1.血糖値の抑制機能について
【標題】難消化性デキストリンを用いた健常成人に対する食後血糖値の上昇抑制作用に関するシステマティックレビュー(メタアナリシス)
【目的】健常成人に対して、難消化性デキストリンを摂取することにより、食後血糖値の上昇抑制作用が見られるか確認する。
【背景】糖尿病患者数の増加は、超高齢社会を迎えた日本において極めて深刻な問題のひとつとなっている。糖尿病に罹患しないためには、食事療法などによる食後血糖値のコントロールが非常に重要であると言われている。なかでも、食物繊維の摂取による2型糖尿病の発症リスクの改善効果が報告されており、食物繊維が有する血糖値調節効果が期待されている。なお、難消化性デキストリンは、平成27年9月4日時点で387品目の特定保健用食品に使用されており、「食後血糖値の上昇を抑制する」といった表示内容の許可を受けた特定保健用食品は190品目となっている。
【レビュー対象とした研究の特性】PubMed、Cochrane Library、医中誌Web、CiNii Articlesの4つの電子データベースを使用し、空腹時血糖値が126 mg/dL未満の成人を対象に難消化性デキストリンを用いて食後血糖値の上昇抑制作用について調査したランダム化比較試験(RCT)を収集した。そのうちの条件を満たした文献(43報)にて、「食後血糖値30 分」、「食後血糖値60 分」および「食後血糖値の濃度曲線下面積(AUC0-120min)」を評価指標としてメタアナリシスを実施した。
【主な結果】メタアナリシスを行った43報において、統計解析の結果、全ての評価項目において、対照群と比較して難消化性デキストリンが有意に食後血糖値を低下させることが確認された。難消化性デキストリン(食物繊維)摂取量の中央値は5gであった。
【科学的根拠の質】バイアスリスク、非直接性、不精確、非一貫性、公表バイアスを評価した結果から、全てのアウトカムのエビデンスの強さはA(強い)と判断された。また、今後の研究によっては、システマティックレビューの結果が変わる可能性があるため、継続した調査が必要である。また、食事療法だけでなく、運動療法、その他生活習慣などとの交絡因子の影響について、継続した研究が必要と考えられる。
2.血中中性脂肪の抑制効果について
【標題】難消化性デキストリンの食後血中中性脂肪上昇抑制作用に関するシステマティックレビュー(メタアナリシス)
【目的】空腹時血中中性脂肪値が200mg/dL未満の成人に対して難消化性デキストリンを摂取することにより、食後血中中性脂肪値の上昇抑制作用が見られるか確認する。
【背景】高血圧、脂質異常症、糖尿病などの生活習慣病は動脈硬化疾患や虚血性心疾患を誘発する要因となっており、特に脂質異常症は動脈硬化の危険因子であることから、食生活の改善などによる一次予防が望まれている。そのため、食後血中中性脂肪値の上昇を抑制する食品素材が注目されており、そのなかで難消化性デキストリンは、食後血中中性脂肪値の上昇抑制作用を有することが報告されている。なお、難消化性デキストリンは、平成27年9月4日時点で387品目の特定保健用食品に使用されており、「食後の血中中性脂肪値の上昇を抑制する」といった表示内容の許可を受けた特定保健用食品は16品目となっている。
【レビュー対象とした研究の特性】PubMed、Cochrane Library、医中誌Web、CiNii Articlesの4つの電子データベースを使用し、空腹時血中中性脂肪値が200mg/dL未満の成人を対象に難消化性デキストリンを用いて食後血中中性脂肪値の上昇抑制作用について調査したランダム化比較試験(RCT)を収集した。そのうちの条件を満たした文献(9報)にて、「食後血中中性脂肪値(2,3,4 時間)」および「食後血中中性脂肪値の濃度曲線下面積(AUC0-6h)」を評価指標としてメタアナリシスを実施した。
【主な結果】メタアナリシスを行った9報において、統計解析の結果、全ての評価項目において、対照群と比較して難消化性デキストリンが有意に食後血中中性脂肪値の上昇抑制作用を低下させることが確認された。難消化性デキストリン(食物繊維として)5gを食事とともに摂取すると、食後血中中性脂肪値の上昇を抑制すると考えられた。
【科学的根拠の質】バイアスリスク、非直接性、不精確、非一貫性、公表バイアスを評価した結果から、全てのアウトカムのエビデンスの強さはA(強い)と判断された。また、今後の研究によっては、システマティックレビューの結果が変わる可能性があるため、継続した調査が必要である。また、食事療法だけでなく、運動療法、その他生活習慣などとの交絡因子の影響について、継続した研究が必要と考えられる。
3.便通の改善機能について
【標題】難消化性デキストリンを用いた健常成人に対する整腸作用(便通改善作用)に関するシステマティックレビュー(メタアナリシス)
【目的】健常成人あるいは便秘傾向の成人に対して難消化性デキストリンを摂取することにより、整腸作用(便通改善作用)が見られるか確認する。
【背景】生活習慣病の患者数が増加しているなか、食物繊維が糖尿病、肥満といった疾患や生活習慣病に対する予防効果があると言われており、第6の栄養素としてその重要性が認識されている。そのなかで難消化性デキストリンは、便通および便性改善作用を持つことが報告されている。なお、難消化性デキストリンは多くの特定保健用食品にも使用されており、令和元年6月19日時点で387品目の特定保健用食品に使用されている。そのうち、整腸作用を目的とした商品は187品目となっている。
【レビュー対象とした研究の特性】PubMed、Cochrane Library、医中誌Web、CiNii Articlesの4つの電子データベースを使用し、健常成人あるいは便秘傾向の成人を対象に難消化性デキストリンを用いて整腸作用について調査したランダム化比較試験(RCT)を収集した。そのうちの条件を満たした文献(26報)にて、「排便回数」および「排便量」を評価指標としてメタアナリシスを実施した。
【主な結果】メタアナリシスを行った26報において、統計解析の結果、「排便回数」「排便量」の評価項目において、対照群と比較して難消化性デキストリン群で有意な便通改善作用が認められた。難消化性デキストリン(食物繊維として)摂取量の中央値は5gであった。
【科学的根拠の質】バイアスリスク、非直接性、不精確、非一貫性、公表バイアスを評価した結果から、全てのアウトカムのエビデンスの強さはA(強い)と判断された。また、今後の研究によっては、システマティックレビューの結果が変わる可能性があるため、継続した調査が必要である。また、食事療法だけでなく、運動療法、その他生活習慣などとの交絡因子の影響について、継続した研究が必要と考えられる。 |