≪1-1.標題≫
マルトビオン酸Ca(マルトビオン酸として)の骨密度増加作用(維持効果)に関する研究レビュー
≪1-2.目的≫
健常な中高年の方に対して、マルトビオン酸の摂取が、骨密度増加作用(維持効果)に有効性を示すかを検証した。
≪1-3.背景≫
マルトビオン酸はカルシウムなどのミネラル塩の可溶化安定性に優れ、カルシウムの体内吸収を増進させることや、骨再構築(骨リモデリング)過程において、古い骨を壊す(骨吸収)働きを持つ破骨細胞の分化を抑制することが報告されている。今回、健常な中高年の方に対して、マルトビオン酸の摂取が骨密度の維持に寄与するか研究レビューを実施した。
≪1-4.レビュー対象とした研究の特性≫
健常中高年の方を対象にマルトビオン酸の摂取が、プラセボと比較して、骨密度の増加作用(維持効果)について評価した研究を検索した。国内外の文献データベース等を用いて検索を行った結果、条件を満たしたRCT研究は2件であった。
≪1-5.主な結果≫
健常な中高年女性が、1日あたりマルトビオン酸Caを5.08 g (マルトビオン酸換算で4.824 g、またはマルトビオン酸を2.83 gを24週間継続摂取により骨密度の増加作用(維持効果)に関する効果が認められた。よって、1日あたりマルトビオン酸2.83 g以上(マルトビオン酸Ca換算で2.98 g以上)の継続摂取が、骨密度の維持に有効であると考えられた。
≪1-6.科学的根拠の質≫
本レビューの限界として、出版バイアスリスクや症例減少バイアスリスクが挙げられる。また、採用RCT研究2件の腰椎正面総量に関する骨密度は2件とも有意差が確認されるも、1件の左大腿骨総量に有意差が得られていないことや、RCT研究2件とも、中高年の日本人女性を対象としていた。男性においても、骨密度低下作用は、加齢に伴うエストロゲンの減少によることが報告されていることや、加齢に伴うCaの吸収能の低下も加齢に伴う骨密度の低下要因となる。このためマルトビオン酸によるCaの吸収促進機能により、加齢に伴う骨密度の減少を抑制させるメカニズムは、中高年の男性の骨密度維持にも有効的に働くと考えられるが、今後更なるエビデンスの蓄積が望まれる。
≪2-1.標題≫
マルトビオン酸Ca(マルトビオン酸として)の骨代謝(骨吸収・骨形成)改善効果に関する研究レビュー
≪2-2.目的≫
健常な中高年の方を対象にマルトビオン酸の摂取が、骨代謝(骨吸収・骨形成)改善効果に有効性を示すかを検証した。
≪2-3.背景≫
マルトビオン酸はカルシウムなどのミネラル塩の可溶化安定性に優れ、カルシウムの体内吸収を増進させることや、骨再構築(骨リモデリング)過程において、古い骨を壊す(骨吸収)働きを持つ破骨細胞の分化を抑制することが報告されている。今回、健常な中高年の方に対して、マルトビオン酸の摂取が骨代謝改善に寄与するか研究レビューを実施した。
≪2-4.レビュー対象とした研究の特性≫
健常中高年の方を対象にマルトビオン酸の摂取が、プラセボと比較して、骨代謝改善作用に対する有効性(評価指標:骨吸収マーカーの低下、骨形成マーカーの上昇)について評価した研究を検索した。国内外の文献データベース等を用いて検索を行った結果、条件を満たしたRCT研究は5件であった。
≪2-5.主な結果≫
健常な中高年女性が、マルトビオン酸を1日あたり0.8 gおよび1.6 g、或いはマルトビオン酸Ca 2.54 g (マルトビオン酸換算で2.42 g)を4週間継続摂取することで、骨吸収マーカーの低下や骨形成マーカーの上昇が確認された。よって、1日あたりマルトビオン酸0.8 g以上(マルトビオン酸Ca換算で0.843 g以上)の継続摂取が、加齢に伴い亢進する骨吸収をおだやかにし、骨の成分維持に有効であると考えられた。
≪2-6.科学的根拠の質≫
本レビューの限界として、出版バイアスリスクが挙げられる。RCT研究5件とも、中高年の日本人女性を対象としていた。また、RCT研究2件では、副次アウトカムとして評価した骨代謝マーカーは有意な結果となっていなかった。マルトビオン酸によるカルシウムの腸管吸収を促進する働きで、カルシトニンの分泌が促進され、骨吸収が抑制される作用メカニズムは、中高年男性の骨の成分維持にも有効に働くと期待されるが、今後更なるエビデンスの蓄積が望まれる。
≪3-1.標題≫
マルトビオン酸Ca(マルトビオン酸として)の便通改善に関する研究レビュー
≪3-2.目的≫
健常成人に対して、マルトビオン酸の摂取が、おなかの調子を整え、お通じを改善するかを検証することを目的とした。
≪3-3.背景≫
マルトビオン酸は難消化性のオリゴ糖であり、動物試験等において、腸内環境改善効果に関する結果が報告されている。今回、便秘傾向の健常成人がマルトビオン酸を摂取した際の便通改善を評価した。
≪3-4. レビュー対象とした研究の特性≫
便秘傾向の健常成人を対象にマルトビオン酸を含む食品の摂取が、プラセボと比較して、便通改善を示すかを検証した研究を検索した。国内外の文献データベース等を用いて検索を行った結果、条件を満たしたRCT研究は3件であった。
≪3-5.主な結果≫
1日あたりマルトビオン酸として0.8g或いは1.6 g、マルトビオン酸Caとして2.54g(マルトビオン酸換算で2.412 g)を継続摂取により、排便回数や日数が有意に増加し、便秘の自覚症状(便形状・硬さ、排便痛)の改善が認められた。よって1日あたりマルトビオン酸0.8 g以上(マルトビオン酸Ca換算で0.843 g以上)の継続的な摂取は、便秘傾向である健常成人に対して、便の状態(量、形、硬さ)を整え、お通じ(回数、排便痛)を改善する効果に有効であると考えられた。
≪3-6.科学的根拠の質≫
本レビューの限界として、出版バイアスリスクや症例減少バイアスリスクが挙げられる。また、RCT研究3件とも対象者が女性のみであった。マルトビオン酸によりおなかの調子を整えるメカニズムは、年齢や性別において差異はないと考えられることから、他年齢や男性への外挿も可能であると判断したが、今後更なるエビデンスの蓄積が望まれる。 |