1.「コーヒー豆由来クロロゲン酸類には、肌の水分量を高め乾燥を緩和する機能が報告されています。」の機能性に関する評価
(ア)標題:コーヒー豆由来クロロゲン酸類の肌の乾燥に対する影響の定性的研究レビュー
(イ)目的:肌の乾燥が気になる疾病に罹患していない者に対する、コーヒー豆由来クロロゲン酸類の摂取が、コーヒー豆由来クロロゲン酸類を含まない対照食品の摂取と比較し、肌の乾燥を緩和するか、に対して定性的研究レビューで検証した。
(ウ)背景:コーヒー豆由来クロロゲン酸類には、肌の乾燥改善などの効果が報告されている。本研究レビューでは、コーヒー豆由来クロロゲン酸類の肌の乾燥を緩和する効果を検証するために定性的研究レビューを実施した。
(エ)レビュー対象とした研究の特性:3つのデータベースの開設時から検索日(2020年5月27日)までの情報を検索し、2報を採用論文とした。採用文献はともに、肌の乾燥が気になる健常な日本人成人女性を対象とし、コーヒー豆由来クロロゲン酸類含有食品を摂取させ、角層水分量を対照食品の摂取と比較したランダム化比較試験(RCT)(*)であった。採用文献2報とも、著者に試験食品製造元の社員が含まれていた。
(オ)主な結果:コーヒー豆由来クロロゲン酸類を摂取することで、肌の水分量を増加させることが示された。なお、コーヒー豆由来クロロゲン酸類の摂取による、安全性上の問題についての報告はなかった。
(カ)科学的根拠の質:採用文献が2報と少なく、出版バイアスの可能性も否定できないが、2報とも試験参加者が比較的多いRCTで、一貫してコーヒー豆由来クロロゲン酸類の摂取による肌の水分量を増加させる効果が認められていることから、肌の水分量を増加させる効果の科学的根拠は担保されていると考えられた。
2.「コーヒー豆由来クロロゲン酸類には、BMIが高めの方の体脂肪を減らす機能が報告されています。」の機能性に関する評価
(ア)標題:コーヒー豆由来クロロゲン酸類の体脂肪に対する影響の定量的研究レビュー(メタアナリシス**)
(イ)目的:疾病に罹患していない者に対する、コーヒー豆由来クロロゲン酸類を含む食品の摂取が、対照食品の摂取と比較して、体脂肪に及ぼす影響についてメタアナリシスで検証した。
(ウ)背景:コーヒー豆由来クロロゲン酸類の継続摂取には、体脂肪を低減させる作用が報告されている。本研究レビューでは、コーヒー豆由来クロロゲン酸類の体脂肪の低減効果を検証するためにメタアナリシスを実施した。
(エ)レビュー対象とした研究の特性:3つのデータベースの開設日から検索日(2020年4月6日)までの情報を検索し、2報を採用文献とした。採用文献はともに、日本人成人男女の疾病に罹患していない者(肥満1度)を対象とし、コーヒー豆由来クロロゲン酸類含有食品を摂取させ、腹部脂肪面積を対照食品摂取と比較したRCTであった。採用文献2報とも、著者に試験食品製造元の社員が含まれていた。
(オ)主な結果:メタアナリシスの結果、コーヒー豆由来クロロゲン酸類を継続摂取することで、対照食品摂取と比較して、体脂肪を反映(強く相関)する腹部脂肪面積が有意に低減することが示され、コーヒー豆由来クロロゲン酸類は体脂肪を低減させる効果を有することが示された。なお、コーヒー豆由来クロロゲン酸類摂取による安全性上の問題についての報告はなかった。
(カ)科学的根拠の質:採用文献が2報と少ないが、2報とも試験対象者の多い試験で、メタアナリシスで評価していることから、コーヒー豆由来クロロゲン酸類の体脂肪の低減効果の科学的根拠は担保されていると考えられる。
3.「コーヒー豆由来クロロゲン酸類には、睡眠の質(夜中の中途覚醒時間を減らす・起きた時の疲労感を減らす)を高める機能が報告されています。」の機能性に関する評価
(ア)標題:コーヒー豆由来クロロゲン酸類の睡眠の質に対する影響の定性的研究レビュー
(イ)目的:疾病に罹患していない者に対する、コーヒー豆由来クロロゲン酸類の摂取が、プラセボ(コーヒー豆由来クロロゲン酸類を含有しない)の摂取と比較し、睡眠の質を高めるか、に対して定性的研究レビューで検証した。
(ウ)背景:コーヒー豆由来クロロゲン酸類の経口摂取が睡眠の質に与える影響を検証するため、定性的研究レビューを実施した。
(エ)レビュー対象とした研究の特性:3つのデータベースの開設時から検索日(2019年12月17日)までの情報を検索し、2報を採用文献とした。採用文献はともに、疾病に罹患していない者を対象とし、コーヒー豆由来クロロゲン酸類含有食品、またはプラセボ(コーヒー豆由来クロロゲン酸類を含有しない)食品を摂取させ、睡眠の質を評価するRCTであった。採用文献2報とも、著者に試験食品製造元の社員が含まれていた。
(オ)主な結果:コーヒー豆由来クロロゲン酸類の摂取により、睡眠の質(中途覚醒時間、睡眠の効率、起床時疲労感、主観的睡眠の質、入眠するまでの時間)が有意に改善しており、コーヒー豆由来クロロゲン酸類の睡眠の質を改善する効果が示された。
(カ)科学的根拠の質:出版バイアスと不精確の疑いの可能性があるが、採用文献2報で一貫してコーヒー豆由来クロロゲン酸類の睡眠の質改善効果が示されていることから、コーヒー豆由来クロロゲン酸類の睡眠の質を高める機能性の科学的根拠は担保されていると考えられた。
4.「GABAには、仕事や勉強などによる一時的な精神的ストレスを緩和する機能が報告されています。」の機能性に関する評価
(ア)標題:GABAの精神的負荷による一時的な精神的ストレスに与える影響の定性的研究レビュー
(イ)目的:健康な成人日本人がGABAを含む食品またはGABAそのものを摂取した場合と、GABAを含まない食品を摂取した場合で、精神的負荷による一時的な精神的ストレスの緩和効果に違いがあるかどうかを検証することを目的とした。
(ウ)背景:GABAにはストレス緩和効果があることが知られている。GABAを配合した本機能性表示食品を販売するにあたり、GABA配合食品の機能について検証するため、本研究レビューを実施した。
(エ)レビュー対象とした研究の特性:データベース開設日から検索日(2021年3月16日)までの情報を対象に検索を行った。レビュー対象は、健康な成人を研究対象とした無作為化対照試験(GABAを含む食品を摂取する人とGABAを含まない食品を摂取する人を無作為に分け、それぞれの結果を照らし合わせて評価する試験)またはこれに準じる形の試験の査読付論文(専門家による審査を経た論文)とした。最終的に評価した論文は7報あった。利益相反(研究の結果に影響を与え得る利害関係)について、記述がない論文もあったが特に問題となるものはなかった。
(オ)主な結果:脳波、副交感神経活動、唾液中のクロモグラニンAおよびコルチゾール、主観的疲労感の各指標によりストレス、疲労感を評価した。これらの指標は一時的な精神的ストレス、疲労感を評価するのに一般的に用いられ、表示しようとする機能性を評価するのに適した指標である。結果として、28 mg~100 mgのGABAを含んだ食品は、GABAを含まない食品と比較して、精神的負荷による一時的な精神的ストレスや疲労感を緩和する有意な効果(統計学上、偶然ではなく意味のある効果)が認められた。
(カ)科学的根拠の質:収集した論文の中には、研究方法に偏り(バイアス)があり、結果が正しく出ない可能性があるものがあった。また、効果がないとする研究結果が論文として発表されていない可能性があった。これらの問題点は残るものの、ほぼすべての論文で、適切な被験者数で、かつ、本研究レビューの目的に合った条件で試験がなされており、本研究レビューで評価した論文は直接的な科学的根拠として問題のないものであった。ただし、効果があったとする論文中では被験者は28mg~100mgのGABAを摂取しており、この量以下の量を摂取する場合にはGABAの効果は確認されておらず注意が必要である。
*ランダム化比較試験(RCT):評価の偏りを避けて客観的に効果を評価できる試験方法で、信頼性の高い結果が得られるとされている試験方法。
**メタアナリシス:複数の研究の結果を統計学的に統合して効果を評価する方法。RCTのメタアナリシスは、最も質の高い根拠とされている。 |