●GABA
(ア)標題:機能性関与成分GABAによる睡眠の質の改善の機能性に関するシステマティックレビュー
(イ)目的:睡眠の質が気になる健常者において、GABAの摂取により睡眠の質を改善するか検証することを目的としました。
(ウ)背景:アミノ酸の一種であるGABAは、GABA高含有発芽米などの生鮮食品に限らず、チョコレートなどの菓子類などにも配合され、広く認知度が上がってきている成分です。GABAの摂取はストレスの緩和されたリラックス状態にすることで眠りの質を改善することが期待され、ヒト試験による先行研究も行われています。今回はその効果を改めて検証するために研究レビューを行いました。
(エ)レビュー対象とした研究の特性:データベース3種の検索(検索日:2020年6月4日)により、34報の文献を抽出し、事前に設定された基準に基づいて選択した結果、最終的に2報が採用されました。うち1報は無作為化二重盲検プラセボ対照クロスオーバー試験であり、もう1報は無作為化単盲検プラセボ対照クロスオーバー試験で、いずれも日本国内で実施された試験でした。
(オ)主な結果:本研究レビューの結果より、ストレスや疲労感などの一時的な原因により、睡眠の質に問題を感じている対象者が、GABA 100mg/日の1~2週間摂取はノンレム睡眠時間を増加し、起床時の感覚の改善することが認められました。
(カ)科学的根拠の質:研究レビュー全体の限界として、文献の検索を英語と日本語のデータベースに絞ったことから、他言語での論文収集の網羅性の問題や出版バイアスの存在は否定できません。
(ア)標題:機能性関与成分GABAのストレスおよび疲労感の低減作用に関する研究レビュー
(イ)目的:健常成人がGABAを摂取することによって、プラセボを摂取する場合と比べて、精神的ストレスや疲労感を緩和するか、について検討することを目的としました。
(ウ)背景:アミノ酸の一種であるGABAは、GABA高含有発芽米などの生鮮食品に限らず、チョコレートなどの菓子類などにも配合され、広く認知度が上がってきている成分です。GABAには睡眠や血圧の改善に加えて、一時的な精神的ストレスや疲労感を緩和する効果があることが知られています。今回、その効果を改めて検証するために研究レビューを行いました。
(エ)レビュー対象とした研究の特性:データベース3種の検索(2023年5月11日検索)により抽出された36報と、ハンドリサーチの1報の文献の37報において、事前に設定した基準に基づいて選択した結果、最終的に6報が採用されました。採用された文献はいずれも査読付き論文で、日本人を対象としていました。また、採用した文献のうち2報が単盲検試験でした。
(オ)主な結果:GABA摂取30分前後、GABA 28mg以上の条件下でストレスマーカーの有意な低下が確認され、また、GABA摂取後30~60分、GABA 100mgでの条件下でα波の有意な増加が確認されました。自律神経活動においても、GABA28mg摂取後36.5~45分でリラックス状態(ストレスの緩和)が認められたことから、GABA 28mg以上の摂取後30~60分程度でストレスの緩和に関する機能性が確認されました。さらに、GABA摂取30分前後、GABA 28mg~50mgの条件において、主観的評価での疲労感の有意な低下が確認されました。
(カ)科学的根拠の質:アウトカムレベルの限界として、自律神経活動については1報しか採用していないため非一貫性が評価できなかったことが挙げられます。また、研究レビュー全体の限界としては、ファンネルプロットを用いなかったため出版バイアスを評価できなかったことが挙げられます。
●ロスマリン酸
(ア)標題:機能性関与成分「ロスマリン酸」による睡眠の質の改善作用に関するシステマティックレビュー
(イ)目的:健常者を対象に、ロスマリン酸の摂取による睡眠の質の改善作用について、ヒト試験論文のシステマティック・レビューを実施し、検証した。
(ウ)背景:厚生労働省が策定している「健康づくりのための睡眠ガイド2023」では、“睡眠は、こども、成人、高齢者のいずれの年代においても健康増進・維持に不可欠な休養活動である。〔中略〕日常的に質(睡眠休養感)・量(睡眠時間)ともに十分な睡眠を確保することにより、心身の健康を保持し、生活の質を高めていくことは極めて重要である。”とされている。睡眠に関する健康問題については“睡眠不足を含め、様々な睡眠の問題が慢性化すると、肥満、高血圧、2型糖尿病、心疾患や脳血管障害の発症リスクの上昇や症状の悪化に関連し、死亡率の上昇にも関与することが明らかとなっている。”と示されている。そのため、睡眠の質を改善することは健康維持にとって極めて重要であるといえる。ロスマリン酸はムラサキ科やシソ科によくみられる成分である。ロスマリン酸には、抗ウイルス作用、抗菌作用、抗炎症作用、抗酸化作用など、様々な健康促進効果が報告されている。
そこで本システマティックレビューでは、ロスマリン酸の摂取がプラセボ食品と比較した場合において、睡眠の質に対する作用が有効であるかどうかを検証した。
(エ)レビュー対象とした研究の特性:PubMed、Cochrane Library、医中誌Webを、情報源として用いるデータベースとして文献検索を行った(最終検索日2024年2月25日)。その結果、計50報の文献が検索され、採用基準で選抜した結果、計4報が採用された。最終的にその4報の文献を評価した。
(オ)主な結果:適格基準に合致した論文4報が採用され、各研究の定量的統合は行わず定性的な統合、評価を行った。合致した4報はロスマリン酸8~130.5 mg/日を含有する粉末またはカプセルを介入食品としたランダム化二重盲検プラセボ対照並行群間比較試験であった。健常者においてアウトカムの睡眠に関する指標がプラセボ食品と比較して被験食品で肯定的な結果が得られた。
(カ)科学的根拠の質:本研究レビューの結果、一定のバイアスリスクが認められるが、健常者によるロスマリン酸の摂取が、睡眠の質を改善する作用に関して肯定的な結果が得られていたため、エビデンス総体として肯定的な科学的根拠が認められると判断した。 |