血圧低下に関する機能性と抗ストレスに関する機能性の評価について下記に記します。
1. 標題
機能性関与成分GABAによる血圧降下の機能性に関するシステマティック・レビュー
2. 目的
正常血圧および血圧が高めの人(I度高血圧者含む)において、GABA配合食品を8週間以上の経口摂取は、プラセボ対照と比較して血圧を改善するかについて検証することを目的とした。
3. 背景
GABAの血圧降下作用について個々の研究は複数実施されているものの、研究成果全体をまとめたレビューは発表されていない。GABAを含んだ機能性表示食品を販売するにあたり、GABA配合食品の血圧降下作用について定性的システマティック・レビューにて評価した。
4. レビュー対象とした研究の特性
正常血圧および血圧が高めの人(Ⅰ度高血圧者含む)におけるGABA配合食品の8週間以上の経口摂取が,収縮期血圧および拡張期血圧を指標とした血圧の改善に与える影響に関する2016年3月16日以前に報告されている研究(日本語,英語問わない)を検索対象とした。設定した適合基準を満たした14研究について,システマティック・レビューを行った。対象文献はプラセボ対照比較試験で,査読付き雑誌であった。
5. 主な結果
14研究における対象は14~177例、摂取期間は8~16週、GABAの1日摂取量は10~120 mgであった。血圧が高めの人(I度高血圧者含む)において、12.3 mg~120 mg/日の GABA配合食品を8週間以上の経口摂取は血圧降下作用が認められた。健常成人のみを層別解析した結果,正常高値血圧者に対して血圧降下作用が認められた一方で,正常血圧者に対して影響が示されなかった。また安全性の問題は認められないと結論付けられた。
6. 科学的根拠の質
本研究に用いた論文の中には、研究デザインに不明な点があるものもあったが、ほぼすべての論文で、適切な被験者数で、かつ、本研究レビューの目的に合った条件で試験がなされており、直接的な科学的根拠として問題のないものであった。ただし,本研究には以下の限界も存在する。
①信頼性の高いプラセボ比較試験であったが,研究計画の事前登録や利益相反などの問題も存在するため,バイアスの混入は否定できない。また、メタアナリシスを行わず、公表バイアスは検出できなかった。
②摂取期間が最長でも16週間であるため,これ以上継続摂取した際の影響は不明である。
③評価対象論文数は14報と多くは言えないことから,今後更なる有効性の検証が必要である。
1. 標題
機能性関与成分「GABA」によるデスクワークに伴う短時間の精神ストレスの軽減およびリラックス作用に関するシステマティックレビュー
2. 目的
健常者においてGABAの摂取は,GABAを含まない食品を摂取した場合と比較して精神ストレスを軽減するか,またはリラックス作用をもたらすかについて,システマティックレビューによって評価することを目的とした。
3. 背景
ストレスが原因で発症する疾患は数多く知られており,精神的ストレスを軽減したりリラックス状態を保つことは心身の健康維持に非常に重要であり,GABAのストレス軽減効果についても期待がもたれている。よってGABAを関与成分とした機能性表示食品を販売するにあたり,改めてその効果について検証するため本研究レビューを行った。
4. レビュー対象とした研究の特性
2016年2月26日に研究報告データベースを用いて関連研究を検索した。研究の適格基準は、査読付の無作為化試験(評価の偏りを避け,客観的に効果を評価するための試験方法)およびこれに準じる研究とし、研究の参加者は健常者であることとした。この検索より8報の研究をレビュー対象とした。
5. 主な結果
脳波(α波)のシグナル強度,VAS(主観的疲労感)スコア,唾液中クロモグラニンA量,唾液中コルチゾール量,副交感神経活動によって精神ストレスを評価した結果,各指標においてGABAの摂取による有意な効果が確認された。これらの指標は,一般的に精神的ストレスの評価に採用されており,レビューの結果より28~100 mgのGABAの摂取によって精神的負荷に伴う短時間の精神ストレスの軽減およびリラックス効果が示唆された。
6. 科学的根拠の質
本研究レビューには以下の限界が存在する。
1)研究方法やデータの解析方法についてバイアス(偏り)があり,正確な結果が出るような方法ではない可能性が否定できない。また,試験品の原料供給を担うメーカーが著者に含まれる等の利益相反も認められた。
2)健常な成人を対象者に設定しているため,病者に関しては本研究レビューの対象外である。
3)GABAの安全性については別の切り口での評価が必要である。
4)評価対象論文数は8報と少ないことから,今後更なる有効性の検証が必要である。
5)今後GABAの消化吸収を妨げる恐れのある成分が報告された場合は,その成分との配合には注意が必要である。 |