは機能性表示食品を利用する集団と一致している。
(オ)主な結果:
レビュー対象とした論文は9報であった。食後血中中性脂肪値(2, 3, 4時間)に
ついてメタアナリシスを実施した結果、難消化性デキストリン(食物繊維)を食事
とともに摂取することで食後血中中性脂肪値(2, 3, 4時間)を有意に低下さ
せることが示唆された。また、食後血中中性脂肪値の濃度曲線下面積(吸収率の
指標)ついてもメタアナリシスを実施した結果、難消化性デキキストリン(食物繊
維)を食事とともに摂取することにより食後血中中性脂肪値の濃度曲線下面積(吸
収率の指標)を有意に低下させることが示唆された。
なお、9報のうち原データを確認できる論文1報について疾病に罹患していない者
(空腹時血中中性脂肪値150mg/dL未満の健常成人)のみで、層別解析を行い、別
途定性評価を実施した結果、健常成人に対しても同様に効果があることが確認さ
れた。摂取量は採用論文9報のうち7報が5g、1報が5.2g、1報が9gであった。
(カ)科学的根拠の質:
レビュー対象とした9報の論文の研究の質は高く、各アウトカムの総例数は321~470例と例数が多いことから評価に十分であると判断した。また、メタアナリシスによる統合効果は有意であったことから、科学的根拠の質は高いと考える。未公表論文を想定しても統合効果量は有意であり、公表バイアスの影響は小さいと判断した。本研究レビューの限界として、今後の研究により、システマティックレビューの結果が変わる可能性があるため、継続した調査や食事療法だけでなく、運動療法、その他生活習慣などとの交絡因子の影響について、さらなる研究が必要と考えられる。
(ア)標題②:
難消化性デキストリン(食物繊維)を用いた健常成人に対する食後血糖の上昇抑制作用に関する研究レビュー(メタアナリシス)
(イ)目的:
健常成人もしくは境界域血糖値の成人に対して難消化性デキストリン(食物繊維)を摂取することにより、食後血糖値の上昇抑制作用が見られるか検証することを目的とした。
(ウ)背景:
水溶性食物繊維の一種である難消化性デキストリン(食物繊維)は、平成27年9月4日時点で387品目の特定保健用食品に使用されており、「食後血糖値の上昇を抑制する」といった表示内容の許可を受けた特定保健用食品は190品目となっている。
(エ)レビュー対象とした研究の特性:
対象論文は、試験群として難消化性デキストリン(食物繊維)を含有した食品(または飲料)を使用し、対照群にプラセボ食品(または飲料)を用いている臨床試験とした。採用基準に従い内容を精査し、43報が採用された。
採用された論文はすべて日本国内で実施され、健常成人もしくは境界域血糖値の者を対象としていた。
(オ)主な結果:
レビュー対象とした43報の論文のうち、2報では、2つの研究が行われていたので、システマティックレビューに用いた研究数は45となった。食後血糖値(30分)と食後血糖値(60分)についてメタアナリシスを実施した結果、難消化性デキストリン(食物繊維)を食事と併用することによって、食後血糖値(30分)、並びに食後血糖値(60分)を有意に低下させることが示唆された。また、食後血糖値の濃度曲線下面積(吸収率の指標)についてもメタアナリシスを実施した結果、難消化性デキストリン(食物繊維)を食事と併用することによって、食後血糖値の濃度曲線下面積(吸収率の指標)を有意に低下させることが示唆された。43報の論文の難消化性デキストリン(食物繊維)の1回摂取量は4 ~16 gであり、食後血糖値の上昇抑制作用が期待できる推奨1回摂取目安量は、難消化性デキストリン(食物繊維)5 gが適切と考えられる。難消化デキストリン(食物繊維)を少なくとも1回摂取量4 g摂取した場合においても同様に食後血糖値の上昇抑制作用が期待出来るものと考えられる。
(カ)科学的根拠の質:
レビュー対象とした43報の論文の研究の質は高く、各アウトカムの総例数は、308~1,094例と例数が多いことから評価に十分であると判断した。また、メタアナリシスによる統合効果は有意であったことから、科学的根拠の質は高いと考える。未公表論文を想定しても統合効果量は有意であり、公表バイアスの影響は小さいと判断した。本研究レビューの限界として、今後の研究により、システマティックレビューの結果が変わる可能性があるため、継続した調査や食事療法だけでなく、運動療法、その他生活習慣などとの交絡因子の影響について、さらなる研究が必要と考えられる。
(ア)標題③:
難消化性デキストリン(食物繊維)を用いた健常成人に対する整腸作用に関するシステマティックレビュー(メタアナリシス)
(イ)目的:
健常成人あるいは便秘傾向の成人に対して難消化性デキストリン(食物繊維)を摂取することにより、整腸作用(便通改善作用)を示すかを確認することを目的とした。
(ウ)背景:
我が国における生活習慣病の患者数が増加している中で食物繊維が糖尿病、肥満といった疾患や生活習慣病に対する予防効果があると言われており、第6の栄養素としてその重要性が認識されている。その作用としては整腸作用や便通改善作用が挙げられる。難消化性デキストリン(食物繊維)はトウモロコシでん粉を起源とする食物繊維であり、これを含む当該製品はおなかの調子を整えたい健康な男女に向けた機能性表示食品にふさわしいものであると考えられる。そこで当該製品に含まれている難消化性デキストリン(食物繊維)の整腸作用に関するシステマティックレビューを実施した。
(エ)レビュー対象とした研究の特性:
4つの研究論文電子データベースを使用し、健常成人あるいは便秘傾向の成人を対象に難消化性デキストリン(食物繊維)を用いて整腸作用について調査したランダム化比較試験(RCT)を検索した。26報の論文のうち、1報では、2つの研究が行われていたので、システマティックレビューに用いた研究数は27となった。
(オ)主な結果:
本レビューにおける難消化性デキストリン(食物繊維)の一日摂取量は3.8~7.7 gであり、最少摂取量の3.8 gの摂取によっても「排便回数」および「排便量」において対照群との有意差が見られた。また、全ての研究における摂取量の中央値を算出したところ、一日摂取量は5 gであった。そこで、一日摂取量が5 g以下の低用量群と5 gを超える高用量群に分けてメタアナリシスを行ったところ、高用量群および低用量群のいずれにおいても「排便回数」および「排便量」で対照群との有意差が見られた。これらの結果より、整腸作用が期待できる難消化性デキストリン(食物繊維)の一日推奨摂取目安量は5 gと考える。
(カ)科学的根拠の質:
27研究の総例数は1,104例と十分な例数であった。効果のない論文が公表されていない可能性は否定できなかったが、未公表の論文を想定しても有意に効果が認められたことから重大な影響はないと判断された。
(構造化抄録) |