標題:機能性関与成分GABA(ギャバ)による肌の健康を助ける機能性に関するシステマティックレビュー
目的:
日本人健常者が、GABA(ギャバ)(以下GABAと略す)を含む食品とGABAを含まない食品を経口摂取した場合、GABAを含む食品を継続摂取することにより、肌の健康を守るのを助けるか、検証することを目的として本研究レビューを実施した。
背景:
現代はストレス社会と形容されるが、ストレスなどの精神的な負荷が肌の状態に影響を与えることは、一般に広く認識されている事実である。GABAの摂取は、末梢の自律神経節においてGABAB受容体を活性化し、ノルアドレナリンの放出を抑制することで交感神経系に作用して、ストレスを緩和する機能があると考えられている。このためGABAの摂取は、ストレス負荷の軽減を介して、肌の健康にも役立つことが期待された。研究レビューの実施によってその有効性を検証することとした。
レビュー対象とした研究の特性:
2023年10月30日にそれまでの期間を対象として2つのデータベースで検索を行った。対象は日本人健常者とし、プラセボ群との比較試験の査読付論文とした。最終的に評価した論文は1報であった。利益相反について、特に問題となるものはなかった。
主な結果:
ストレスによる肌荒れを自覚している30歳から50歳の成人女性を対象とし、GABA100mgを含む試験品を摂取する介入群17名、プラセボを摂取する対照群19名に振り分け、8週間の継続摂取を行うランダム化二重盲検並行群間比較試験を実施した。8週間後の総粘弾性(R2)、正味の弾性(R5)、戻り率(R7)について、介入群は対象群と比較して有意に高値であることが確認されたことから、肌の弾力の低下が抑制されたことを示している。以上のことから、GABA100mg/日、8週間の摂取は、肌の機能の一部である肌の弾力を維持することで、肌の健康に寄与する機能性があると言える。
科学的根拠の質:
採用文献のバイアスリスクは「中」であり、その他バイアスで採用文献は1報のみの為、出版バイアスが否定できず「中」とした。エビデンス総体として、研究結果を無効とするような深刻な問題はないと評価した。しかし、バイアスリスクや不精確、非一貫性、その他の項目において軽微な問題が見られたため、エビデンスの確実性については低(C)とした。採用文献は頬のみの調査であることから、今後さらなるエビデンスの蓄積が望まれる。
標題:GABAによる睡眠の質の改善の機能性に関するシステマティックレビュー
目的:
日本人の健常成人を対象とし、GABA配合食品を経口摂取した場合と、GABAを配合しない食品を経口摂取した場合で、睡眠の質を向上する効果に違いがあるかを検証することを目的とした。
背景:
GABAの摂取はストレスの緩和されたリラックス状態にすることで眠りの質を改善することが期待された。改めてその効果を検証するため研究レビューを行った。
レビューを対象とした研究の特性:
2020年6月4日にそれまでの期間を対象として3つのデータベースで検索を行った。対象は健常成人とし、プラセボ群との比較試験の査読付論文とした。最終的に評価した論文は2報であった。利益相反について、特に問題となるものはなかった。
主な結果:
GABA配合食品を経口摂取した場合と、GABAを配合しない食品を経口摂取した場合で、①脳波測定による睡眠状態の客観的評価、②主観的評価(目覚めた時の気分)の解析について比較した。結果、GABAを100mg経口摂取することで、GABAを配合しない食品を摂取した時と比べて、①、②の項目で睡眠の質(睡眠の深さ)を向上する効果が確認された。
科学根拠の質:
採用文献のバイアスリスクのまとめとしては「中」であり、出版バイアスは否定できなかった。不精確、非直接性に関しては低(0)とした。非一貫性に関してノンレム睡眠では低(0)と評価したが、主観評価(VAS)では採用文献が1報であった事から評価できなかった。総合的にエビデンスの強さはノンレム睡眠では中(B)、主観評価(VAS)では低(C)とした。エビデンス総体として、本研究レビューの目的に合った条件で試験がなされており、科学的根拠の質としては十分と判断した。
標題:GABAのストレスおよび疲労感の緩和効果に関する研究レビュー
目的:
日本人の18~19歳を含む健常成人を対象とし、GABA配合食品を経口摂取した場合と、GABAを配合しない食品を経口摂取した場合で、仕事や勉強などによる一時的な精神的ストレスや疲労感を緩和する効果に違いがあるかを検証することを目的とした。
背景:
GABAには一時的な精神的ストレスや疲労感を緩和する効果が示唆されているが、改めてその効果を検証するため研究レビューを行った。
レビューを対象とした研究の特性:
2017年10月20日に2017年10月までの期間を対象として4つのデータベースで検索を行い、ハンドサーチでも検索を行った。対象は日本人の18~19歳を含む健常成人とし、プラセボ群との比較試験の査読付論文とした。最終的に評価した論文は6報であった。利益相反について、記述がない論文もあったが特に問題となるものはなかった。なお健常成人には、18~19歳も対象とした。これは、「日本人の食事摂取基準」(2015年版、厚生労働省)において、18~19歳の推定エネルギー必要量が20~29歳と同一であり、医学、薬学、栄養学的に同等と考えられるためである。
主な結果:
GABA配合食品を経口摂取した場合と、GABAを配合しない食品を経口摂取した場合で、①精神的ストレスがかかると増加する唾液中成分のクロモグラニンAとコルチゾールの増減、②リラックス状態で増加する脳波のα波と精神的ストレス下で増加する脳波のβ波、③主観的評価(疲労感)、④心電図から分析されたリラックス状態(低ストレス)の解析について比較した。結果、GABAを28mg~100mg経口摂取することで、GABAを配合しない食品を摂取した時と比べて、①~④の項目で一時的な精神的ストレスや疲労感の緩和効果が確認された。
科学根拠の質:
採用文献の内、選択バイアスや症例減少バイアスが疑われる為、採用文献のバイアスリスクのまとめとしては「中」であり、出版バイアスが否定できず「中」とした。不精確、非直接性に関しては低(0)とした。非一貫性に関しては、ストレスマーカー(唾液中クロモグラニンA、唾液中コルチゾール)、脳波(α波、β波)は低(0)、主観的評価(疲労感)(POMS、VAS)は中(-1)、自律神経活動は採用文献が1報であった事から評価できなかった。総合的にエビデンスの強さとしてはストレスマーカーと自律神経活動は中(B)、脳波と主観的評価(疲労感)は強(A)と評価した。エビデンス総体として、本研究レビューの目的に合った条件で試験がなされており、科学的根拠の質としては十分と判断した。
(構造化抄録) |