標題:オリーブ由来ヒドロキシチロソールの経口摂取による酸化LDLコレステロールの減少効果に関する、メタアナリシスを含むシステマティック・レビュー
目的:疾病に罹患していない者および軽症者に対するオリーブ由来ヒドロキシチロソール摂取の効果を、オリーブ由来ヒドロキシチロソールを含まない食品との比較で検証した研究をレビューした論文の内容を検証し、効果の有無を評価した。
背景:オリーブ由来ヒドロキシチロソールはLDLコレステロールの酸化抑制作用を有することが知られている。この作用に関する多くの臨床試験が実施・報告されており、欧州食品安全機関(EFSA)は科学的根拠があると評価している。また、オリーブ由来ヒドロキシチロソールの酸化LDLコレステロール減少作用に関する臨床試験を評価したシステマティック・レビューの報告があった。これらの報告から、オリーブ由来ヒドロキシチロソールの酸化LDLコレステロール減少作用が期待されるため、当該製品の機能性について、上記のシステマティック・レビューの報告内容を検証した。
レビュー対象とした研究の特性:国内外のデータベースを使用して英語及び日本語の文献を検索し、基準に合致したRCT(クロスオーバー試験)文献3報を採用していた。採用文献はいずれも疾病罹患者を含まない20歳以上の欧州人を対象にした試験で、オリーブ由来ヒドロキシチロソールを含む介入食品を摂取し、オリーブ由来ヒドロキシチロソールを含まないプラセボ食品の摂取を対照として評価した試験であった。
主な結果:採用文献からデータを抽出し、結果を統合してメタアナリシスを実施していた。メタアナリシスの結果、疾病に罹患していない参加者が介入食品を摂取することで、プラセボ食品の摂取と比較して、血中の酸化LDLコレステロール値が有意に減少することが認められた、と報告していた。以上より、オリーブ由来ヒドロキシチロソールの摂取は、血中の酸化LDLコレステロール値を減少させると考えられた。
科学的根拠の質:疾病に罹患していない者がオリーブ由来ヒドロキシチロソールを含む食品を摂取することで、血中の酸化LDLコレステロール値が減少する、肯定的な結果が得られるということが報告されていた。この結果は、抗酸化作用による血中のLDLコレステロールの酸化抑制機能に基づくと考えられた。ただし、評価した文献が3報で、バイアスリスクや出版バイアスは否定できないと報告しており、今後の研究報告が進むことが望まれると結論付けていた。また、日本人を対象とした臨床試験の報告がなかったことから、今後日本人を対象とした研究が進むことが望まれる。
標題:GABAの血圧に対する影響に関する研究レビュー
目的:健常成人がGABAを摂取することによって、プラセボを摂取する場合と比べて、正常血圧者、正常高値血圧者、軽症高血圧者がGABA含有食品を摂取した場合とGABA非含有食品を摂取した場合で、血圧への影響に違いがあるかどうかを検証することを目的とした。
背景:GABAの血圧に対する効果を検証するため、網羅的な文献調査と研究レビューを実施した。
レビュー対象とした研究の特性:日本語と英語の3種のデータベースを用いて検索後94報の文献を抽出し、事前に設定された基準に基づいて選択した結果、最終的に9報が採用された。採用された文献はいずれも査読付き論文で、日本人を対象としていた。
主な結果:本研究レビューの結果より、GABA 20~80mg、12週間の摂取によって血圧が高めの方の血圧を下げる機能に関する機能性が確認された。軽症高血圧者を除いた健常人のみで評価した場合では、正常高値血圧者に対してGABAの血圧低下作用が認められた。正常血圧者に対しては、GABAは血圧を下げることがなく、正常な血圧のままであった。以上よりGABAは血圧が高めの方に対して血圧を低下させる機能があり、正常血圧者に対しては影響を与えず、正常な血圧を維持すると結論付けられた。
科学的根拠の質:文献の検索を英語と日本語のデータベースに絞ったことから、他言語での論文の収集の網羅性に問題や出版バイアスの存在が否定できない問題が残っている。
標題:GABAのストレスおよび疲労感の低減作用に関する研究レビュー
目的:健常成人がGABAを摂取することによって、プラセボを摂取する場合と比べて、精神的ストレスや疲労感を緩和するか、について検討することを目的とした。
背景: GABAの一時的な精神的ストレスや疲労感を緩和する効果を検証するために研究レビューを行った。
レビュー対象とした研究の特性:データベース3種の検索により抽出された36報と、ハンドリサーチの1報の文献の37報において、事前に設定した基準に基づいて選択した結果、最終的に6報が採用された。採用された文献はいずれも査読付き論文で、日本人を対象としていた。また、採用した文献のうち2報が単盲検試験であった。
主な結果:GABA摂取30分前後、GABA 28mg以上の条件下でストレスマーカーの有意な低下が確認され、また、GABA摂取後30~60分、GABA 100mgでの条件下でα波の有意な増加が確認された。自律神経活動においても、GABA28mg摂取後36.5~45分でリラックス状態(ストレスの緩和)が認められたことから、GABA 28mg以上の摂取後30~60分程度でストレスの緩和に関する機能性が確認された。さらに、GABA摂取30分前後、GABA 28mg~50mgの条件において、主観的評価での疲労感の有意な低下が確認された。
科学的根拠の質:アウトカムレベルの限界として、自律神経活動については1報しか採用していないため非一貫性が評価できなかったことが挙げられる。また、研究レビュー全体の限界としては、ファンネルプロットを用いなかったため出版バイアスを評価できなかったことが挙げられる。
標題:GABAによる睡眠の質の改善の機能性に関するシステマティック・レビュー
目的:睡眠の質が気になる健常者において、GABAの摂取により睡眠の質を改善するか検証することを目的とた。
背景:GABAの睡眠の質改善効果を検証するために研究レビューを行った。
レビュー対象とした研究の特性:データベース3種の検索により、34報の文献を抽出し、事前に設定された基準に基づいて選択した結果、最終的に2報が採用された。うち1報は無作為化二重盲検プラセボ対照クロスオーバー試験であり、もう1報は無作為化単盲検プラセボ対照クロスオーバー試験で、いずれも日本国内で実施された試験であった。
主な結果:本研究レビューの結果より、ストレスや疲労感などの一時的な原因により、睡眠の質に問題を感じている対象者が、GABA 100mg/日の1~2週間摂取はノンレム睡眠時間を増加し、起床時の感覚の改善することが認められた。
科学的根拠の質:本研究レビュー全体の限界として、文献の検索を英語と日本語のデータベースに絞ったことから、他言語での論文収集の網羅性の問題や出版バイアスの存在は否定できない。
標題:GABAの経口摂取による、肌への効果における研究レビュー
目的:GABAの経口摂取が健康な成人男女の肌への影響を検討した。
背景: GABAの経口摂取が肌状態へ与える影響について検討された研究は少ないため、GABAの経口摂取が健康な成人男女の肌状態に与える影響について検討した。
レビュー対象とした研究の特性:文献検索は5種のデータベースを用いた。適格基準として対象を健康な成人男女(妊産婦、授乳婦を除く)とし、プラセボ摂取群と比較した査読付き原著論文またはシステマティック・レビュー、メタアナリシスを検索した。
主な結果:文献検索により抽出された33報についてスクリーニングを行い、研究の質を評価した結果、定性評価できる研究論文は日本で行われた1報であった。採用論文はストレスにより肌荒れを自覚している女性(30~50歳)を対象に、GABAとして100㎎/日、8週間摂取したところ、GABAを摂取しない群(プラセボ群)と比べて肌の弾力性が有意に良くなり、健康な肌の維持に繋がったと考えられた。
科学的根拠の質:本研究レビュー全体の限界として、文献の検索を英語と日本語のデータベースに絞ったことから、他言語での論文収集の網羅性の問題や出版バイアスの存在は否定できない。 |