(1)糖の吸収抑制
【標題】
難消化性デキストリンを用いた健常成人に対する糖の吸収抑制作用に関する研究レビュー(メタアナリシス)
【目的】
健常成人(空腹時血糖値126 mg/dL未満)に対して難消化性デキストリンの単回摂取がプラセボの単回摂取と比較して、糖の吸収抑制作用を示すかどうか検証した。
【背景】
難消化性デキストリンは、糖の吸収を抑制し食後血糖値の上昇抑制作用を有することがヒトを対象に実施された試験によって多数検証されているが、メタアナリシスによって検証された報告はない。そこで、健常成人に対して難消化性デキストリンの単回摂取が糖の吸収抑制作用を示すかどうかを明らかにするために、AUCをアウトカム指標として、メタアナリシスを含む研究レビューを実施した。
【レビュー対象とした研究の特性】
健常成人を対象に、「血糖濃度曲線下面積(AUC)」を評価指標としたランダム化比較試験(RCT)を対象とした。
【主な結果】
24報のRCT論文が抽出された。メタアナリシスの結果、難消化性デキストリン4.4~9.8 gを単回摂取することによって、対照群と比較して介入群がAUCを有意に低下させることが確認された
【科学的根拠の質】
それぞれのバイアスリスクより研究の質を総合的に評価したところ、バイアスリスクは低いと判断した。
(2)脂肪の吸収抑制
【標題】
難消化性デキストリンを用いた健常成人に対する脂肪の吸収抑制作用に関する研究レビュー(メタアナリシス)
【目的】
健常成人(空腹時血中中性脂肪値が200 mg/dL未満)に対して、難消化性デキストリンの単回摂取がプラセボの単回摂取と比較して脂肪の吸収抑制作用を示すかどうか検証した。
【背景】
難消化性デキストリンは、食後血中中性脂肪値の上昇抑制作用を有することが報告されているが、難消化性デキストリンの脂肪の吸収抑制作用について、メタアナリシスによって検証された報告はない。そこで今回、難消化性デキストリンの食後血中中性脂肪値の上昇抑制作用に関するシステマティックレビュー(メタアナリシス)を実施した。
【レビュー対象とした研究の特性】
空腹時血中中性脂肪値が200mg/dL未満の成人を対象に難消化性デキストリンを用いて食後血中中性脂肪値の上昇抑制作用について調査したランダム化比較試験(RCT)を対象とした。
【主な結果】
9報のRCT論文が抽出された。統計解析の結果、全ての評価項目において、対照群と比較して難消化性デキストリン摂取群が食後血中中性脂肪値を有意に低下させることが確認された。
【科学的根拠の質】
それぞれのバイアスリスクより研究の質を総合的に評価したところ、バイアスリスクは低いと判断した。
(3)食後血糖値の上昇抑制
【標題】
難消化性デキストリンを用いた健常成人に対する食後血糖値の上昇抑制作用に関するシステマティックレビュー(メタアナリシス)
【目的】
健常成人(空腹時血糖値126mg/dL未満)に対して難消化性デキストリンを摂取することにより、食後血糖値の上昇抑制作用が見られるかを検証した。
【背景】
日本では、難消化性デキストリンは、平成27年9月4日時点で387品目の特定保健用食品に使用されており、「食後血糖値の上昇を抑制する」といった表示内容の許可を受けた特定保健用食品は190品目となっている。
そこで今回、難消化性デキストリンの食後血糖値の上昇抑制作用に関するシステマティックレビュー(メタアナリシス)を実施した。
【レビュー対象とした研究の特性】
健常成人を対象に難消化性デキストリンを用いて「食後の血糖値」および「食後血糖値の濃度曲線下面積(AUC)」を検討したRCT(ランダム化比較試験)を対象とした。
【主な結果】
43報のRCT論文が抽出された。統計解析の結果、全ての評価項目において、対照群と比較して難消化性デキストリン摂取群が有意に食後血糖値を低下させることが認められた。さらに、難消化性デキストリン(食物繊維として)摂取量の中央値は5 gであった。
【科学的根拠の質】
バイアスリスクは、単盲検や脱落例があるために中程度と評価したが、各結果には一貫性があり、未公表論文を想定しても統合効果量は有意であったことより、重大な影響はないと判断した。
(4)食後血中中性脂肪の上昇抑制
【標題】
難消化性デキストリンを用いた健常成人に対する食後血中中性脂肪値の上昇抑制作用に関するシステマティックレビュー(メタアナリシス)
【目的】
空腹時血中中性脂肪値が200mg/dL未満の成人(空腹時血中中性脂肪値150mg/dL未満の健常成人および空腹時血中中性脂肪値150以上、200mg/dL未満の軽症者※)に対して難消化性デキストリンを摂取することにより、食後血中中性脂肪値の上昇抑制作用が見られるかを検証した。
【背景】
難消化性デキストリンは、食後血中中性脂肪値の上昇抑制作用を有することが報告されている。平成27年9月4日時点で「食後の血中中性脂肪値の上昇を抑制する」といった表示内容の許可を受けた特定保健用食品は16品目となっている。
【レビュー対象とした研究の特性】
空腹時血中中性脂肪値が200mg/dL未満の成人を対象に、難消化性デキストリンを用いて食後血中中性脂肪値の上昇抑制作用について調査したランダム化比較試験(RCT)を収集した。
【主な結果】
9報のRCT論文が抽出された。統計解析の結果、全ての評価項目において、対照群と比較して難消化性デキストリン摂取群が食後血中中性脂肪値を有意に低下させることが確認された。
【科学的根拠の質】
バイアスリスクは、ランダム化の方法についての記載のないこと、単盲検や脱落例があるために中程度と評価したが、各結果には一貫性があり、未公表論文を想定しても統合効果量は有意であったことより、重大な影響はないと判断した。
(5)整腸作用
【標題】
難消化性デキストリンを用いた健常成人に対する整腸作用(便通改善作用)に関するシステマティックレビュー(メタアナリシス)
【目的】
健常成人あるいは便秘傾向の成人に対して、難消化性デキストリンを摂取することにより整腸作用(便通改善作用)が見られるかを検証した。
【背景】
難消化性デキストリンは、便通および便性改善作用を持つことが報告されており、整腸作用を目的とした特定保健用食品は187品目となっている。
【レビュー対象とした研究の特性】
健常成人あるいは便秘傾向の成人を対象に難消化性デキストリンを用いて整腸作用について調査したランダム化比較試験(RCT)を収集した。
【主な結果】
26報のRCT論文が抽出された。統計解析の結果、「排便回数」「排便量」において、対照群と比較して難消化性デキストリン摂取群は有意な便通改善作用が認められた。
【科学的根拠の質】
バイアスリスクは、単盲検や脱落例があるために中程度と評価したが、各結果には一貫性があり、未公表論文を想定しても統合効果量は有意であったことより、重大な影響はないと判断した。 |