【標題1】
機能性関与成分「ショウガ由来ポリフェノール(6-ジンゲロール、6-ショウガオール)」を含む食品の摂取による、皮膚表面温度が維持される機能性に関するシステマティックレビュー
【目的】
ショウガ由来ポリフェノール(6-ジンゲロール、6-ショウガオール)を含む食品の摂取により、気温や室温が低い際に、末梢部位の皮膚表面温度が維持される機能性について評価するために、システマティックレビュー(SR)を実施した。
【背景】
ショウガに含まれるショウガ由来ポリフェノール(6-ジンゲロール、6-ショウガオール)は、摂取することでエネルギー消費量を増加させ体熱産生を促す効果が報告されており、「冷え」の改善に期待ができる。しかしながら、ショウガ由来ポリフェノール(6-ジンゲロール、6-ショウガオール)の摂取による身体を温める効果が知られている一方で、健常成人を対象にしたショウガ由来ポリフェノール(6-ジンゲロール、6-ショウガオール)の摂取が、皮膚表面温度に及ぼすSRの報告はない。
そこで本研究レビューでは、健常成人が、ショウガ由来ポリフェノール(6-ジンゲロール、6-ショウガオール)を含む食品の摂取により、気温や室温が低い際に、皮膚表面温度を維持する機能性が発現されるのかを検証した。
【レビュー対象とした研究の特性】
データベースとしては、国内データベースとして「J-DreamⅢ」、海外データベースとして「PubMed」を用いて調査を行った。ショウガ由来ポリフェノール(6-ジンゲロール、6-ショウガオール)を含む食品の効果を正確に評価するため、検索対象期間の特定を行わず、情報源のデータベースに登録されている全期間を対象とした。
PICOSに該当する論文を対象とした結果、5報を採用文献とした。なお、採用文献と除外文献はともにAとBが独立して実施した後、2者で照合を行い、不一致の場合は協議の上で決定した。最終的にはCが確認を行うことでデータの収集を完了させた。
【主な結果】
健常成人男性及び女性(日本人)で実施された二重盲検ランダム化並行群間比較試験、ランダム化クロスオーバー試験、プラセボ対照比較試験において、ショウガ由来ポリフェノール(6-ジンゲロール、6-ショウガオール)を0.677~6.21mg含む食品の摂取により、少し肌寒く感じる環境において(気温や室温が低い際に)、末梢部位(手の指先、手首、額)の皮膚表面温度が維持されることが示されていた。末梢部位(手の指先、手首、額)の皮膚表面温度を維持する効果は、ショウガ由来ポリフェノール(6-ジンゲロール、6-ショウガオール)がTRPV1(Transient Receptor Potential cation channel subfamily V member 1)を活性化し、交感神経を介したエネルギー消費量の亢進やCGRP 放出の促進による血流量の増大が起こることで体熱産生が引き起こされる機序であると考えられることから、性別や年齢に限定されず、健常成人全般に適用できると考えられる。
以上のことから、ショウガ由来ポリフェノール(6-ジンゲロール、6-ショウガオール)を2.35mg摂取することで、少し肌寒く感じる環境において(気温や室温が低い際に)、末梢部位の皮膚表面温度が維持されると考えられた。
【科学的根拠の質】
・データベースとしては、国内データベースとして「J-DreamⅢ」、海外データベースとして「PubMed」を用いて調査を行った。従って、日本語および英語以外の言語で書かれた文献についての検索はできていない。
・採用文献では、1報を除いてUMIN-CTRの事前登録に関する記載がないことから、出版バイアスを完全に否定することはできない。
以上より、ショウガ由来ポリフェノール(6-ジンゲロール、6-ショウガオール)を摂取することにより、気温や室温が低い際に、末梢部位の皮膚表面体温が維持されることから、表示しようとする機能性は適切であると考えられる。
【標題2】
機能性関与成分「ジンジャーエキス(指標成分:6-ショウガオール、6-ジンゲロール)」を含む食品の摂取による、便秘気味の健常成人の排便回数を増やす機能性に関するシステマティックレビュー
【目的】
ジンジャーエキスを含む食品の摂取により、便秘気味の健常成人の排便回数を増やす機能性について評価するために、システマティックレビュー(SR)を実施した。
【背景】
近年、慢性的に便通異常を自覚する人が増加している。厚生労働省の国民生活基盤調査(2016年度)によると、便秘の自覚症状がある人は約450万人にのぼるとされている。特に高齢者は、腸の蠕動運動が弱まって便秘を発症する人が増加する傾向にある。さらに、幼年期の運動不足によって若年層にも便秘を自覚する人が増加しており、それらを正常に戻すことが望まれている。他方、ジンジャーエキスに含まれる6-ショウガオールはtransient receptor potential ankyrin1(TRPA1)と呼ばれるCa2+チャネルの一種を刺激し、そのTRPA1が腸クロム親和性細胞に刺激を与えることでセロトニンを放出させ腸運動を調節することが報告されている。しかしながら、健常成人を対象にしたジンジャーエキスの摂取が、排便回数に及ぼすSRの報告はない。そこで、健常成人の排便回数を増やす効果について、ジンジャーエキスを含む食品の摂取による影響を確認するため、本SRを実施した。
【レビュー対象とした研究の特性】
海外データベースとして「PubMed」、「Google Scholar」、国内データベースとして「J DreamⅢ」を用いて調査を行った。ジンジャーエキスを含む食品の効果を正確に評価するため、検索対象期間の特定を行わず、情報源のデータベースに登録されている全期間を対象とした。
PICOSに該当する論文を対象とした結果、1報を採用文献とした。なお、採用文献と除外文献はともにAとBが独立して実施した後、2者で照合を行い、不一致の場合は協議の上で決定した。最終的にはCが確認を行うことでデータの収集を完了させた。
【主な結果】
1.採用文献(1報)
21歳以上75歳以下、週の排便回数が3~5回の健常な男女でランダム化比較試験を実施した。ジンジャーエキスを含む食品を4週間摂取した結果、排便回数について介入群および対照群それぞれの試験前後の変化量を比較すると、介入群で有意に増加することが示されていた。
よって、ジンジャーエキスを含む食品を摂取することによって、便秘気味の健常成人の排便回数が増加すると考えられた。
【科学的根拠の質】
採用文献(1報)は、ランダム化比較試験であり、全体のバイアス・リスクは「低」と判定した。非直接性は、適合基準に合致しており、「低」と判定した。不精確は、該当する採用文献が1報であるため、「中」と判定した。非一貫性は、該当する採用文献が1報であるため、「中」と判定した。よって、健常成人の便通を改善する効果については「エビデンスの強さA(強)」と判定した。
以上より、ジンジャーエキスを含む食品を摂取することにより、便秘気味の健常成人の排便回数が増加することから、表示しようとする機能性は適切であると考えられる。 |