1.ビルベリー由来アントシアニン
【標題】
標準ビルベリーエキスに含有する機能性関与成分ビルベリー由来アントシアニン(VMA)摂取による眼疲労改善および視機能調節に関する機能性評価システマティックレビュー
【目的】
成年健常人がVMAを摂取した場合に眼疲労やピント調節機能が改善するかについて、網羅的に文献調査を行い検証することを目的とした。
【背景】
抗酸化能を有するVMAは眼疲労等の改善作用が期待され広く使用されてきた。しかしながら、成年健常人が眼の健康維持を目的としてVMAを摂取することに対して正確な検証はなされていなかった。
【レビュー対象とした研究の特性】
2016年2月1日に検索した2015年12月末までに報告された論文と2015年12月末までに得た情報から、20-59才の日本の健常人男女を対象として、ビルベリーエキスを摂取させて眼疲労や視機能に対する効果を検証している4件の質の高い臨床試験(機能性関与成分を含む食品と含まない類似食品を比較するための試験で、どちらの食品を摂取するのかは被験者と試験を実施する側の双方に知らされない状態で試験が行われ、どの食品を摂取するかは第三者により無作為に振り分けられた試験、RCT)を評価の対象とした。4件とも研究レビュー作成者の所属部署が関与する研究である。
【主な結果】
眼に疲労感がある成年健常人がVMAを摂取することにより、パソコンやスマートフォンなどの使用による眼の疲労感やピント調節機能が改善することがアンケート調査や視機能の検査から明らかとなった。なお、VMAの摂取が原因と考えられる重篤な副作用の報告は見当たらなかった。
【科学的根拠の質】
評価の対象は比較的質の高い臨床試験とされているRCTであり、摂取した機能性関与成分の同等性も担保されていることから科学的根拠の質は高いと考えられる。また、結果の一貫性に特に問題はないことなどから、本レビューの結果が覆るような新たな知見が報告される可能性は低いと考えられる。
2.ルテイン(黄斑色素光学密度)
【標題】
機能性関与成分マリーゴールド色素由来高純度ルテイン摂取による黄斑色素光学密度に対する機能性に関する研究レビュー
【目的】
成年健常人がルテインを摂取した場合に網膜の黄斑色素を増やす効果があるかについて、網羅的に文献調査を行い検証することを目的とした。
【背景】
ルテインは黄斑を中心とする目の網膜に蓄積し、ブルーライトなどから眼を守る光フィルターあるいは抗酸化物質として期待され、広く利用されてきた。しかしながら、成年健常人が眼の健康維持を目的としてルテインを摂取することに対して正確な検証はなされていなかった。
【レビュー対象とした研究の特性】
2016年2月2日に2015年12月までに報告された論文から抽出した、日本人を含む18-70才の健常人男女を対象としたルテインを摂取し、ルテインの血中濃度あるいは黄斑の色素量を測定している9件のRCTを評価の対象とした。
【主な結果】
成年健常人がルテインを摂取することにより、ルテインの血中濃度が上昇し、網膜にある黄斑の色素量も増加することが明らかとなった。また、視覚の中核を担う黄斑や網膜に蓄積したルテインはブルーライトなどの光ストレスから網膜を守ることが強く示唆されている。なお、ルテインの摂取が原因と考えられる重篤な副作用の報告は見当たらなかった。
【科学的根拠の質】
評価の対象は比較的質の高い臨床試験とされているRCTであり、摂取した機能性関与成分の同等性についても厳密に考慮していることから科学的根拠の質は高いと考えられる。また、ルテインは人の体内で生合成されず、食物等から摂取したルテインが生体内に吸収され、血液中から網膜部分にルテインが移行するメカニズムはほぼ解明されている。以上のことから、本レビューの結果が覆るような新たな知見が報告される可能性は低いと考えられる。なお、ルテインは緑黄色野菜等に含まれる成分であり、食事等でルテインを十分量摂取している場合は本研究レビューの結果は反映されない可能性がある。
3.ルテイン(コントラスト感度)
【標題】
機能性関与成分マリーゴールド色素由来高純度ルテイン摂取によるコントラスト感度およびグレア感度に対する機能性に関するシステマティックレビュー
【目的】
成年健常人がルテインを摂取した場合にコントラスト感度を改善する効果があるか、網羅的に文献調査を行い検証することを目的とした。
【背景】
ルテインは黄斑を中心とする眼の網膜に蓄積し、ブルーライトなどから眼を守る光フィルターあるいは抗酸化物質として期待され、広く利用されてきた。しかしながら、成年健常人が視機能の維持や改善を目的としてルテインを摂取することに対して正確な検証はなされていなかった。
【レビュー対象とした研究の特性】
2016年2月3日に2015年12月までに報告された論文から抽出した、アジア人を含む18-70才の健常人男女を対象としたルテインを摂取し、ルテインの血中濃度およびコントラスト感度・グレア感度を測定している3件のRCTを評価の対象とした。
【主な結果】
コントラスト感度は色の濃淡を判別する力であり、コントラスト感度が低下して色の濃淡が分かりにくくなると視覚の対象物がかすんで見えたり、見えにくく感じることがある(かすみ、ぼやけ)。成年健常人がルテインを摂取することにより、コントラスト感度が改善する(物がかすんで見えたり、見えにくく感じることを解消して、くっきりと物を視認する感度を改善する)ことが明らかとなった。ルテインの摂取が原因と考えられる重篤な副作用の報告は見当たらなかった。
【科学的根拠の質】
評価の対象は比較的質の高い臨床試験とされているRCTであり、摂取した機能性関与成分の同等性についても厳密に考慮していることから科学的根拠の質は高いと考えられる。また、食物等から摂取したルテインが網膜部分に移行してコントラスト感度を改善するメカニズムは文献で示されていることから、本レビューの結果が覆るような新たな知見が報告される可能性は低いと考えられる。なお、ルテインは緑黄色野菜等に含まれる成分であり、食事等でルテインを十分量摂取している場合は本研究レビューの結果は反映されない可能性がある。
(構造化抄録) |