●ビルベリー由来アントシアニン
【標題】
ビルベリー由来アントシアニン摂取による目の機能改善に関する研究レビュー
【目的】
健常成人に対してビルベリー由来アントシアニンを摂取させ、ピント調節機能、目の潤い、目の疲労感、目の使用による一時的な首・肩の負担に対する改善効果について、検証する。
【背景】
ビルベリー(Bilberry、学名Vaccinium myrtillus)はツツジ科スノキ属の低木で北欧を中心に自生する野生種のブルーベリーである。アントシアニンを含有するビルベリー抽出物は健康食品として目の機能改善効果が期待されているが、本成分の目の機能改善効果について総合的なレビューがないため検証した。
【レビュー対象とした研究の特性】
生物・医学・科学技術に関する英語及び日本語文献データベース(DB)にて検索を実施しVDT作業に従事する健常者を対象とした3報のRCT論文を抽出した。その論文の内2報の論文著者には試験品に配合したビルベリー抽出物の製造会社社員が含まれている。
【主な結果】
健常成人に対してビルベリー由来アントシアニン57.6mg/日(ビルベリー抽出物として160mg/日)の摂取は目のピント調節機能、目の潤いをサポートし、目の疲労感を緩和し、目の使用による一時的な首・肩の負担を軽減する機能を有することが確認できた。また摂取に起因する有害事象は認められなかった。
【科学的根拠の質】
エビデンス全体のバイアスリスクは低程度、非直接性はなし、不精確は中程度、非一貫性はないと評価し、レビュー結果は信頼できると考えられる。なお本商品中のビルベリー抽出物は2報の採用文献での試験品と同等性が担保されている。
●GABA
【標題】GABAの摂取が、日常生活における一時的に落ち込んだ気分に与える機能性に関する研究レビュー
【目的】健康な成人日本人男女にGABAを含む食品を摂取させ、一時的な気分の落ち込みに影響を与えるかについて検証する。
【背景】精神的・身体的負荷が増大することは十分な休息を得ていれば負担にはならないが、一定期間十分な休息を得ずに継続した場合は、一時的に気分が落ち込むことが考えられる。GABAは、デスクワークなどを主体とする精神負荷作業における一時的なストレスや疲労感の緩和、睡眠の質改善効果、一時的な活気・活力感の維持・改善について報告がある。そこで本レビューでは、日常生活において一時的に気分が落ち込んでいる人に対するGABAの摂取効果について網羅的に文献を検索し機能性について検討した。
【レビュー対象とした研究の特性】英語、日本語の医学論文DBを検索、精査し、健康な成人日本人男女を対象とし、GABA摂取群とプラセボ群を比較した試験デザインであり、一時的な感情状態を評価する指標としてPOMS2-ASを評価している文献を選抜、1報の査読付論文を採用し評価した。
【主な結果】評価論文1報では、日常生活で一時的に気分が落ち込んでいる(うつ病や慢性疲労症候群の疾患ではない)健康な日本人成人男女が、GABA100mg/日を継続的に摂取した場合に、プラセボを摂取した場合に比べてPOMS2-AS「活気―活力」の指標が有意に改善されたことを報告している。
POMS2-ASは気分の主観的側面の評価に用いられており、POMS2-AS「活気―活力」は、Positive Moodに該当する尺度であるため、和訳により「前向きな気分」と表現した。
本結果から、GABAを摂取することは日常生活において一時的に気分が落ち込んでいる人の前向きな気分を改善する効果があると評価し、この効果を消費者に分かりやすく伝えるため「一時的に落ち込んだ気分を前向きにする」と表現した。
【科学的根拠の質】論文のバイアスリスクは低度であった。調査対象とした論文は査読を実施したRCT論文であることから科学的根拠の質は高いと考えられる。本レビューの限界として、論文数が少ないこと、バイアスリスクが完全に否定できなかったことが挙げられる。
【標題】GABAの、デスクワークなどの精神的ストレスがかかる作業によって生じる一時的な疲労感の緩和効果に関する研究レビュー
【目的】健康な成人日本人男女にGABAを含む食品を摂取させ、デスクワークなどの精神的ストレスがかかる作業によって生じる一時的な疲労感の緩和効果に影響があるかどうかを検証する。
【背景】GABAのデスクワークなどを主体とする精神負荷作業における疲労感の緩和について報告があるが網羅的に評価された文献はなかった。そこで精神的ストレスがかかる作業後の疲労感を緩和する機能性について検証するため本レビューを行った。
【レビュー対象とした研究の特性】外国語文献検索にはPubMed、英語文献検索にはThe Cochrane Libraryを用い2016年7月1日に検索を実施した。日本語文献は、医中誌Web、J-DreamⅢを用い2016年7月3日に検索を実施した。文献を精査し、健常な日本人成人を対象とし、プラセボ群と比較した試験デザインである7報の文献を評価した。利益相反に関して申告がない論文もあったが特に問題となるものはなかった。
【主な結果】主観的疲労感(精神的ストレス)としてVASおよびPOMS、唾液中のコルチゾールおよびクロモグラニンA、さらに、脳波の変動、自律神経活動の各指標により精神的ストレスや疲労感を評価した。これらの指標は一時的な精神的ストレスや疲労感を評価する指標として広く用いられ、表示しようとする機能性を評価するのに適した指標である。結果は、28~100mgのGABAを摂取することで、摂取しない時と比較して勉強や仕事などによる一時的な精神的ストレスや疲労感を緩和する効果が確認された。なお副作用など摂取に起因する有害事象はみられなかった。
【科学的根拠の質】調査対象論文のバイアスリスクの評価では、採用論文7報中1報が中程度、他は低度であった。エビデンスの一貫性など特に問題は認められず、科学的根拠の質は高いと考えられる。本レビューの限界として、報告数、被験者数ともに少ないことから、バイアスの存在が完全に否定できないことが考えられる。
【標題】GABA摂取による睡眠の質改善機能に関する研究レビュー
【目的】健康な成人男女にGABAを含む食品を摂取させ、日常生活における睡眠の質(眠りの深さ)に対する影響があるかどうかを検証する。
【背景】主観的ストレス、緊張感が多い人に睡眠問題の有症率が高く、ストレスが高いことやそれにうまく対処できないことは不眠症のリスクを高めてしまう。一時的および日常的なストレスを緩和することは睡眠に関する諸問題の解決に有効と考えられる。GABA摂取により、精神的ストレスがかかる作業における一時的な疲労感を軽減することや、睡眠の質を改善することが報告されている。
本研究レビューでは、GABA摂取による日常生活における睡眠の質(眠りの深さ)を改善する効果について網羅的に検索し機能性について検討した。なお評価方法として、当該分野において学術的に広くコンセンサスが得られている客観的評価法(脳波計)を用いている文献のみを採用した。
【レビュー対象とした研究の特性】英語、日本語の医学論文DBを検索、精査し、健康な成人男女を対象とし、GABA摂取時とプラセボ摂取時を比較した試験デザインであり、脳波(ノンレム睡眠時間)を評価している文献として2報を採用し評価した。
【主な結果】健康な成人男女に対するGABA摂取(100mg/日)の効果として、採用文献2報で深い睡眠時間の有意な増加(p<0.05)を示している。また1報では、ストレス状況や疲労感の違いによる層別解析を実施した場合に、一時的な疲労感やストレスをより強く感じている人のノンレム睡眠ステージ3(最も深い眠り)の時間が、GABA摂取時はプラセボ摂取時と比較して有意に増加した。被験者はいずれも健常な範囲の人であることから、GABAは健康な成人男女において睡眠の質(眠りの深さ)を向上させる機能を発揮すると評価した。
【科学的根拠の質】論文のバイアスリスクの評価は低度であった。調査論文は査読を実施したRCT論文で客観的評価指標である脳波であるため科学的根拠の質は高いと考えられる。本レビューの限界として、論文数が少ないこと、バイアスリスクが完全に否定できなかったことが挙げられる。 |