●体重、体脂肪、内臓脂肪、血中中性脂肪、ウエスト周囲径の減少をサポー卜し、高めのBMI値の改善に役立つ機能
【標題】機能性関与成分「エラグ酸」を含む食品の摂取による、健常成人の体重、体脂肪または血中中性脂肪を低下させる機能性に関するシステマティックレビュー
【目的】エラグ酸を含む食品の摂取により、健常成人の体重、体脂肪または血中中性脂肪を低下させる機能性について評価するために、システマティックレビューを実施した。
【背景】健常成人が、エラグ酸を含む食品の摂取により、体重、体脂肪または血中中性脂肪を低下させる機能性が現れるのかを検証した。
【レビュー対象とした研究の特性】国内外のデータベースを用いて調査を行い、PICOSに該当する2報を採用論文とした。
【主な結果】
(1報目):40歳~59歳、BMIが25kg/m2以上30kg/m2未満の健常な男女でランダム化比較試験を実施した。アフリカマンゴノキから抽出したエラグ酸(3mg/日)を含む食品を12週間摂取した結果、体重、体脂肪、血中中性脂肪、内臓脂肪、ウエスト周囲径、BMI値について介入群および対照群それぞれの試験前後の変化量を比較すると、介入群で有意に減少することが示されていた。
(2報目):30歳~59歳、BMIが20kg/m2以上30kg/m2未満の健常な男女でランダム化比較試験においてエラグ酸(47mg/日)を含むザクロ果皮抽出物を12週間摂取した結果、血中中性脂肪について介入群および対照群それぞれの試験前後の変化量を比較すると、介入群で有意に減少することが示されていた。
以上のことから、エラグ酸(3mg/日)を摂取することによって、健常成人の体重、体脂肪、血中中性脂肪、内臓脂肪、ウエスト周囲径、BMI値が減少すると考えられた。
【科学的根拠の質】採用文献2報は、ランダム化比較試験であり、全体のバイアスリスクは「低」と判定した。非直接性は、適合基準に合致しており、「低」と判定した。不精確および非一貫性は、体重、体脂肪、BMI、ウエスト周囲径、内臓脂肪について該当する採用文献が1報であるため、「中」と判定した。血中中性脂肪について該当する採用文献が2報ともに肯定的な結果であったため、「低」と判定した。よって、健常成人の体重、体脂肪、血中中性脂肪、内臓脂肪、ウエスト周囲径、BMI値を低下させる効果については「エビデンスの強さA(強)」と判定した。よって信頼性は高いと判定した。
●冷えにより低下した血流(末梢血流)を正常に整え、冷えによる末梢(手足)の皮膚表面温度の低下を軽減する機能
【標題】「ヒハツ由来ピペリン類」摂取によって、冷えにより低下した血流(末梢血流)を正常に整え、冷えによる末梢の皮膚表面温度の低下を軽減する機能に関する定性的研究レビュー
【目的】健康な方に対する「ヒハツ由来ピペリン類」摂取の効果についてレビューし、効果の有無を総合的に評価した。
【背景】健康な方がヒハツ由来ピペリン類を摂取した場合における冷えによる血流(末梢血流)および皮膚表面温度の低下を軽減する効果について研究レビューを行い、検証した。
【レビュー対象とした研究の特性】国内外のデータベースを使用して論文を検索し、基準に合致した文献1報(ランダム化二重盲検プラセボ対照クロスオーバー試験)を研究レビューの対象とした。
【主な結果】上記文献は健康な日本人成人女性が、ヒハツ由来ピペリン類120μg含有ヒハツ抽出物を摂取することで、プラセボを摂取した場合と比較して、冷水負荷後の末梢血流量および手(末梢)の皮膚表面温度が統計学的に有意に高くなっており(p<0.05)、冷えにより低下した血流(末梢血流)を正常に整え、冷えによる末梢(手足)の皮膚表面温度の低下を軽減する効果が認められていた。
【科学的根拠の質】ヒハツ由来ピペリン類(120μg)の摂取は、冷えにより低下した血流(末梢血流)を正常に整え、冷えによる末梢(手足)の皮膚表面温度の低下を軽減する機能があることが確認された。上記文献は手での評価だが、末梢における皮膚表面温度の維持・回復機能に関する構造は手足で共通であり、足先等のその他の末梢部位に対しても効果が確認されていることから、末梢(手足)として差し支えないと考えられた。採用した文献は1報のみであり、非一貫性や出版バイアスの精査には至らなかったたが、日本人対象のランダム化比較試験の報告であることから信頼性は高いと考えられた。
●脚のむくみが気になる健常な女性の夕方の脚のむくみ(病的ではない一過性のむくみ)を軽減する機能
【標題】「ヒハツ由来ピペリン類」摂取によって、病的ではない一過性の脚のむくみを軽減する機能に関する定性的研究レビュー
【目的】健康な方に対する「ヒハツ由来ピペリン類」摂取の効果を、プラセボとの比較で検証した研究をレビューし、効果の有無を総合的に評価した。
【背景】ヒハツ由来ピペリン類について、病的ではない一過性の脚のむくみを軽減する効果について研究レビューを行い、その科学的エビデンスの確認を行った。
【レビュー対象とした研究の特性】国内外のデータベースを使用して論文を検索し、基準に合致した文献1報(ランダム化二重盲検プラセボ対照クロスオーバー試験)を研究レビューの対象とした。
【主な結果】上記文献は脚のむくみを自覚する健康な日本人成人女性が、ヒハツ由来ピペリン類120μg含有ヒハツ抽出物を摂取することで、プラセボを摂取した場合と比較して、むくみの評価指標である体水分に対する脚の細胞外水分の比の、座位負荷による上昇を統計学的に有意に抑制しており(p =0.013)、一過性の脚のむくみを軽減する効果が認められていた。
【科学的根拠の質】ヒハツ由来ピペリン類(120μg)の摂取は、病的ではない一過性の脚のむくみを軽減する機能があることが確認された。採用した文献は1報のみであり、非一貫性や出版バイアスの精査には至らなかったが、日本人対象のランダム化比較試験の報告であることから信頼性は高いと考えられた。
●腸内環境を整えることで便通を改善する機能
【標題】有胞子性乳酸菌(W.coagulans SANK70258)の便通改善効果に関する研究レビュー
【目的】健常成人に対して、W.coagulans SANK70258を摂取することにより、プラセボ摂取時と比較して便通が改善するか明らかにする。
【背景】W.coagulans SANK70258は、1966年より食品用に販売され、以来、便通改善目的でも使用されている。しかし、これまで健常者に対するW.coagulans SANK70258の便通の改善機能を検証した研究レビューは報告されていない。
【レビュー対象とした研究の特性】2021年10月12日に検索を実施した。対象期間及び対象集団は指定していない。最終的に評価対象とした論文数は1報で、ランダム化二重盲検プラセボ対照並行群間比較試験で実施されていた。また、利益相反はなかった。
【主な結果】採用文献は、排便回数が比較的少ない(週3~5回)健常成人60名を対象に、W.coagulans SANK70258を1億個含むカプセルを、1日1回、2週間連続摂取した際の、ランダム化二重盲検プラセボ対照並行群間比較試験であり、対照群と比較して便通改善の効果が認められた。
【科学的根拠の質】日本語・英語以外の言語に対する出版バイアスや、症例減少バイアスの疑いが残されている。また、評価した論文は1報であり、研究間での結果のばらつき等が評価できないなどの問題は残るが、採用論文はランダム化二重盲検プラセボ対照並行群間比較試験であり、その他の試験でも内容を支持する結果が得られているため、今後の研究により現在の結果が大きく変わる可能性は低いと考えられる。 |