<S-アリルシステインの精神的疲労感の軽減に関する機能>
(ア)標題
機能性関与成分S-アリルシステインを用いた健常者における精神的疲労感の軽減に関する研究レビュー
(イ)目的
P:健常者に対して、I:S-アリルシステイン含有食品を経口摂取することにより、C:プラセボ食品の経口摂取と比較して、O:精神的疲労感を軽減する機能性がみられるかについて研究レビューを実施した。
(ウ)背景
S-アリルシステインは、フリーラジカル除去作用、抗酸化酵素誘導作用などさまざまな生理作用が報告されており、身体的・精神的疲労感に対する効果がヒト臨床試験により確認されている。そこで、認知機能を使うことにより感じる一時的な精神的疲労感がS-アリルシステインを摂取することにより軽減されるか評価することにより、機能性表示食品へ応用できる可能性を考え、研究レビューを実施した。
(エ)レビュー対象とした研究の特性
検索日は2022年4月4日、文献データベースは、PubMed、The Cochrane Library、医中誌Webおよび JDreamⅢを使用した。検索対象期間は1946年から検索日までとし、ランダム化比較試験(RCT)を対象に検索を行った。対象者は、疾病に罹患していない健常成人とし、未成年者、妊産婦(妊娠を計画している者を含む)、授乳婦、及び継続的、慢性的な疲労を感じている者を除くこととした。
(オ)主な結果
1報のRCT論文が抽出され、1報でS-アリルシステイン摂取群の評価項目(「精神的疲労感」)において一時的な疲労感を軽減する方向で有意な結果を示していることが確認された。被験食品と関連性のある有害事象は観察されなかった。
(カ) 科学的根拠の質
本研究レビューは、機能性関与成分を含む原材料を製造するメーカーが第三者機関に依頼し、実施した。したがって研究レビューの作成依頼者と実施者の間に経済的利益相反が存在するが、それ以外の個人的および組織的利益相反はない。
<S-アリルシステインの身体的疲労感の軽減に関する機能>
(ア)標題
S-アリルシステインの経口摂取による疲労感軽減効果に関する研究レビュー
(イ)目的
ヒトにおける、S-アリルシステインの摂取による疲労感軽減効果を評価した。本研究レビューでは、「健康な成人男女」において、「S- アリルシステインの経口摂取」が、「プラセボの経口摂取」と比較して、「疲労感を軽減するか」の評価を目的とした。
(ウ)背景
S-アリルシステインは、強い抗酸化作用を有しており、非アルコール性脂肪肝(NASH)の改善作用や肝障害の抑制作用など複数の機能性が報告されている。また、S-アリルシステインを含む熟成にんにくエキス含有食品は、疲労感の軽減効果があることが報告されている。しかしながら、S-アリルシステインの摂取が疲労感を軽減することについての研究レビューはない。
(エ)レビュー対象とした研究の特性
本研究レビューの作成は、事前に規定したプロトコールに基づき行った。使用したデータベースは、PubMed、医中誌Web、JDreamIII(JSTPlus+JMEDPlus+JST7580)を検索した。得られた報告について、Minds診療ガイドライン作成マニュアル 2017(小島原典子・中山健夫・森實敏夫・山口直人・吉田雅博編集.公益財団法人日本医療機能評価機構 EBM医療情報部.2017.)に基づき、採用した各報告と研究全体での各種バイアスリスクの評価や、S-アリルシステインの経口摂取による疲労感軽減効果のエビデンスの強さなどを評価した。
(オ)主な結果
採用した4報で有効性を認め、対照群との比較により有意な効果を認めていた。その結果は、健康な成人男女においてS-アリルシステインを1 mg~2 mg含む食品を経口摂取することで、プラセボの経口摂取と比較して、日常生活における軽い運動後の一時的な疲労感を軽減することが認められることが確認された。
(カ)科学的根拠の質
疲労感軽減効果のエビデンス(科学的根拠)総体について、バイアスリスク(偏りの危険性)は中程度、エビデンスの強さは強(A)と評価した。ただし、本研究レビューの限界として、サンプリングバイアス(被験者の偏り)や出版バイアス(否定的な研究結果が公表されていないこと)が完全には否定できないことなどが挙げられる。 |