【ガレート型カテキン】
ア)標題
ガレート型カテキンによる体重、BMI、腹部脂肪(内臓脂肪、皮下脂肪)減少機能に関する研究レビュー
イ)目的
肥満気味の成人健常者を対象として、ガレート型カテキンの経口摂取による体重、BMI、腹部脂肪(内臓脂肪、皮下脂肪)の減少機能について評価しました。
ウ)背景
緑茶は、ポリフェノールの一種であるカテキンを豊富に含んでいます。茶カテキンには、遊離型であるカテキン、ガロカテキン、エピカテキン、エピガロカテキンの4種類とガレート型であるカテキンガレート、ガロカテキンガレート、エピカテキンガレート、エピガロカテキンガレートの4種類が含まれています。これまでの研究で、抗酸化作用、脂質代謝、糖代謝などにおいて様々な有効性が報告されています。
緑茶の脂質代謝への影響については、膵リパーゼ活性を阻害することが知られています。in vitroにおいて、ガレート型カテキンは膵リパーゼ活性を阻害しますが、遊離型カテキンは阻害しないことが示され、動物試験においても、ガレート型カテキンによる食後中性脂肪値の上昇抑制作用が報告されています。
このように、ガレート型カテキンはヒトに対して脂質代謝に影響を与える可能性があると考えられますが、健常者に絞って長期間摂取した際の体重、BMI、腹部脂肪(内臓脂肪、皮下脂肪)に対する機能を評価した研究レビューは少ないため、我々は健常者を対象に体重、BMI、腹部脂肪(内臓脂肪、皮下脂肪)に与える影響について、システマティックレビューの手法を用いた解析を実施しました。
エ)レビュー対象とした研究の特性
外国語及び日本語のデータベースを使用し、ランダム化比較試験(RCT)・準RCTを対象に検索をおこないました。対象の集団は、肥満気味の成人男女であり、最終的には10報の論文を採用しました。
オ)主な結果
評価対象の10報を評価した結果、体重、BMIでは7報が、内臓脂肪では8報が、腹部皮下脂肪、腹部脂肪では6報が肯定的であり、その有効性が認められていました。また、対象者は20~65歳の肥満気味の方を含む健常男女であったため、幅広い年代で男女の区別なく機能性を得られると判断しました。一日当たりのガレート型カテキンの摂取量は149.5~339.8 mgであり、摂取期間は12週間でした。したがって、totality of evidenceの観点から、ガレート型カテキンの摂取は、肥満気味の成人健常者の体重、BMI、腹部脂肪(内臓脂肪、皮下脂肪)の減少に関して肯定的であると判断しました。
本品は一日当たりの摂取目安量中にガレート型カテキンを150 mg含んでおり、体重、BMI、腹部脂肪(内臓脂肪、皮下脂肪)の減少が期待できると判断しました。
カ)科学的根拠の質
本研究レビューでは、ガレート型カテキンの摂取の効果について10報のRCT論文を評価しました。本研究レビューにおいて、全ての採用論文におけるバイアス・リスクは「低」であり、全研究のバイアス・リスクは低と評価しました。また、本研究レビューの限界として、10報中9報の採用論文において著者が所属する企業の試験食品を使用していたため、出版バイアスが存在する可能性があります。また、PubMed、The Cochrane Library、医中誌Webの3つデータベースを用いて、英語、和文の両方を検索していますが、網羅的に検索できているかという出版バイアスが存在する可能性はあります。
【バナバ葉由来コロソリン酸】
ア)標題
バナバ葉由来コロソリン酸による空腹時血糖値の低下に関する研究レビュー
イ)目的
成人健常者を対象として、バナバ葉由来コロソリン酸の摂取による空腹時血糖値の低下について評価を行った。
ウ)背景
バナバ(和名:オオバナサルスベリ、学名:Lagerstroemia speciosa)はミソハギ科の植物でインドネシアやタイなどの熱帯、亜熱帯地域に分布している。その葉は煮だし茶などの食材に用いられ、フィリピンでは糖尿病の治療のための民間薬として飲用されている。バナバの主成分であるコロソリン酸はトリテルペンの一種であり、糖尿病モデル動物およびヒト細胞試験から、細胞や体組織への糖の取り込みを促進し、血糖値を低下させる作用、食後の血糖値の急激な上昇を抑制する作用、肝臓での糖新生を抑制する作用等が報告されている。また、バナバ葉由来コロソリン酸の血糖値上昇抑制機能についてはヒトでの研究も行われている。しかし、それらを総合的に評価した報告は見られなかった。そこで、健常者(血糖値が高めの方を含む)がバナバ葉由来コロソリン酸を摂取したときの空腹時血糖値を低下させる機能について研究レビューを行い、その科学的エビデンスの確認を行うこととした。
エ)レビュー対象とした研究の特性
外国語及び日本語のデータベースを使用し、空腹時血糖値の低下について検討している論文の中からランダム化比較試験(RCT)を対象に検索を行った。対象の集団は、健常成人男女であり、最終的には1報の論文を採用した。
オ)主な結果
血糖値が比較的高値な被験者(空腹時血糖値100~125 mg/dL)を対象にバナバ葉由来コロソリン酸を摂取させ、プラセボ摂取と比較して、血糖値(空腹時血糖、HbA1c、)の有意な低下が認められていた。また、バナバ葉由来コロソリン酸の一日当たりの有効摂取量は、0.9 mgであった。
したがって、バナバ葉由来コロソリン酸の摂取は空腹時血糖値を低下させる作用に関して肯定的であると判断した。
本品はバナバ葉由来コロソリン酸を0.9㎎以上含んでおり、空腹時血糖値を低下させる効果が期待できると判断した。
カ)科学的根拠の質
本研究レビューでは、バナバ葉由来コロソリン酸摂取の効果について1報のRCT論文を評価した。本研究レビューの限界として論文数が1報しかないため、今後さらなる研究が必要と考えられる。また、PubMed、The Cochrane Library、医中誌Webの3つデータベースを用いて、英語、和文の両方を検索したが、網羅的に検索できているかという出版バイアスが存在する可能性がある。
【有胞子性乳酸菌(Weizmannia coagulans SANK70258)】
ア)標題
有胞子性乳酸菌(Weizmannia coagulans SANK70258)の便通改善効果に関する研究レビュー
イ)目的
健常成人に対して、Weizmannia coagulans SANK70258を摂取することにより、プラセボ摂取時と比較して便通が改善するか明らかにする。
ウ)背景
Weizmannia coagulans SANK70258は、1966年より食品用に販売され、以来、便通改善目的でも使用されている。しかし、これまで健常者に対するWeizmannia coagulans SANK70258の便通の改善機能を検証した研究レビューは報告されていない。
エ)レビュー対象とした研究の特性:
2021年10月12日に検索を実施した。対象期間及び対象集団は指定していない。最終的に評価対象とした論文数は1報で、ランダム化二重盲検プラセボ対照並行群間比較試験で実施されていた。また、利益相反はなかった。
オ)主な結果
採用文献は、排便回数が比較的少ない(週3~5回)健常成人60名を対象に、Weizmannia coagulans SANK70258を1億個含むカプセルを、1日1回、2週間連続摂取した際の、ランダム化二重盲検プラセボ対照並行群間比較試験であり、対照群と比較して便通改善の効果が認められた。なお、Bacillus coagulansはWeizmannia coagulansのシノニムであり、Bacillus coagulans SANK70258は本品の機能性関与成分と同一とみなせる。
カ)科学的根拠の質
日本語・英語以外の言語に対する出版バイアスや、症例減少バイアスの疑いが残されている。また、評価した論文は1報であり、研究間での結果のばらつき等が評価できないなどの問題は残るが、採用論文はランダム化二重盲検プラセボ対照並行群間比較試験であり、その他の試験でも内容を支持する結果が得られているため、今後の研究により現在の結果が大きく変わる可能性は低いと考えられる。 |