1.高めの血圧を低下させる機能について
(ア)標題
ランダム化比較試験のメタアナリシスによる高血圧症に罹患していない日本人に対するラクトトリペプチド (VPP、IPP)の血圧低下効果の評価
(イ)目的
高血圧症に罹患していない日本の健常成人に対して、ラクトトリペプチド (VPP、IPP) を含む食品の摂取が、プラセボ食品の摂取と比較して、高めの血圧を有意に低下させる機能を有するかどうか検証することを目的とした。
(ウ)背景
ラクトトリペプチド(VPP、IPP)を含む食品は、特定保健用食品「カルピス酸乳/アミール S」などを通じて正常高値血圧者の血圧を有意に低下させることを検証し許可を得てきた。今回これを広く検証することが必要と考え研究レビューを実施した。
(エ)レビュー対象とした研究の特性
データベース4件について2018年5月22日まで検索され、対象期間はそれ以前、対象者は高血圧症に罹患していない日本の健常成人で、プラセボを対照としたRCTによりラクトトリペプチド (VPP、IPP) を含む食品を8日以上摂取した試験を選抜し、最終的に11報を評価した。主要評価項目は収縮期血圧の平均値差、副次評価項目は拡張期血圧の平均値差とした。
(オ)主な結果
ラクトトリペプチド (VPP、IPP) を含む食品の摂取により、収縮期血圧は-3.44㎜Hg(p<0.0001)、拡張期血圧は-1.50㎜Hg(p=0.006)プラセボと比較して低値を示し、高血圧症に罹患していない日本の健常成人の収縮期血圧および拡張期血圧を有意に低下させる機能を有することを確認した。また、1日摂取目安量4.8㎎(VPP換算)を含む範囲でもプラセボに対して収縮期血圧は有意な低値を示し、この1日摂取目安量が妥当であることを確認した。食品形態(飲料と錠剤)、原料製法(発酵と酵素分解)の効果をそれぞれ調べた結果、プラセボに対して収縮期血圧は有意な低値を示し、飲料および錠剤、また、発酵および酵素分解の原料において、それぞれ収縮期血圧を有意に低下させる機能を有することを確認した。
(カ)科学的根拠の質
すべてランダム化比較試験、全対象者581名のため、試験条件は均質でサンプル数は十分多く、統計解析により出版による偏りや結果のばらつきは認めなかったことから、科学的根拠の質は高いと評価した。研究の限界としては、出版されていない研究が結果に影響を与え、一部のサブグループ解析で人数がやや少ないことが挙げられる。
2.血管のしなやかさを維持する機能について
(ア)標題
本届出商品「アミールW」に含まれる機能性関与成分「ラクトトリペプチド(VPP、IPP)」の血管柔軟性の維持作用に関する定性的研究レビュー
(イ)目的
健常成人に対して、ラクトトリペプチド(VPP、IPP)を含む食品の摂取が、プラセボ食品の摂取と比較して、血管柔軟性の維持作用を有するかどうか検証することを目的とした。
(ウ)背景
ラクトトリペプチド(VPP、IPP)はヒトにおいて血圧低下作用のみならず、血管柔軟性に影響を与えることも複数報告されている。そこで今回、ラクトトリペプチド(VPP、IPP)を含む食品の摂取が健常成人の血管柔軟性の維持作用を有するか検証するため、研究レビューを実施した。
(エ)レビュー対象とした研究の特性
健常成人における、ラクトトリペプチド(VPP、IPP)の経口摂取による、血管柔軟性の維持に関する研究を検索対象とした。国内外のデータベースで2021年5月12日に検索し、日本人を対象とした査読付きRCT文献2報を採用文献とした。
(オ)主な結果
採用文献2報は、日本人の健常な中高年者を対象に1日当たりラクトトリペプチド(VPP、IPP)をVPP1.4mg、IPP2.0mg(VPP換算4.8㎎)又はVPP2.4mg、IPP4.3mg(VPP換算9.71㎎)摂取した場合の、血管柔軟性の評価指標である血流依存性血管拡張作用(Flow Mediated Dilation:FMD)を評価したものであった。いずれの文献も、プラセボとの比較で血流依存性血管拡張作用(FMD)において有意な群間差が認められたことから、血管柔軟性の維持作用について十分な根拠があると考え、本届出商品の1日摂取目安量をラクトトリペプチド(VPP、IPP)4.8mg(VPP換算)とした。
(カ)科学的根拠の質
これらの研究結果は、これまでの研究結果と矛盾しないものであり、非一貫性は小さい。また、データに不精確さもなく、いずれの試験もプラセボ対照二重盲検並行群間比較試験であり、直接性がある。一方で、出版バイアスについてはUMIN-CTRの活用が進んでいないことから、その可能性は否定できない。採用文献数が2報と少なくデータが十分でないため、今後の更なる研究が期待される。 |