【食後の中性脂肪に及ぼす影響】
1 標題
ターミナリアベリリカ由来没食子酸(以下、TB)による食後中性脂肪に及ぼす影響
2 目的
健常成人におけるTBの摂取が、プラセボ(偽薬)と比較して、食後中性脂肪の上昇を抑える機能を有するか検証することを目的とした。
3 背景
TBは脂肪分解酵素の阻害作用を有し、その作用により食後中性脂肪の上昇を抑制するとの報告があり、TBの食後中性脂肪の上昇を抑える機能について総合的に評価するため研究レビューを実施した。
4 レビュー対象とした研究の特性
健常成人(空腹時血中中性脂肪値150mg/dL未満)を対象に、TB摂取による食後血中中性脂肪曲線下面積(AUC)又は食後血中中性脂肪推移への影響を、プラセボと比較した論文を評価対象とした。文献検索し論文の内容を精査したところ、採用論文は3報となった。
※曲線下面積(AUC):吸収量を反映する指標として知られている
5 主な結果
3報の採用論文はいずれも無作為化二重盲検プラセボ対照試験という信頼性の高い研究であった。
健常成人男女を対象とし、TB 20.8 mg/回または31.4 mg/回を摂取させた結果、プラセボ摂取と比較して、負荷食品(脂肪を含む食品)摂取後の血中中性脂肪変化量AUC及び血中中性脂肪変化量の有意な抑制が認められた。
6 科学的根拠の質
健常成人において、TB 20.8 mg/回の摂取が、食事の脂肪の吸収を抑えて、食後中性脂肪の上昇を抑える機能を有することが示された。ただし、本研究の限界として、出版されていない未公表研究がある可能性も否定できないことから情報の偏りがある疑いは否定できない。
【食後の血糖値に及ぼす影響】
1.標題
TBによる食後血糖値に及ぼす影響
2.目的
健常成人におけるTBの摂取が、プラセボ(偽薬)と比較して、食後血糖値の上昇を抑える機能を有するか検証することを目的とした。
3.背景
TBは糖質分解酵素の阻害作用を有し、その作用により食後血糖値の上昇を抑制するとの報告があり、TBの食後血糖値の上昇を抑える機能について総合的に評価するため、研究レビューを実施した。
4.レビュー対象とした研究の特性
健常成人を対象に、TB摂取による食後血糖(評価指標:食後血糖AUC)への影響を、プラセボと比較した論文を評価対象とした。文献検索し論文の内容を精査したところ、採用論文は3報となった。
※曲線下面積(AUC):吸収量を反映する指標として知られている
5.主な結果
3報の採用論文はいずれも無作為化二重盲検プラセボ対照試験という信頼性の高い研究であった。健常成人男女を対象とし、TB 20.8 mg/回を摂取させた結果、プラセボ摂取と比較して、負荷食品(炭水化物を含む食品)摂取後の血糖変化量AUCの有意な抑制が認められた。
6.科学的根拠の質
健常成人において、TB 20.8 mg/回の摂取が、食事の糖の吸収を抑えて、食後血糖値の上昇を抑える機能を有することが示された。ただし、本研究の限界として、出版されていない未公表研究がある可能性も否定できないことから情報の偏りがある疑いは否定できない。
【内臓脂肪、皮下脂肪とBMIに及ぼす影響】
1.標題
TBによる体脂肪に及ぼす影響
2.目的
健常成人におけるTBの摂取が、プラセボ(偽薬)と比較して、体脂肪を低減する機能を有するかについて検証することを目的とした。
3.背景
TBは、内臓脂肪及び体重を低減するとの報告があり、TBの体脂肪を低減する機能について総合的に評価するため、研究レビューを実施した。
4.レビュー対象とした研究の特性
健常成人を対象に、TBの摂取による、体脂肪への影響を、プラセボと比較した論文を評価対象とした。文献検索し論文の内容を精査したところ、採用論文は2報となった。
5.主な結果
採用論文とした2報はいずれも肥満気味の健常成人男女を対象とし、TBを41.6 mg/日摂取させた際の腹部脂肪面積、体重、BMI、胴囲・腰囲に対する影響を評価していた。採用した2研究についてメタアナリシスを実施した結果、TB摂取による腹部内臓脂肪面積、腹部皮下脂肪面積、腹部全脂肪面積、体重、BMIの有意な低減が認められ、TB 41.6 mg/日の摂取で効果が確認された。
6.科学的根拠の質
肥満気味の健常成人において、TB 41.6mg/日の12週間摂取が、腹部脂肪、体重、BMIを低減する機能を有することが示された。ただし、本研究の限界として、採用文献が2報と少ないことから今後の注視が必要である。
【冷えにより低下した血流(末梢血流)及び末梢(手)の皮膚表面温度に及ぼす影響】
ア 標題
「ヒハツ由来ピペリン類」摂取によって、冷えにより低下した血流(末梢血流)を正常に整え、冷えによる末梢の皮膚表面温度の低下を軽減する機能に関する定性的研究レビュー
イ 目的
健康な方に対する「ヒハツ由来ピペリン類」摂取の効果をプラセボとの比較で検証した研究をレビューし、効果の有無を総合的に評価した。
ウ 背景
ヒハツは香辛料等として利用されており成分としてピペリン類を含む。TRPV1を活性化する作用から、冷えによって低下する血流(末梢血流)や皮膚表面温度の維持に役立つと推測されるが、ヒトでの有効性を包括的に整理する研究レビューはない。従って、健康な方がヒハツ由来ピペリン類を摂取した場合における冷えによる血流(末梢血流)および皮膚表面温度の低下を軽減する効果について研究レビューを行い、その科学的エビデンスの確認を行った。
エ レビュー対象とした研究の特性
国内外のデータベースを使用して論文を検索し、基準に合致した文献1報(ランダム化二重盲検プラセボ対照クロスオーバー試験)を研究レビューの対象とした。
オ 主な結果
上記文献は健康な日本人成人女性が、ヒハツ由来ピペリン類120μg含有ヒハツ抽出物を摂取することで、プラセボを摂取した場合と比較して、冷水負荷後の末梢血流量および手(末梢)の皮膚表面温度が統計学的に有意に高くなっており(p<0.05)、冷えにより低下した血流(末梢血流)を正常に整え、冷えによる末梢(手)の皮膚表面温度の低下を軽減する効果が認められた。
カ 科学的根拠の質
ヒハツ由来ピペリン類(120μg)の摂取は、冷えにより低下した血流(末梢血流)を正常に整え、冷えによる末梢(手)の皮膚表面温度の低下を軽減する機能があることが確認された。採用した文献は1報のみであり、非一貫性や出版バイアスの精査には至らなかったが、日本人対象のランダム化比較試験の報告であることから信頼性は高いと考えられた。
【夕方の脚のむくみ(病的ではない一過性のむくみ)に及ぼす影響】
ア 標題
「ヒハツ由来ピペリン類」摂取によって、病的ではない一過性の脚のむくみを軽減する機能に関する定性的研究レビュー
イ 目的
健康な方に対する「ヒハツ由来ピペリン類」摂取の効果をプラセボとの比較で検証した研究をレビューし、効果の有無を総合的に評価した。
ウ 背景
ヒハツは香辛料等として利用されており、成分としてピペリン類を含む。一過性の脚のむくみの低減に役立つ報告はあるがヒトでの有効性を包括的に整理する研究レビューはない。従って、健康な方がヒハツ由来ピペリン類を摂取した場合における病的ではない一過性の脚のむくみを軽減する効果について研究レビューを行い、その科学的エビデンスの確認を行った。
エ レビュー対象とした研究の特性
国内外のデータベースを使用して論文を検索し、基準に合致した文献1報(ランダム化二重盲検プラセボ対照クロスオーバー試験)を研究レビューの対象とした。
オ 主な結果
上記文献は脚のむくみを自覚する健康な日本人成人女性が、ヒハツ由来ピペリン類120μg含有ヒハツ抽出物を摂取することで、プラセボを摂取した場合と比較して、むくみの評価指標である体水分に対する脚の細胞外水分の比の、座位負荷による上昇を統計学的に有意に抑制しており(p =0.013)、一過性の脚のむくみを軽減する効果が認められた。
カ 科学的根拠の質
ヒハツ由来ピペリン類(120μg)の摂取は病的ではない一過性の脚のむくみを軽減する機能があることが確認された。採用した文献は1報のみであり、非一貫性や出版バイアスの精査には至らなかったが、日本人対象のランダム化比較試験の報告であることから信頼性は高いと考えられた。 |