【食後の血糖値の上昇を抑える機能について】
標題:難消化性デキストリンの摂取による食後血糖値の上昇抑制作用に関する研究レビュー
目的:空腹時血糖値が126mg/dL未満の健常成人を対象に、難消化性デキストリンの食後血糖値に対する効果をプラセボ(難消化性デキストリンを含まない食品)と比較して検証した研究を収集し、効果について総合的に評価することを目的としました。
背景:現在、食生活の欧米化や慢性的な運動不足などにより、生活習慣病の患者数が増加しています。その中でも糖尿病患者数の増加は、日本において極めて深刻な問題の一つとなっています。食物繊維は第六の栄養素として注目されており、トウモロコシでん粉を加熱および酵素処理して得られる水溶性食物繊維の一種である難消化性デキストリンは、「食後血糖値の上昇を穏やかにする」の表示許可を受けた特定保健用食品にも利用され、食後血糖値の上昇抑制作用を検討した多くの研究が報告されています。本レビューでは、それらの研究の包括的な評価を実施しました。
レビュー対象とした研究の特性:信頼性の高いランダム化比較試験が実施されている研究を対象に、4種類の研究論文データベースを用いて、各データベースに情報が搭載されてから検索日(2014年12月から2015年1月)までの期間に公表された論文を収集しました。収集した論文を精査し、基準に合った43報の研究論文を得ました。
主な結果:採用論文43報はいずれも日本で実施された研究でした。これらの研究結果を総合的に評価した結果、難消化性デキストリンはプラセボと比較して食後血糖値の上昇を有意に低下させることが確認されました。採用論文43報における摂取量の中央値は5gと算出されました。
科学的根拠の質:各研究の質を評価したところ、各研究の妥当性や信頼性は高いと判断しました。さらに、各研究間の結果に一貫性があることなどから、本レビューの科学的根拠の質は高いと評価しました。従って、難消化性デキストリン(食物繊維)を5g配合している当該製品は、食後血糖値の上昇を抑制する機能を有する可能性があると考えます。ただし、今後の研究によっては、システマティックレビューの結果が変わる可能性があるため、継続した調査が必要です。また、食事療法だけでなく、運動療法、その他生活習慣などとの交絡因子の影響について、継続した研究が必要と考えられます。
【食後の血中中性脂肪値の上昇を抑える機能について】
標題:難消化性デキストリンの摂取による食後血中中性脂肪値の上昇抑制作用に関する研究レビュー
目的:空腹時血中中性脂肪値が200mg/dL未満の成人を対象に、難消化性デキストリンの食後血中中性脂肪値に対する効果をプラセボ(難消化性デキストリンを含まない食品)と比較して検証した研究を収集し、効果について総合的に評価することを目的としました。
背景:現在、食生活の欧米化や慢性的な運動不足などにより、生活習慣病の患者数が増加しています。脂質異常症は動脈硬化症などの重篤な病気を引き起こすリスク因子であることが明らかとなってきており、脂質異常症患者数の増加は日本において深刻な問題の一つとなっています。食物繊維は第六の栄養素として注目されており、トウモロコシでん粉を加熱および酵素処理して得られる水溶性食物繊維の一種である難消化性デキストリンは、「食後血中中性脂肪値の上昇を穏やかにする」の表示許可を受けた特定保健用食品にも利用され、食後血中中性脂肪値の上昇抑制作用を検討した多くの研究が報告されています。本レビューでは、それらの研究の包括的な評価を実施しました。
レビュー対象とした研究の特性:信頼性の高いランダム化比較試験が実施されている研究を対象に、4種類の研究論文データベースを用いて、各データベースに情報が搭載されてから検索日(2015年6月)までの期間に公表された論文を収集しました。収集した論文を精査し、基準に合った9報の研究論文を得ました。
主な結果:採用論文9報はいずれも日本で実施された研究でした。これらの研究結果を総合的に評価した結果、難消化性デキストリンはプラセボと比較して食後血中中性脂肪値の上昇を有意に低下させることが確認されました。9報中1報は対象者に空腹時中性脂肪値150mg/dL未満の健常成人が含まれており、健常成人のみでの有効性を評価した結果、健常成人においても同様の効果が確認できました。摂取量は採用論文9報のうち7報が5g、1報が5.2g、1報が9gでした。
科学的根拠の質:各研究の質を評価したところ、各研究の妥当性や信頼性は高いと判断しました。さらに、各研究間の結果に一貫性があることなどから、本レビューの科学的根拠の質は高いと評価しました。従って、難消化性デキストリン(食物繊維)を5g配合している当該製品は、食後血中中性脂肪値の上昇を抑制する機能を有する可能性があると考えます。ただし、今後の研究によっては、システマティックレビューの結果が変わる可能性があるため、継続した調査が必要です。また、食事療法だけでなく、運動療法、その他生活習慣などとの交絡因子の影響について、継続した研究が必要と考えられます。
【おなかの調子を整える機能について】
標題:難消化性デキストリンの摂取による整腸作用に関する研究レビュー
目的:健常成人あるいは便秘傾向の成人に対する難消化性デキストリン摂取時の整腸作用について、ランダム化比較試験(RCT)を収集し、当該製品の有効性を明らかにすることを目的とした。
背景: 2010年の国民生活基礎調査(厚生労働省)によると、便秘を訴えている者の割合は男性で2.5%、女性で5.1%となっている。食物繊維は第六の栄養素として注目されており、その作用としては整腸作用や便秘改善作用が挙げられる。難消化性デキストリンはトウモロコシでん粉を起源とする食物繊維であり、これを含む当該製品はおなかの調子を整えたい健康な男女に向けた機能性表示食品にふさわしいものであると考えられる。当該製品の有効性を評価するため、以下の通り研究レビューを実施した。
レビュー対象とした研究の特性:2014年12月~2015年1月にかけて、4種類の研究論文データベースに登録された研究論文を検索した。検索結果を精査した結果、難消化性デキストリンの整腸作用を考察するにふさわしいと考えられる26報の研究論文を得た。これらの研究論文について、その内容の詳細を検討した。
主な結果: 得られた26論文で報告されている①排便回数、②排便量について、検討した。難消化性デキストリンの1日当たり摂取量は3.8~7.7gであり、最小摂取量である3.8g/日の摂取によっても、排便回数と排便量の双方に対照群との有意差が認められた。26論文における摂取量についても検討した結果、整腸作用が期待できる1日当たりの推奨摂取目安量は、難消化性デキストリン5gが適切であると考えられた。
科学的根拠の質:機能性に関する一連の評価における、公表バイアスについて検討した。公表バイアスとは、否定的な結果(この場合、難消化性デキストリンの効果を否定する結果)を示す研究は、肯定的な結果を示す研究に比べて公表されにくいというバイアス(偏り)のことである。検討の結果、公表バイアスを想定してもなお、難消化性デキストリンの効果が大きく変更される可能性は極めて低いものと考えられた。 |