安全性 |
鮭卵巣中の筋子から卵(イクラ)をバラバラにして食する方法は、大正時代に樺太庁水産試験場が、ロシアから伝えられた製法で保存のきく塩蔵品を試験的に製造したのが始まりとされています(1)。ある程度成熟した卵でないと卵巣膜を取り除く工程中に破裂してしまいますが、逆に成熟しすぎている遡上中の筋子は、ほぼ完全に卵がほぐれており、ゴム毬のように硬くなっており食用には適していない。当該製品の「健康イクラ」は、遡上前の生筋子から卵巣膜を取り除きイクラとした後、味付けし手軽に食べられるようにしたもので、イクラ醤油漬としては、昭和30年頃から食され、日本では年間約12,000㌧が消費されており、これまでに健康被害の報告がない非常に安全な食品です。(独)国立健康・栄養研究所の「健康食品」安全性・有効性情報では、EPAは「1日3g以上の摂取で、凝血能が低下し出血傾向が起きることがある」、また米国FDAの限定的健康表示規格では、サプリメントからの摂取はDHAとEPAあわせて1日2g以下とされていますが、当該製品はサプリメントではなく天然の鮭の卵を味付けした食品であり、一日摂取目安量38g中のDHAは722mg、EPAは604mgなのでDHA,EPA合計1,326mgとなり、安全と考えられます。 (1)日本おさかな雑学研究会「頭がよくなるおさかな雑学大事典」2002年幻冬社ISBN4-344-4029 |
機能性 |
[標題①]DHA,EPAの血中中性脂肪の低下に関するシステマティツクレビュー
[目的] 疾病に罹患していない者(未成年者、妊産婦(妊娠を計画している者を含む)、授乳婦は除く)が、DHA,EPAを摂取することにより、血中の中性脂肪(TG)が低下するか否かを検証しました。
[背景]DHA,EPAが血中中性脂肪を低下させるという臨床試験は、世界中で多数あります。2011年には、DHAとEPAの共通した薬理効果は、血中TG低下作用のみとの研究 レビューWei MY, Jacobson TA, “Effects of eicosapentaenoic acid versus docosahexaenoic acid on serum lipids: A systematic Review and Meta-analysis.” Curr. Atheroscler Rep.,2011, 13(6):474-483) が発表されています。2010年には、DHA,EPAを含む長鎖ω3脂肪酸200~500mg/日摂取で、摂取量依存的に血中TG値を 3.1~7.2%低下させることが明らかにされていました(Musa-Veloso K, et.al., “Long-chaine omega-3 fatty acids eicosapentaenoic acid and docosahexaenoic acid dose-dependently reduce fasting serum triglycerides.”,NutrRev.,2010,68(3): 155-67)。今回のレビューでは、これらレビュー内容の確認をいたしました。
[レビュー対象とした研究の特性]
研究デザイン:ランダム化比較試験
対象集団の特性:疾病に罹患していない者(未成年者、妊産婦(妊娠を計画している者を含む)、授乳婦は除く)
検索データ・べース:PubMed, Ovid-medline,JDreamⅢ-medline, JMED Plus,医学中央雑誌, メディカルオンライン
検索日:2017年11月16~28日
[結果]
血中TG値を主要または副次的アウトカムとした研究論文を対象として定性的システマティツクレビューしました。最終的に評価した論文は11報で、8報で血中TGの有意な減少が,有意差はないが低下を示したのは3報ありました。有効性を肯定する報告からDHA,EPA摂取総量として1日当たり154~1,620mg、3~12週間摂取することによって、血中中性脂肪値が低下することが期待できると判断しました。従って当該商品の1日の摂取目安量を1,326mg としたことは有効性の観点から妥当と考えます(当該商品のもう一つの機能性である「短期記憶をサポート」に効果があるDHA722mgを含有するように[DHA+EPA]量を1,326mg(DHA722mg+EPA604mg)としました)。
[科学的根拠の質]
本システマティツクレビューの限界は、対象者を日本人に限定した場合、疾病に罹患していない者(未成年者、妊産婦(妊娠を計画している者を含む)、授乳婦は除く)を対象とした論文が少なかった。しかし、採用した非日本人を含めた論文の非直接性、不正確性等は問題なく、エビデンスの強さはAが多く、科学的根拠の質は高いと判断しました。当該商品のDHA,EPA含有量(1,326mg/日)は有効性の観点から妥当と考えられます。
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[標題②]DHAの短期記憶に関するシステマティツクレビュー
[目的] 疾病に罹患していない者(未成年者、妊産婦(妊娠を計画している者を含む)、授乳婦は除く)がDHAを摂取することにより、記憶力が改善するか否かを検証しました。
[背景]DHAが認知機能を維持、改善するという臨床試験は、世界中で多数あります。Hashimoto Mら(Cri Rev Biotechnol.2016 Jul)、Weiser MJら(Nutrients, 2016; 8:99-139)の研究レビューには、DHAが脳の発達と認知機能に必須な機能性成分であることが報告されています。今回のレビューでは、これらレビュー内容の確認をいたしました。
[レビュー対象とした研究の特性]
研究デザイン:ランダム化比較試験
対象集団特性:疾病に罹患していない者(未成年者、妊産婦(妊娠を計画している者を含む)、授乳婦は除く)
検索データ・べース:PubMed, Ovid-medline,JDreamⅢ-medline, JMED Plus, 医学中央雑誌, メディカルオンライン
検索日:2017年11月18~26日
[結果]
DHA摂取による認知機能検査を主要または副次的アウトカムとした研究論文を対象として定性的システマティツクレビューしました。最終的に評価した論文は20報で、 15報で認知機能の一部に効果が認められていました。効果有りの15報のうち11報は、認知機能の一部である短期記憶(短時間で情報を保持し、同時に処理する能力)を有意にサポートすることが報告されていました。 短期記憶をサポートするDHAの一日摂取量は、240~1,720mgで、摂取期間90日~12ケ月間でした。
[科学的根拠の質]
本システマティツクレビューの限界は、被験者を日本人に限定した場合、疾病に罹患していない者(未成年者、妊産婦(妊娠を計画している者を含む)、授乳婦は除く)を対象とした論文は5報と少なかった。しかし、日本人以外の論文の非直接性、不正確性等は問題なく、エビデンスの強さはAが多く、科学的根拠の質は高いと判断しました。当該商品の一日摂取目安量1,326mg(DHA722mg+EPA604mg)中には「短期記憶をサポートする」DHAが722mg含まれており、有効性の観点から妥当と考えられます。 |