【腸内環境】
1)標題
ビフィズス菌BB536摂取が排便状況および大腸の腸内環境に及ぼす影響の評価
2)目的
ビフィズス菌BB536を含む食品を摂取した時に、ビフィズス菌BB536のみを除いた食品を摂取した時と比較して、健康な成人の大腸の腸内環境(腸内細菌が作り出す腐敗産物である便中アンモニア量)や腸の調子(排便頻度)を良好にするかを明らかにするため研究レビューを実施しました。
3)背景
排便が滞るなど消化器官が正常に活動できなくなると、健康状態に関係する生活の質が低下するほか、大腸内で有害な腐敗産物が増加します。ビフィズス菌や乳酸菌の摂取が、正常な消化器官の活動を助ける可能性が報告されていますが、ビフィズス菌BB536についての研究レビューは報告されていません。
4)レビュー対象とした研究の特性
健康な成人を対象に、ビフィズス菌BB536を20億以上含む食品を1週間以上摂取、排便頻度と、大腸の腸内環境の指標として便中アンモニア量を比較調査した臨床試験を、国内外の5つの文献データベースで検索しました(2014年11月21日)。その結果、7つの文献が見つかり、これらの中に10個の試験結果が記載されていました。
5)主な結果
10個の試験では、ビフィズス菌BB536を20億~200億/日の用量で摂取していました。摂取排便頻度を調べた6つの試験では、1つが増加を示さなかったものの5つは増加を示し、これらを統計学的に統合した解析結果は増加を示しました。また、便中アンモニア量を調べた4つの試験(3文献)では、対照食品摂取群と比較して減少を示した試験は1つでしたが、その他2つの試験でもビフィズス菌BB536摂取時期における便中アンモニア量の減少傾向が示され、統計学的に統合した解析結果は減少を示しました。以上の結果から、20億/日でビフィズス菌BB536を含む食品を摂取することは、健康な成人の大腸の腸内環境を改善し、腸の調子を整えると考えられました。
6)科学的根拠の質
検索された10の試験のうち、2つが研究の精度が高いとされるランダム化比較試験で、8つが研究の精度が低いとされる非ランダム化比較試験でした。精度が低い試験も含めて評価したことから、評価の信頼性は限定されますが、試験結果に顕著なバラつきは認められず、評価結果は妥当だと判断されました。
【便通】
1)標題
ビフィズス菌BB536摂取と排便状況および大腸の腸内環境に及ぼす影響
2)目的
ビフィズス菌BB536の摂取が、健康な成人の大腸の腸内環境(腸内細菌が作り出す腐敗産物である便中アンモニア量)と便通(排便頻度)に及ぼす影響を、文献を網羅的に調べることで検討しました。
3)背景
排便が滞るなど消化器官が正常に活動できなくなると、健康状態に関係する生活の質(QOL)が低下するほか、大腸内でアンモニアなどの有害な腐敗産物が増加します。ビフィズス菌や乳酸菌の摂取が、正常な消化器官の活動を助ける可能性が報告されていますが、ビフィズス菌BB536が消化器官の活動に及ぼす影響について、文献を網羅的に調べた研究レビューはありません。
4)レビュー対象とした研究の特性
健康な成人に、ビフィズス菌BB536を20億個以上含む食品、またはビフィズス菌BB536のみを除いた対照食品を1週間以上摂取させ、排便頻度と便中アンモニア量を比較調査した文献を探しました。国内外の5つの文献データベースを検索したところ(2014年11月)、牛乳や発酵乳などの食品形態でビフィズス菌BB536を20億~200億個/日の用量で摂取した7つの文献が見つかり、これらの文献の中に10個のヒト試験の結果が記載されていました。
5)主な結果
排便頻度を調べた6つの試験結果は、1つが増加を示しませんでしたが5つが増加を示し、これらの結果を統計学的に統合した解析の結果は増加を示しました。排便頻度が増加した5つの研究は、排便頻度が少なめの参加者を対象としていました。また、便中アンモニア量を調べた4つの試験(3文献)の結果については、対照食品摂取群と比較して減少を示した研究は1つでしたが、その他2つの試験でもビフィズス菌BB536摂取時期における便中アンモニア量の減少傾向や摂取終了後の増加が見られました。これらの結果を統計学的に統合した解析の結果は、ビフィズス菌BB536摂取が便中アンモニア量を減少させることを示しました。これらの結果から、ビフィズス菌BB536を含む食品の摂取は、大腸の腸内環境を改善し、便秘気味の方の便通を改善すると考えられました。
6)科学的根拠の質
検索された10の試験のうち、2つが研究の精度が高いとされるランダム化比較試験で、8つが研究の精度が低いとされる非ランダム化比較試験でした。精度が低い試験も含めて評価したことから、評価の信頼性は限定されますが、試験結果に顕著なバラつきは認められず、評価結果は妥当だと判断されました。
【鼻の不快感】
1)標題
ビフィズス菌BB536の花粉、ホコリ、ハウスダストなどによる鼻の不快感に対する軽減作用の評価
2)目的
ビフィズス菌BB536を含む食品の摂取が、BB536を含まない食品を摂取した時と比較して健康な成人(アレルギー治療薬を常用していない軽症者を一部含む)の花粉、ホコリ、ハウスダストなどによる鼻の不快感を軽減するか明らかにするために研究レビューを実施しました。
3)背景
ビフィズス菌や乳酸菌の摂取は花粉、ホコリ、ハウスダストなどによる鼻の不快感を軽減する可能性が報告されていますが、ビフィズス菌BB536に関する研究レビューは報告されていません。
4)レビュー対象とした研究の特性
ビフィズス菌BB536を含む食品を摂取し、花粉、ホコリ、ハウスダストなどによる鼻の不快感を評価した文献を国内外の5つの文献データベースを用いて検索しました(2020年9月16日)。健康な成人またはアレルギー治療薬を常用していない成人(機能性表示食品の届出等に関するガイドラインの別紙2「鼻目のアレルギー反応関係」軽症者に該当)を対象とした4報の文献を取得しました。
5)主な結果
ビフィズス菌BB536を40億/日摂取した2報の文献のうちの1報で、鼻の不快感を有意に軽減すること、またもう1報でも花粉飛散期の鼻の不快感発現頻度が低下の方向性を示すことがそれぞれ示されました。ビフィズス菌BB536の1000億/日摂取した2報の文献のうちの1報では、花粉飛散期の鼻の不快感および総合的な不快感を軽減することが示されました。したがって、ビフィズス菌BB536を40億/日以上摂取することは、花粉、ホコリ、ハウスダストなどによる鼻の不快感の軽減に有効であることが示されました。
6)科学的根拠の質
レビューの対象とした研究は4つと多くなく、出版バイアスを評価できていないことは、研究限界であると考えられます。しかしながら、4つの研究は全て研究の精度が高いとされるランダム化比較試験であり、不快感は軽減の方向で一貫性があったことから、鼻の不快感を軽減するという評価結果は妥当であると判断されました。 |