ラクトフェリン及び乳酸菌K-1 (L. casei 327)の機能性評価を以下の通り実施した。
【ラクトフェリン】
ア.標題
ラクトフェリン摂取が内臓脂肪、BMIに及ぼす影響
イ.目的
健常成人を対象としたラクトフェリンの内臓脂肪、BMIに与える影響を検証すること。
ウ.背景
ラクトフェリンの経口摂取が、内臓脂肪及びBMIを低減させるとの報告があり、そのヒト試験結果を総合的に評価するため、定性的研究レビューを実施した。
エ.レビュー対象とした研究の特性
健常成人(肥満傾向(BMI23以上30未満)の者を含む)におけるラクトフェリンの経口摂取が内臓脂肪面積及びBMIに及ぼす影響に関する研究を検索対象とした。内容を精査し、2研究を評価対象とした。なお、2研究は、全て日本で実施された信頼性の高いヒト試験であった。2研究にはいずれも、著者として本品の事業取得元の企業の社員が含まれており、利益相反の可能性が認められた。
オ.主な結果
2つの研究はいずれも無作為化二重盲検並行群間比較試験で、1報は一日摂取量250mgのラクトフェリンを摂取させた試験で、摂取期間は12週間、対象者は107例であった。もう1報は、2008年に実施された試験の被験者からBMI30以上または高コレステロール血症の被験者を除外した層別解析に関する研究で、ラクトフェリンの一日摂取量は300mg、摂取期間は8週間、対象者は13例であった。いずれの研究においても、腸溶性コーティングを施したラクトフェリン含有食品を被験者に摂取させていた。定性的研究レビューを実施した結果、内臓脂肪面積及びBMIの有意な低減が認められた。採用した2つの研究において、ラクトフェリン摂取による副作用等の健康被害は無かった。
カ.科学的根拠の質
ラクトフェリン250mg/日、300mg/日の摂取により、内臓脂肪面積及びBMIを減少させることが示唆された。採用した文献について、エビデンス総体に大きく影響するバイアスリスク、非直接性、不精確、非一貫性は検出されなかった。但し、本研究レビューにおける限界として、利益相反の可能性もあることからバイアスの混入は否定できない。さらに、採用文献2報いずれにおいても、試験食品として腸溶性コーティングを施したラクトフェリン含有食品を用いていることから、本研究レビューの結果が、腸溶性コーティングを施したラクトフェリン含有食品の機能に限定される可能性がある。なお、本レビューの実施者及び採用論文の著者は共に本品の事業取得元の企業の社員だが、レビューは論文著者を除く者で公正に実施されたものである。本研究レビューの採用文献が2報に限られることで今後の研究結果が本研究レビューの結果に影響を与える可能性があるため、今後も情報収集を行っていく必要がある。
【乳酸菌K-1 (L. casei 327)】
ア.標題
乳酸菌 K-1(L. casei 327)の便通改善作用に関する研究レビュー
イ.目的
乳酸菌 K-1(L. casei 327)の摂取による便通改善作用に関する機能性を検証する目的で実施した。
ウ.背景
乳酸菌 K-1(L. casei 327)は主に整腸作用が期待され、最近では臨床試験の実施により有効性が確認されるなどその有用性が見出されているが、便通改善作用に関する研究レビューは確認できなかった。
エ.レビュー対象とした研究の特性
リサーチクエスチョン(以下RQ)及びPICOを以下のように設定し研究レビューを実施した。
RQ:乳酸菌K-1(L. casei 327)は、便通を改善させるか?
P:便秘傾向のある健常成人
I:乳酸菌K-1(L. casei 327)の経口摂取(食品形態は問わない)
C:プラセボの経口摂取(プラセボの配合内容は問わない)
O:便通の改善
上記PICOをもとに検索式と除外基準を設定し、データベースで論文を検索した。検索により特定された文献は、適格基準により採用文献と除外文献に選別し、採用文献からPICOに対応した項目の情報を抽出した。また、原著論文であるか、査読誌であるか確認した。
オ.主な結果
最終的に1報を採用し、乳酸菌 K-1(L. casei 327)500億個、2週間の摂取で便通が改善することが確認され、表示しようとする機能性は妥当と判断した。採用論文は臨床試験が日本で実施されていることより、日本人の外挿性の問題はないと判断した。
カ.科学的根拠の質
全研究のバイアスリスクは「低」、非直接性は「低」、不精確は「低」と判断した。また、抽出された論文が1報のため、非一貫性はおよびその他(出版バイアスなど)は「-(評価できない)」と判断した。最終的な全体のエビデンスの強さは「強」と判断した。使用したデータベースが少なく研究の収集が不完全と思われたことから、引き続き検討が必要と考えられた。
ア.標題
植物性乳酸菌 K-1(L. casei 327)の肌の潤いの維持作用に関する研究レビュー
イ.目的
植物性乳酸菌 K-1(L. casei 327)の摂取による肌の潤いの維持作用に関する機能性を検証する目的で実施した。
ウ.背景
食品成分による肌の保湿能の維持に関しては、グルコシルセラミドやヒアルロン酸ナトリウムなどが知られ、機能性表示食品としても数多く受理されている。これらとは異なった作用機序による肌の保湿能の維持も有用性が期待され、乳酸菌に代表される有用な菌による腸内フローラの改善や腸脳相関を作用機序とした肌の潤いの維持も有望と思われる。
エ.レビュー対象とした研究の特性
リサーチクエスチョン(以下RQ)及びPICOを以下のように設定し研究レビューを実施した。
RQ:「植物性乳酸菌K-1(L. casei 327)は、肌の潤いを維持させるか?」
P:「肌が乾燥ぎみな健常成人」
I:「植物性乳酸菌K-1(L. casei 327)の経口摂取(食品形態は問わない)」
C:「プラセボの経口摂取(プラセボの配合内容は問わない)」
O:「肌の潤い」
上記PICOをもとに検索式と除外基準を設定し、医中誌Web及びPubMedで論文を検索した。検索により特定された文献は、適格基準により採用文献と除外文献に選別し、採用文献からPICOに対応した項目の情報を抽出した。また、原著論文であるか、査読誌であるか確認した。
オ.主な結果
データベース検索により、最終的に2報を採用した。この2報の文献の質およびエビデンス総体の質の評価を行い、それらの結果を表示しようとする機能性との関連において評価した。その結果、植物性乳酸菌 K-1(L. casei 327)1,000億個、4週間の摂取で肌の潤いを維持することが確認され、表示しようとする機能性は妥当と判断した。2報とも臨床試験が日本で実施されていることより、日本人への外挿性の問題はないと判断した。
カ.科学的根拠の質
全研究のバイアスリスクは「中」、非直接性は「低」、不精確は「中」、非一貫性は「低」と判断し、全体のエビデンスの強さは「中等度」と判断した。使用したデータベースが少なく研究の収集が不完全と思われた。本機能性関与成分を使用した臨床試験は採用された2報のみであることから出版バイアスは低いと判断した。被験者が便秘傾向の女性で、皮膚の測定部位も少ないため、今後は男性被験者への対応や肌の測定部位なども増やし、より広範な研究が望まれる。 |