機能性 |
血圧低下作用に関する機能性の評価
【ア.標題】
最終製品お茶の実 CP(シーピー)に含有する機能性関与成分 GABAによる”血圧が高めの健常者の血圧を低下させる機能”に関するシステマティックレビュー
【イ.目的】
健常成人(妊産婦、授乳婦は除く)を対象としてGABAの摂取が高めの血圧を低下させる作用を有するか検証する。
【ウ.背景】
現代社会において、生活習慣病は大きな問題となっている。特に成人の 3 人~4 人に 1 人程度が生活習慣病の 1つである高血圧と考えられている。高血圧は心筋梗塞や脳卒中など重篤な病気を引き起こす要因となるため、食事の改善や運動などにより日常から適正な血圧を維持することが重要とされる。このような背景から適正な血圧を維持する効果を持つ機能性食品の開発が行われ、そのひとつとして GABA を配合した食品がある。GABA は血圧が高めの健常者の血圧を下げる効果があるとされているが、改めてその効果について検証するため、「GABA を含む食品の摂取が、血圧が高めの健常者の血圧を低下させるか」というリサーチクエスチョンに基づき、本研究レビューを実施した。
【エ.レビュー対象とした研究の特性】
検索日:2020年3月9日
対象データベース:PubMed, The Cochrane Central Register of Controlled Trials (CENTRAL), JDreamⅢ, UMIN-CTR(未発表研究検索)
検索対象期間:検索日までの全期間
対象集団の特性:健常成人(妊産婦、授乳婦は除く)
評価に用いた文献:11報
研究デザイン:ランダム化並行群間比較試験、ランダム化クロスオーバー試験、準ランダム化比較試験
【オ.主な結果】
適格基準に合致する研究として 11 報の研究が該当した。これらの研究では血圧を評価する指標として収縮期血圧および拡張期血圧が用いられ、一日当たり12.3 mg~80 mg の GABA の摂取で収縮期血圧および拡張期血圧がプラセボと比較して有意に低下するとする研究が多数を占めた。
【カ.科学的根拠の質】
エビデンス総体の評価として、収縮期血圧および拡張期血圧の各アウトカムともにバイアスリスクが中程度あり、出版バイアスの疑いが排除できないが、非直接性、不精確は低リスクであることを総体的に考慮し、示唆的なエビデンスの質があると判断された。また、採用文献には報告バイアスが不明であり、有効性の確認できなかった研究が報告されていないリスクがあった。したがって、介入の効果を過大評価せず慎重に評価する必要があり、また、今後の研究の動向について継続的に情報収集し検証する必要があると考えられる。
精神的ストレス・疲労感軽減作用に関する機能性の評価
【ア.標題】
最終製品お茶の実 CP(シーピー)に含有する機能性関与成分 GABA
によるストレス緩和の機能性に関するシステマティックレビュー
【イ.目的】
健常成人(妊産婦、授乳婦は除く)を対象としてGABAの摂取が精神的ストレス・疲労感を軽減する作用を有するか検証する。
【ウ.背景】
平成 29 年の厚生労働省労働安全衛生調査(参考文献 No.1)によると、現在の仕事や職業生活に関することで、強いストレスとなっていると感じる事柄がある労働者の割合は 58.3%となっている。ストレスはさまざまな精神的、肉体的疾病の原因とも言われていることから、ストレス状態を改善し心身をリラックスした状態に保つことは健康の維持に寄与するものであると考えられる。ストレスの緩和や、リラクゼーション効果に関する研究についても複数報告されているが、研究レビューとして GABA のストレス緩和効果を検証した報告はこれまでにない。そこで、リサーチクエスチョン「GABA を含む食品の摂取が健常者のストレスを緩和するか」を検証するために本研究レビューを実施した。
【エ.レビュー対象とした研究の特性】
検索日:2019年1月29日
対象データベース:PubMed, The Cochrane Central Register of Controlled Trials (CENTRAL), JDreamⅢ, UMIN-CTR(未発表研究検索)
検索対象期間:検索日までの全期間
対象集団の特性:健常成人(妊産婦、授乳婦は除く)
評価に用いた文献:7報
研究デザイン:ランダム化並行群間比較試験、ランダム化クロスオーバー試験、準ランダム化比較試験
【オ.主な結果】
適格基準に合致する研究として 7 報の研究が該当した。これらの研究においてストレスを評価する指標である脳波(α 波)、副交感神経活動、唾液中クロモグラニン A、唾液中コルチゾール、疲労感の主観的評価を用いた評価により、 28 mg~100 mg の GABA を単回摂取することでストレスや疲労感が改善されることが示された。
【カ.科学的根拠の質】
脳波、唾液中クロモグラニンA、唾液中コルチゾール、VAS を用いた主観的疲労感においてはバイアスリスクや出版バイアスにおいて中程度のリスクがあるが、その他は低いレベルに収まっており、弱いエビデンスの質があると判断された。副交感神経活動においては、出版バイアスにおいて中程度のリスクがあるが、その他はおおむね低いレベルに収まっており、中程度のエビデンスの質があると判断された。そのため、エビデンス総体の総括としては肯定的なエビデンスの質があると判断された。一方で、一部の研究は試験食品や研究資金を GABA のメーカーが提供していたため利益相反のリスクが懸念された。以上のことから、結果を過大評価せず慎重に評価する必要があると考えられる。 |