■該当する評価する機能性の項目
「年齢とともに低下する認知機能の一部である判断力(情報を適切に判断する力)の維持や、血中中性脂肪を低下させる機能、高めの血圧を下げる働きがあります。」
【標題】
DHA、EPA の摂取が認知機能、血圧、中性脂肪に与える影響について
【目的】
本研究は、成人健常人にDHA、EPA 含有食品を12 週間経口摂取させることにより、プラセボ食品摂取と比較して、認知機能や循環器機能へどのような影響を与えるか検証することを目的とした。
【背景】
虚血性心疾患や脳血管障害をはじめとする動脈硬化性の心循環系疾患(CVD)は、今や日本の死因の30%にも達し、今後も上昇すると予想される。n-3 脂肪酸の一種で、魚油などに含まれる不飽和脂肪酸であるDHA(ドコサヘキサエン酸)とEPA(エイコサペンタエン酸)はCVD 発症リスク因子である血中中性脂肪、血圧などを有意に低下させる作用を持つことは様々な研究において報告されているが、健常な被験者を対象とした試験はほとんど見当たらない。また、近年、幾つかn-3 脂肪酸の摂取による脳神経へ与える影響に関する研究報告がされ、DHA とEPA の健康へ与える影響が期待されている。
【方法】
「対象者の特性」
n-3 系脂肪酸摂取量が比較的少ない50歳以上70歳以下の健康な日本人男女66名を対象とした。
「研究デザイン」
評価をするにあたり先入観や思い込みが生じないようにするため、無作為化、二重盲検、プラセボ対照、並行群間比較試験とした。
「摂取条件」
被験食:精製魚油含有食品、機能性関与成分:DHA、EPA
摂取量:DHA 544mg/日、EPA 59.2 ㎎/日(1日4カプセル*1)
対照食:精製魚油未含有食品(精製魚油の代わりにオリーブ油を配合、1日4カプセル)
摂取期間:12 週間
*1 臨床試験では「4粒」を「4カプセル」という表記にしている。
「利益相反」
著者の一部は当社従業員である。また、試験の実施は第三者機関によって行われ、当社は試験費用を負担した。
【主な結果】
対象者は被験食群と対照食群、それぞれ33 名ずつとした。内、被験食群5名、対照食群7名は解析対象除外基準に該当する等の理由で、試験から脱落もしくは除外した。対象者に、被験食または対照食を12 週間摂取してもらい、摂取前後における血圧測定、血液検査、認知機能検査を実施した。その結果、被験食群では、摂取前と比較して、摂取後は血圧、中性脂肪ともに減少し、認知機能検査の一部(Stroopテストのステップ3)において低下し、このことは認知機能(判断能力)の上昇を示唆した。また、「特定保健用食品申請に係る申請書作成上の留意事項」に記載される軽症者が被験者に含まれていたことから、軽症者を除いた疾病に罹患していない範囲(収縮期血圧130mmHg 未満、拡張期血圧85mmHg 未満及び血中中性脂肪150mg/dL 未満)の被験者のみを対象とした層別解析を行ったところ、疾病に罹患していない被験者のみの層においても機能性を支持する結果を得た。なお、これらは対照食群と比較して有意な変化を示した。また、疾病に罹患していないが血圧が高めの範囲(正常高値以下、収縮期血圧140mmHg 未満、拡張期血圧90mmHg 未満)の被験者のみを対象とした層別解析においても機能性を否定しない結果であった。本試験において健康への悪影響は認められなかった。
【科学的根拠の質】
本試験は、n-3 系脂肪酸摂取量が比較的少ない健常な日本人成人男女を対象にした点が研究の限界として挙げられる。n-3 系脂肪酸摂取量が比較的少ない健康な日本人成人男女の循環器機能の改善、並びに中高齢者の認知機能改善が期待できる。(構造化抄録)
■該当する評価する機能性の項目
「DHA には、認知機能の一部である記憶力(数字や文字などを覚える力)を維持する機能があることが報告されています。」
【標題】
DHA による認知機能に関する研究レビュー
【目的】
誰に P) :疾病に罹患していない成人に
何をすると I) :DHA を摂取させることは
何と比較して C) :プラセボ摂取、もしくはDHA 摂取なしと比較して
どうなるか O) :認知機能に対する効果が認められるか
研究デザイン S):ランダム化比較試験(RCT)
【背景】
認知機能に対する DHA の効果については、数多くの報告がある。しかし、疾病に罹患していない成人に着目して研究成果全体をまとめたレビューは限られている。
そこで、これまでの国内外の知見を精査し、標題の研究レビューを行った。
【レビュー対象とした研究の特性】
文献の検索は、RCT(対象者をランダムに2 つのグループに分け、一方は評価しようとするもの、もう一方には対照となるものを摂取させて比較する臨床試験)であること、DHA を摂取させる試験であること、疾病に罹患していない成人を対象としていることを条件に実施した(最終検索日2016/8/2)。なお本研究レビューは、届出者以外の第三機関が実施した。
【主な結果】
認知機能の一部である「記憶」および「判断・実行」において群間比較によるDHA摂取の有効性は、それぞれ7 報の文献で認められた。これらの文献における1 日当たりのDHA 摂取量は480~1720mg であった。また、効果が認められた試験は、提示された数、ことば、図形などの情報を覚え込み、維持した情報を思い出して、思い出したことが正しいか確認するといった一連の脳内の作業を評価していた。当該製品は一日当たりの摂取目安量中にDHA 544 mg を含む食品であり、同等量以下で効果が認められた採用文献があることから「記憶」に関するサポート効果が期待できるものと判断した。その文献知見に基づき、本製品の表示しようとする機能性は、「DHA には、認知機能の一部である記憶力(数字や文字などを覚える力)を維持する機能があることが報告されています。」とした。
【科学的根拠の質】
採用文献の各種バイアス・リスク(偏りの危険性)は中程度、エビデンス(科学的根拠)の強さは中(B)と評価した。
幅広い年代の男女で機能が認められていた。また、効果を認められた文献のうち日本で実施された研究報告は3 報あり、当該機能性において人種間に差異が認められるとした報告も無いため、日本人への外挿性(結果の日本人への適用)に問題はないと考えられる。ただし、本研究レビューの限界として、サンプリングバイアスや言語バイアスが完全には否定できないことが挙げられる。 |