【プラズマ乳酸菌の機能について】
①標題
「キリン iMUSE(イミューズ) 免疫ケア・ヘルシア内臓脂肪ダウン」に含まれるプラズマ乳酸菌(L. lactis strain Plasma)の健康な人の免疫機能の維持に関する評価
②目的
L. lactis strain Plasmaを健康な方が摂取することによって、L. lactis strain Plasmaを摂取しない場合と比較して免疫機能が維持されるかを明らかにする。
③背景
L. lactis strain Plasmaは、酸乳から分離されたチーズやヨーグルトの発酵に使われる乳酸菌の一種で、免疫調節に重要なプラズマサイトイド樹状細胞(pDC)を活性化することが見いだされている。pDCは健康維持に重要な役割を担っている免疫細胞と考えられているため、L. lactis strain Plasmaの摂取によってpDCの活性を高めることは、免疫機能の適切な維持さらには日常生活での体調管理に役立つと期待される。
これまでに、L. lactis strain PlasmaによるpDCの活性化は、細胞を用いた試験管内での評価や、モデル動物を用いた研究により明らかになっている。また、ヒトを対象としたL. lactis strain Plasmaを摂取する試験も実施されており、血液中のpDCを活性化することに加え、健康維持に効果があるといった結果が報告されている。しかし、L. lactis strain Plasmaの摂取による効果について明確ではなかったため、「免疫機能の維持」に着目して、網羅的に文献調査を行うことでL. lactis strain Plasmaの有効性を評価した。
④レビュー対象とした研究の特性
文献の検索は、5つのデータベースを用いて、2022年5月16日に、公表された和文と英文論文を対象に実施した。その結果、調査対象となる文献が7報得られた。7報のうち、pDCへの作用について報告した文献は6報、体調に関する全身の自覚症状について報告した文献は7報、体調に関する特定の部位の自覚症状について報告した文献は6報あった。いずれの文献も研究の質に問題はなく、調査対象として採用できるものであった。利益相反については適切に記載されていた。
⑤主な結果
調査対象の文献7報は全て、L. lactis strain Plasmaを1日あたり1000億個摂取していた。pDCへの作用について報告した文献6報のうち3報でpDC活性化を示す指標が対照群と比較して有意に高値であった。体調に関する全身の自覚症状について報告した文献7報のうち5報で全身の自覚症状(全身倦怠感、寒気、熱っぽさ、総合的な臨床症状、体調、疲労または吐き気)のいずれかが対照群と比較してより軽度に維持されていた。体調に関する特定の部位の自覚症状について報告した文献6報全てで特定の部位の自覚症状(くしゃみ、鼻汁、鼻閉、のどの痛み、せき、頭痛、関節痛、筋肉痛、目の奥の痛みまたは下痢)のいずれかが対照群と比較してより軽度に維持されていた。
⑥科学的根拠の質
調査対象の文献7報は、いずれも研究の質が高く、各項目に関して一定の根拠が認められた。これらを総合的に判断し、L. lactis strain Plasmaの免疫機能の維持効果について示唆的な根拠があると判断した。調査対象の文献が7報と十分に多いとは言えないことが本調査の限界であり、更なる臨床研究が望まれる。
【コーヒー豆由来クロロゲン酸類の機能について】
①標題
機能性関与成分「コーヒー豆由来クロロゲン酸類」による内臓脂肪に関する定量的研究レビュー(メタアナリシス※)
②目的
疾病に罹患していない者(未成年者、妊産婦、授乳婦は除く、特定保健用食品の試験対象者の肥満1度を含む)が、コーヒー豆由来クロロゲン酸類を継続摂取した時に、対照食品を摂取した時と比較して、内臓脂肪に及ぼす影響について検証するために、メタアナリシスを実施した。
③背景
コーヒー豆由来クロロゲン酸類の継続摂取は、内臓脂肪を低減させることが報告されている。本研究レビューでは、コーヒー豆由来クロロゲン酸類の内臓脂肪の低減効果を検証するため、メタアナリシスを実施した。
④レビュー対象とした研究の特性
2020年4月6日に3つのデータベースの開設日から検索日までの情報を対象に検索を行った。検索の結果、2報を採用文献とした。採用文献は全て、日本人の成人男女の疾病に罹患していない者(肥満1度)を対象とし、コーヒー豆由来クロロゲン酸類含有飲料を12週間摂取させ、腹部脂肪面積の低減効果を対照食品摂取と比較したランダム化比較試験 (※※)であった。採用文献2報全ての著者に、試験食品製造元の社員が含まれていた。
⑤主な結果
メタアナリシスの結果、コーヒー豆由来クロロゲン酸類の摂取により対照食品摂取と比較して、疾病に罹患していない者の内臓脂肪面積を有意に低減させることが示された。なお、有意な内臓脂肪面積の低減効果が認められた最小有効摂取量は267 mg/日であった。よって、コーヒー豆由来クロロゲン酸類の一日当たり267 mg以上の継続摂取は、内臓脂肪を低減させる効果を有することが示された。採用文献の対象者は全て日本人成人男女であり、コーヒー豆由来クロロゲン酸類は肥満1度の日本人の内臓脂肪を低減させる機能を持つと考えられた。本品は、コーヒー豆由来クロロゲン酸類を267 mg/日含むことから、内臓脂肪を低減する機能を持つと考えられた。なお、コーヒー豆由来クロロゲン酸類摂取による、安全性上の問題についての報告はなかった。
⑥科学的根拠の質
採用文献が2報と少ないことが本調査の限界であるが、2報とも被験者数の大きな試験で解析対象者は合計251名であり、メタアナリシスで評価していることから、コーヒー豆由来クロロゲン酸類の内臓脂肪の低減効果の科学的根拠は担保されていると考えられる。また、採用文献は全て日本人成人を対象とした試験であるため、コーヒー豆由来クロロゲン酸類は日本人において内臓脂肪を低減させる機能性を持つと考えられる。
※メタアナリシス:複数の研究の結果を統計学的に統合して効果を評価する方法。ランダム化比較試験のメタアナリシスは、最も質の高い根拠とされている。
※※ランダム化比較試験:評価の偏りを避けて客観的に効果を評価できる試験方法で、信頼性の高い結果が得られるとされている試験方法。 |