【桑の葉由来イミノシュガー】
1)標題
桑の葉由来イミノシュガーの食後血糖値上昇抑制、糖の吸収抑制に関する研究レビュー
2)目的
成人健常者を対象として、桑の葉由来イミノシュガーの経口摂取による食後血糖値の上昇抑制作用および糖の吸収抑制作用について評価しました。
3)背景
桑葉においてはイミノシュガーと呼ばれるアザ糖の一種(DNJ、GAL-DNJ、ファゴミン)が同定され、それらがスクロースやマルトース等の二糖を単糖に分解するα-グルコシダーゼの活性を阻害することが報告されています。また、臨床試験においても、イミノシュガーを含む桑葉の摂取により食後の血糖値上昇抑制作用が報告されています。桑の葉由来イミノシュガーには、食事由来の糖質の吸収を抑制することで、血糖値の上昇を抑制する機能があると考えられますが、健常者に絞って評価した研究レビューは少ないです。そこで、健常者を対象に、イミノシュガーの単回経口摂取による食後の血糖値上昇抑制作用および糖の吸収抑制作用について、システマティックレビューの手法を用いた解析を実施しました。
4)レビュー対象とした研究の特性
外国語及び日本語のデータベースを使用し、ランダム化比較試験(RCT)・準RCTを対象に検索を行いました。対象の集団は、健康な成人男女であり、最終的に2報の査読付き論文を採用しました。
5)主な結果
採用論文2報を評価した結果、食後の血糖値上昇抑制作用、および糖の吸収抑制作用に対して肯定的であり、その有効性が認められていました。その際の一日当たりの桑の葉由来イミノシュガーの摂取量は2.42 mg、または10.2mgでした。したがって、一日当たり2.42mg以上の桑の葉由来イミノシュガーの摂取は、成人健常者の食後血糖値の上昇を抑制する作用、および糖の吸収を抑制する作用に関して肯定的であると判断しました。本品は一日当たりの摂取目安量中に桑の葉由来イミノシュガーを2.42 mg以上含んでおり、食後の血糖値上昇抑制、および糖の吸収抑制が期待できると判断しました。
6)科学的根拠の質
評価対象の2報はどちらも質の高いRCT論文でありました。全研究のバイアス・リスクの可能性は否定できませんでしたが、非直接性、不精確、非一貫性に問題は見られないと判断しました。研究レビューの限界として、採用論文数が2報しかないことが挙げられます。そのため、今後、さらなる研究が必要であると考えられました。
【ローズヒップ由来ティリロサイド】
1)標題
「プレミアム乳青」に含まれるローズヒップ由来ティリロサイドの体脂肪低減作用に関するシステマティック・レビュー
2)目的
健康な成人において、ローズヒップ由来ティリロサイド含有食品の摂取がプラセボ食品の摂取と比較し、体脂肪低減を助ける作用を有するかを明らかにするため、システマティック・レビューを実施した。
3)背景
ローズヒップは、主にヨーロッパや中近東、北アフリカを原産とするバラ科植物の果実で、その種子に含まれるポリフェノールの一つがティリロサイドである。動物実験によりローズヒップの体脂肪低減作用が明らかになり、ティリロサイドがその関与成分として報告されている。しかし、これまでにヒトを対象とした網羅的な研究報告はなかった。そこで、本研究レビューにて、ローズヒップ由来ティリロサイドを含む食品の摂取による健康な成人における体脂肪低減を助ける作用について検証を行った。
4)レビュー対象とした研究の特性
各種学術論文および臨床試験登録データベースを用い、収録されているすべての文献を対象として検索を行った。その結果、健康な成人を対象としたランダム化並行群間比較試験の論文1報を採用した。
5)主な結果
採用した1報は、BMI(Body Mass Index)が25.0 kg/m2以上30.0 kg/m2未満の疾病に罹患していない健康な成人32名を対象としており、ローズヒップエキスを含む食品(一日当たりローズヒップ由来ティリロサイド0.1 mgを含む)の摂取は、プラセボ食品の摂取と比べ、腹部内臓脂肪面積、腹部皮下脂肪面積、腹部全脂肪面積の摂取12週間後における初期からの変化量が、有意に大きかった。
6)科学的根拠の質
採用した文献は1報であったため、科学的根拠の一貫性を示すことができなかった。しかし、採用した文献は、日本人を対象としたランダム化並行群間比較試験であり、試験計画がよく遵守されていることから、ローズヒップ由来ティリロサイドを含む食品の摂取が体脂肪低減を助ける作用を示すという結果が、後発の研究結果によって大きく変わる可能性は低いと考える。
【有胞子性乳酸菌(Bacillus coagulans SANK70258)】
1)標題
有胞子性乳酸菌(Bacillus coagulans SANK70258)の便通改善効果に関する研究レビュー
2)目的
健常成人に対して、有胞子性乳酸菌(Bacillus coagulans SANK70258)摂取することにより、プラセボ摂取時と比較して便通が改善するか明らかにするため、研究レビューを実施しました。
3)背景
有胞子性乳酸菌(Bacillus coagulans SANK70258)は、1949年に緑麦芽から分離され、1966年に食品用として販売を始めました。以来、便通改善目的でも使用されていますが、これまで健常者に対する有胞子性乳酸菌(Bacillus coagulan SANK70258)の便通の改善機能を検証した研究レビューは報告されていません。
4)レビュー対象とした研究の特性
2019年11月13日に検索を実施しました。対象期間及び対象集団は指定していません。最終的に評価対象とした論文数は1報で、ランダム化二重盲検プラセボ対照並行群間比較試験で実施されていました。また、利益相反はありませんでした。
5)主な結果
リサーチクエスチョンと適格基準に適合するエビデンスとして1報の文献を採用しました。採用文献では、排便回数が比較的少ない(週3~5回)健常成人男女60名を対象に、有胞子性乳酸菌(B. coagulans SANK70258)を1億個含むカプセルを、1日1回、2週間連続摂取した際の、ランダム化二重盲検プラセボ対照並行群間比較試験を実施していました。具体的には排便回数や排便日数、腸内フローラパターンを評価した試験で、便通改善の効果が認められました。
6)科学的根拠の質
日本語・英語以外の言語に対する出版バイアスや、症例減少バイアスの疑いが残されています。また、評価した論文は1報であり、研究間での結果のばらつき等が評価できないなどの問題は残りますが、採用した論文はランダム化二重盲検プラセボ対照並行群間比較試験であり、その他の試験でも内容を支持する結果が得られていることから、今後の研究により現在の結果が大きく変わる可能性は低いと考えられます。 |