<魚由来コラーゲンペプチド>
●肌の角層水分量を維持する機能に関する研究レビュー
【目的】「健康な成人が(P)、魚由来コラーゲンペプチドを経口摂取した場合(I)、プラセボ食品を経口摂取した場合に比べて(C)、肌の角層水分量は高値を示すか(O)?」を検証すること。【背景】肌の主な外的ストレスである乾燥に抗するのは肌の表皮角質層で、水分を保持する力(保湿力)によって角質層に一定量の水分が保たれている。保湿力が低下すると角層水分量が低下し、角質層の柔軟性や粘弾性が失われ、肌の身体保護機能が低下する。このため、日常生活において、肌の角層水分量を保ち、肌の身体保護機能を維持することが重要である。本研究レビューでは、魚由来コラーゲンペプチドの摂取により肌の角層水分量が維持されるかを検証した。【レビュー対象とした研究の特性】複数の検索データベースを用いて関連文献を検索し、1次スクリーニングと2次スクリーニングにより目的に合致するランダム化プラセボ対照二重盲検比較試験文献1報を決定した。【主な結果】採用文献1は健康な女性(35歳から50歳)を対象に、コラーゲンペプチド(魚由来)と他成分(甘味料、酸味料、香料)を含む飲料、または、コラーゲンペプチドを含まず、その他成分は同等のプラセボ飲料を12週間摂取させていた。プラセボ群と比較してコラーゲンペプチド群において、頬および前腕屈側部の角層水分量の変化量が有意に高かった。【科学的根拠の質】バイアスリスクは低(0)、不精確は低(0)、非直接性は低(0)とした。非一貫性は、肯定的論文1報のため中/疑い(-1)とした。その他については、出版バイアスの評価が未実施のため中/疑い(-1)とした。エビデンスの強さは中(B)とした。肌の角層水分量維持に関する肯定的文献は1報と少ないことから、今後更なる有効性の検証が必要である。
●肌弾力性を維持する機能に関する研究レビュー
【目的】「健康な成人が(P)、魚由来コラーゲンペプチドを経口摂取した場合(I)、プラセボ食品を経口摂取した場合に比べて(C)、肌弾力性は高値を示すか(O)?」を検証すること。【背景】肌は身体を包んで身体を外的環境から保護する臓器であるが、加齢に伴い脆弱化していく。脆弱化した肌は菲薄化と弾力性低下を特徴としていることから、弾力性が低下した肌は、身体保護機能が低下した状態にあると言える。そこで、魚由来コラーゲンペプチドの摂取により肌弾力性が維持されるかを、研究レビューで検証した。【レビュー対象とした研究の特性】5つのデータベースから752報がヒットし、1次スクリーニングで62報に、2次スクリーニングでランダム化プラセボ対照二重盲検比較試験2報に絞り込まれた。査読付き英語文献であった。【主な結果】採用文献1は健康な女性(50歳から60歳)を対象としたコラーゲンペプチド(魚由来)またはプラセボの4週間摂取により、プラセボ群に比べコラーゲンペプチド群で、頬のR7(弾性戻り率)が有意に高かった。上腕内側のR7(弾性戻り率)では群間有意差はなく、介入の効果は、日光非露光部位の上腕内側より日光露光部位の頬で顕著であった。採用文献2は健康な女性(35歳から50歳)を対象としたコラーゲンペプチド(魚由来)とその他成分(甘味料、酸味料と香料)を含む飲料、または、プラセボ飲料(魚由来コラーゲンペプチドを含まずその他成分は同じ)を12週間摂取させたが、肌弾力の評価において群間有意差はなかった。肌弾力は、加齢に伴い低下し、さらに紫外線ストレスによる光老化で加速する。採用文献1と採用文献2の結果から、介入の効果は、弾力がより低下した肌で現れやすいと考えられた。【科学的根拠の質】バイアスリスクは低(0)、非直接性は低(0)、不精確は肯定的結果の採用文献1のサンプルサイズがやや小さかったことから中/疑い(-1)とした。非一貫性は、採用文献1と2の結果より中/疑い(-1)とした。その他については、出版バイアスの評価が未実施のため中/疑い(-1)とした。エビデンスの強さはB(中)とした。弾力維持に関する肯定的文献は1報と少ないことから、今後更なる有効性の検証が必要である。
●肌を紫外線刺激から保護する機能に関する研究レビュー
【目的】「健康な成人が(P)、魚由来コラーゲンペプチドを経口摂取した場合(I)、プラセボ食品を経口摂取した場合に比べて(C)、紫外線刺激による肌ダメージ(紅斑)が軽減されるか(O)?」を検証すること。【背景】肌の主たるストレスに太陽光の紫外線がある。紫外線に対する防御機能を超えた紫外線に晒されると、肌は障害を受け、肌の機能が低下する。このため、日常生活において紅斑を防ぐ事が重要となる。そこで、魚由来コラーゲンペプチドの摂取により紫外線刺激による肌ダメージ(紅斑)が軽減されるかを、研究レビューで検証した。【レビュー対象とした研究の特性】5つのデータベースから752報がヒットし、1次スクリーニングで62報に、2次スクリーニングでランダム化プラセボ対照二重盲検比較試験1報に絞り込まれた。【主な結果】採用文献1は、20歳以上59歳以下でスキンフォトタイプFitzpatrick分類ⅡまたはⅢの健康な日本人男性を対象とし、コラーゲンペプチド(魚由来)またはプラセボを4週間摂取させた。摂取前および摂取4週時点で、1.5 MED(最小紅斑量)の紫外線を背中に照射した前後で、紅斑として赤みa*値を測定していた。30歳以上でのサブグループ解析において、摂取前における紫外線照射後Δa*値に群間差はなかったが、摂取4週時点における紫外線照射後のΔa*値は、3日後に群間有意差が認められた。【科学的根拠の質】バイアスリスクは中/疑い(-1)、不精確はサンプルサイズが小さかったことから中/疑い(-1)、非直接性は低(0)とした。非一貫性は、肯定的論文1報のため中/疑い(-1)とした。その他については、出版バイアスの評価が未実施のため中/疑い(-1)とした。全体としてのエビデンスの強さはC(弱)とした。肌の障害(紅斑)の軽減に関する肯定的文献は1報と少ないことから、今後更なる有効性の検証が必要である。
<GABA>
●睡眠の質(眠りの深さ)に関する研究レビュー
【背景・目的】GABA摂取による日常生活における睡眠の質(眠りの深さ)改善効果について、検証することを目的とした。【レビュー対象とした研究の特性】データベースを検索し、健康成人対象でGABA・プラセボ摂取時を比較した試験で脳波を評価している文献を2報採用し評価した。【主な結果】GABA摂取(100 mg/日)の効果として、採用文献2報で、深い睡眠時間が有意に増加(p<0.05)した。また1報では、ストレス状況や疲労感の違いによる層別解析を実施した場合、一時的な疲労感やストレスをより強く感じている人のノンレム睡眠ステージ3の時間が、GABA摂取時はプラセボ摂取時と比較して有意に増加した。【科学的根拠の質】論文のバイアスリスクの評価では、採用論文は低度であった。調査対象とした論文はRCT論文であり、科学的根拠の質は高いと考えられる。
●一時的な精神的ストレスや疲労感を緩和する機能に関する研究レビュー
【背景・目的】日常生活における精神的ストレス負荷後の一時的な疲労感に対してGABA摂取の機能性の検証を目的とした。【レビュー対象とした研究の特性】データベースを検索し、健常な日本人成人を対象とし、GABA・プラセボ群を比較した試験である11報の文献を評価した。【主な結果】一時的なストレスや疲労感を評価する指標「主観的指標(VAS、POMS)、客観的指標(唾液中のコルチゾール・クロモグラニンA、脳波の変動、自律神経活動の各指標)」により評価した。結果、28mg以上のGABA摂取は精神的ストレス負荷後の一時的な疲労感が有意に緩和した。【科学的根拠の質】バイアスリスクの評価では、自律神経活動は「低」、主観的疲労感(VAS、POMS)、脳波の変動は「中」、唾液中ストレスマーカー(クロモグラニンA、コルチゾール)は「高」とした。エビデンスの強さは主観的疲労感(VAS、POMS)、脳波の変動、自律神経活動は中(B)、唾液中ストレスマーカー(クロモグラニンA、コルチゾール)は弱(C)と評価した。脳波の変動や自律神経活動においては、評価文献が少ないことから、さらなる効果の検討が望まれる。 |