【標題】酢酸の摂取による健康な方の疲労感軽減機能に関する研究レビュー
【目的】酢酸の摂取が、健康な方の疲労感を軽減する機能について、文献を網羅的に調べることで検討しました。
【背景】現代社会の課題の一つに、生活環境の変化に伴う疲労の蓄積や、原因が明らかでない疲労が挙げられています。酢酸の摂取は、疲労感を軽減する可能性が報告されているため、酢酸が疲労感に及ぼす影響について、文献を網羅的に調べた研究レビューを実施し、有効性について検証しました。
【レビュー対象とした研究の特性】健康な方に、酢酸を含む食品、または対照食品(プラセボ食品)を摂取させ、疲労感を比較調査した文献を探しました。国内外の5つの文献データベースを検索したところ(2023年3月)、酢酸を666mg/日の用量で摂取した1つの文献が見つかり、これらの文献の中に1個のヒト試験の結果が記載されていました。
【主な結果】疲労感について調べた1つの試験結果で、日常生活で生じる運動(5~6METs)に伴う疲労感の軽減を示しました。これらの結果から、酢酸を含む食品の摂取は、健康な方の日常生活で生じる運動程度の疲労感を軽減すると考えられました。
【科学的根拠の質】検索された1の試験のうち、1つが研究の精度が高いとされるランダム化比較試験でした。研究の限界として、メタアナリシス(複数の研究の結果を統合する統計解析)による検証が行われていないことなどが挙げられますが、精度が高いとされる試験で評価したことから、評価結果は妥当だと判断されました。
【標題】酢酸の摂取による疾病に罹患していない方の腹部脂肪減少機能に関する研究レビュー
【目的】酢酸の摂取が、疾病に罹患していない方の腹部脂肪を減少する機能について、文献を網羅的に調べることで検討しました。
【背景】現在、食生活の欧米化や慢性的な運動不足などにより、メタボリックシンドロームをはじめとした生活習慣病の患者数が増加しています。これらの生活習慣病の要因の一つに肥満があり、肥満をコントロールすることが重要な課題となっています。酢酸の摂取は、腹部脂肪を減少する可能性が報告されているため、酢酸が腹部脂肪に及ぼす影響について、文献を網羅的に調べた研究レビューを実施し、有効性について検証しました。
【レビュー対象とした研究の特性】疾病に罹患していない方に、酢酸を含む食品、または対照食品(プラセボ食品)を摂取させ、腹部脂肪について比較調査した文献を探しました。国内外の5つの文献データベースを検索したところ(2023年3月)、酢酸を750mg~1,500mg/日の用量で摂取した1つの文献が見つかり、これらの文献の中に1個のヒト試験の結果が記載されていました。
【主な結果】脂肪の減少について調べた1つの試験結果で、肥満気味の方の腹部脂肪(内臓脂肪、腹部総脂肪)の減少を示しました。これらの結果から、酢酸を含む食品の摂取は、肥満気味の方の腹部脂肪(内臓脂肪、腹部総脂肪)を減少すると考えられました。
【科学的根拠の質】検索された1の試験のうち、1つが研究の精度が高いとされるランダム化比較試験でした。研究の限界として、メタアナリシス(複数の研究の結果を統合する統計解析)による検証が行われていないことなどが挙げられますが、精度が高いとされる試験で評価したことから、評価結果は妥当だと判断されました。
【標題】ビフィズス菌BB536摂取と排便状況および大腸の腸内環境に及ぼす影響
【目的】ビフィズス菌BB536を含む食品を摂取した時に、ビフィズス菌BB536のみを除いた食品を摂取した時と比較して、健康な成人の大腸の腸内環境(腸内細菌が作り出す腐敗産物である便中アンモニア量)や腸の調子(排便頻度)を良好にするかを明らかにするため研究レビューを実施しました。
【背景】排便が滞るなど消化器官が正常に活動できなくなると、健康状態に関係する生活の質が低下するほか、大腸内で有害な腐敗産物が増加します。ビフィズス菌や乳酸菌の摂取が、正常な消化器官の活動を助ける可能性が報告されていますが、ビフィズス菌BB536についての研究レビューは報告されていません。
【レビュー対象とした研究の特性】健康な成人を対象に、ビフィズス菌BB536を20億以上含む食品を1週間以上摂取、排便頻度と、大腸の腸内環境の指標として便中アンモニア量を比較調査した臨床試験を、国内外の5つの文献データベースで検索しました(2014年11月21日)。その結果、7つの文献が見つかり、これらの中に10個の試験結果が記載されていました。
【主な結果】10個の試験では、ビフィズス菌BB536を20億~200億/日の用量で摂取していました。摂取排便頻度を調べた6つの試験では、1つが増加を示さなかったものの5つは増加を示し、これらを統計学的に統合した解析結果は増加を示しました。また、便中アンモニア量を調べた4つの試験(3文献)では、対照食品摂取群と比較して減少を示した試験は1つでしたが、その他2つの試験でもビフィズス菌BB536摂取時期における便中アンモニア量の減少傾向が示され、統計学的に統合した解析結果は減少を示しました。以上の結果から、20億/日でビフィズス菌BB536を含む食品を摂取することは、健康な成人の大腸の腸内環境を改善し、腸の調子を整えると考えられました。
【科学的根拠の質】検索された10の試験のうち、2つが研究の精度が高いとされるランダム化比較試験で、8つが研究の精度が低いとされる非ランダム化比較試験でした。精度が低い試験も含めて評価したことから、評価の信頼性は限定されますが、試験結果に顕著なバラつきは認められず、評価結果は妥当だと判断されました。 |