◆ガレート型カテキン
ア)標題
ガレート型カテキンによる体重、BMI、腹部脂肪(内臓脂肪、皮下脂肪)減少機能に関する研究レビュー
イ)目的
肥満気味の成人健常者を対象として、ガレート型カテキンの経口摂取による体重、BMI、腹部脂肪(内臓脂肪、皮下脂肪)の減少機能について評価した。
ウ)背景
緑茶は、ポリフェノールの一種であるカテキンを豊富に含んでいる。茶カテキンには、遊離型であるカテキン、ガロカテキン、エピカテキン、エピガロカテキンの4種類とガレート型であるカテキンガレート、ガロカテキンガレート、エピカテキンガレート、エピガロカテキンガレートの4種類が含まれている。これまでの研究で、抗酸化作用、脂質代謝、糖代謝などにおいて様々な有効性が報告されている。
緑茶の脂質代謝への影響については、膵リパーゼ活性を阻害することが知られている。in vitroにおいて、ガレート型カテキンは膵リパーゼ活性を阻害するが、遊離型カテキンは阻害しないことが示され、動物試験においても、ガレート型カテキンによる食後中性脂肪値の上昇抑制作用が報告されている。
このように、ガレート型カテキンはヒトに対して脂質代謝に影響を与える可能性があると考えられるが、健常者に絞って長期間摂取した際の体重、BMI、腹部脂肪(内臓脂肪、皮下脂肪)に対する機能を評価した研究レビューは少ないため、我々は健常者を対象に体重、BMI、腹部脂肪(内臓脂肪、皮下脂肪)に与える影響について、システマティックレビューの手法を用いた解析を実施した。
エ)レビュー対象とした研究の特性
外国語及び日本語のデータベースを使用し、ランダム化比較試験(RCT)・準RCTを対象に検索をおこなった。対象の集団は、肥満気味の成人男女であり、最終的には10報の論文を採用した。
オ)主な結果
評価対象の10報を評価した結果、体重、BMIでは7報が、内臓脂肪では8報が、腹部皮下脂肪、腹部脂肪では6報が肯定的であり、その有効性が認められていた。また、対象者は20~65歳の肥満気味の方を含む健常男女であったため、幅広い年代で男女の区別なく機能性を得られると判断した。一日当たりのガレート型カテキンの摂取量は149.5~339.8 mgであり、摂取期間は12週間であった。したがって、totality of evidenceの観点から、ガレート型カテキンの摂取は、肥満気味の成人健常者の体重、BMI、腹部脂肪(内臓脂肪、皮下脂肪)の減少に関して肯定的であると判断した。
本品は一日当たりの摂取目安量中にガレート型カテキンを150 mg含んでおり、体重、BMI、腹部脂肪(内臓脂肪、皮下脂肪)の減少が期待できると判断した。
カ)科学的根拠の質
本研究レビューでは、ガレート型カテキンの摂取の効果について10報のRCT論文を評価した。本研究レビューにおいて、全ての採用論文におけるバイアス・リスクは「低」であり、全研究のバイアス・リスクは低と評価した。また、本研究レビューの限界として、10報中9報の採用論文において著者が所属する企業の試験食品を使用していたため、出版バイアスが存在する可能性がある。また、PubMed、The Cochrane Library、医中誌Webの3つデータベースを用いて、英語、和文の両方を検索しているが、網羅的に検索できているかという出版バイアスが存在する可能性はある。
◆ブラックジンジャー由来ポリメトキシフラボン
ア)標題
「ブラックジンジャー由来ポリメトキシフラボン」摂取による、日常活動時のエネルギー代謝において、脂肪を消費しやすくする機能性に関する研究レビュー
イ)目的
健常者に対する「ブラックジンジャー由来ポリメトキシフラボン」摂取の効果を、プラセボとの比較で検証した研究をレビューし、効果の有無を総合的に評価した。
ウ)背景
依然として肥満を低減することは重要な課題であり、肥満低減には代謝機能を改善し、体脂肪を消費することが重要である。日常活動時のエネルギー代謝において、脂肪の消費を高めることは肥満の予防に役立つと考えられる。
ブラックジンジャー由来ポリメトキシフラボンの脂肪消費に関する研究報告はあるが、包括的に整理する研究レビューはなかった。
エ)レビュー対象とした研究の特性
国内外のデータベースを使用して論文を検索し、基準に合致した文献1報(ランダム化比較試験)を研究レビューの対象とした。なお、本文献は丸善製薬株式会社が費用負担した研究であった。
オ)主な結果
上記文献はブラックジンジャー由来ポリメトキシフラボン12 mgの摂取による、日常活動時の呼吸商を評価しており、呼吸商の有意な低下が認められていた。呼吸商はエネルギー代謝における脂肪と糖の消費割合を示すことから、ブラックジンジャー由来ポリメトキシフラボン12mgには、日常活動時のエネルギー代謝において、脂肪を消費しやすくする機能を有する可能性が考えられた。
カ)科学的根拠の質
採用した文献は1報のみであったため、定性的な研究レビューを実施した。そのため、言語および定量性に関して研究の限界があるので、今後の研究結果が本研究レビューの結果に影響を与える可能性がある。今後の研究に注視することが必要ではあるが、ブラックジンジャー由来ポリメトキシフラボン12 mgの摂取は、日常活動時のエネルギー代謝において、脂肪を消費しやすくする機能に対する有効性に一定の根拠があると判断した。
◆有胞子性乳酸菌(Bacillus coagulans SANK70258)
ア)標題
有胞子性乳酸菌(Bacillus coagulans SANK70258)の便通改善効果に関する研究レビュー
イ)目的
健常成人に対して、有胞子性乳酸菌(Bacillus coagulans SANK70258)を摂取することにより、プラセボ摂取時と比較して便通が改善するか明らかにするため、研究レビューを実施した。
ウ)背景
有胞子性乳酸菌(Bacillus coagulans SANK70258)は、1949年に緑麦芽から分離され、1966年に食品用として販売を始めた。以来、便通改善目的でも使用されているが、これまで健常者に対する有胞子性乳酸菌(Bacillus coagulan SANK70258)の便通の改善機能を検証した研究レビューは報告されていない。
エ)レビュー対象とした研究の特性
2019年11月13日に検索を実施した。対象期間及び対象集団は指定していない。最終的に評価対象とした論文数は1報で、ランダム化二重盲検プラセボ対照並行群間比較試験で実施されていた。また、利益相反はなかった。
オ)主な結果
リサーチクエスチョンと適格基準に適合するエビデンスとして1報の文献を採用した。採用文献では、排便回数が比較的少ない(週3~5回)健常成人男女60名を対象に、有胞子性乳酸菌(B. coagulans SANK70258)を1億個含むカプセルを、1日1回、2週間連続摂取した際の、ランダム化二重盲検プラセボ対照並行群間比較試験を実施していた。具体的には排便回数や排便日数、腸内フローラパターンを評価した試験で、便通改善の効果が認められた。
カ)科学的根拠の質
日本語・英語以外の言語に対する出版バイアスや、症例減少バイアスの疑いが残されている。また、評価した論文は1報であり、研究間での結果のばらつき等が評価できないなどの問題は残るが、採用した論文はランダム化二重盲検プラセボ対照並行群間比較試験であり、その他の試験でも内容を支持する結果が得られていることから、今後の研究により現在の結果が大きく変わる可能性は低いと考えられる。 |