◆バナバ葉由来コロソリン酸
【標題】
バナバ葉由来コロソリン酸による空腹時血糖値の低下に関する研究レビュー
【目的】
成人健常者を対象として、バナバ葉由来コロソリン酸の摂取による空腹時血糖値の低下について評価を行った。
【背景】
バナバ(和名:オオバナサルスベリ、学名:Lagerstroemia speciosa)はミソハギ科の植物でインドネシアやタイなどの熱帯、亜熱帯地域に分布している。その葉は煮だし茶などの食材に用いられ、フィリピンでは糖尿病の治療のための民間薬として飲用されている。バナバの主成分であるコロソリン酸はトリテルペンの一種であり、糖尿病モデル動物およびヒト細胞試験から、細胞や体組織への糖の取り込みを促進し、血糖値を低下させる作用、食後の血糖値の急激な上昇を抑制する作用、肝臓での糖新生を抑制する作用等が報告されている。また、バナバ葉由来コロソリン酸の血糖値上昇抑制機能についてはヒトでの研究も行われている。しかし、それらを総合的に評価した報告は見られなかった。そこで、健常者(血糖値が高めの方を含む)がバナバ葉由来コロソリン酸を摂取したときの空腹時血糖値を低下させる機能について研究レビューを行い、その科学的エビデンスの確認を行うこととした。
【レビュー対象とした研究の特性】
外国語及び日本語のデータベースを使用し、空腹時血糖値の低下について検討している論文の中からランダム化比較試験(RCT)を対象に検索を行った。対象の集団は、健常成人男女であり、最終的には1報の論文を採用した。
【主な結果】
血糖値が比較的高値な被験者(空腹時血糖値100~125 mg/dL)を対象にバナバ葉由来コロソリン酸を摂取させ、プラセボ摂取と比較して、血糖値(空腹時血糖、HbA1c、)の有意な低下が認められていた。また、バナバ葉由来コロソリン酸の一日当たりの有効摂取量は、0.9 mgであった。
したがって、バナバ葉由来コロソリン酸の摂取は空腹時血糖値を低下させる作用に関して肯定的であると判断した。
本品はバナバ葉由来コロソリン酸を0.9㎎以上含んでおり、空腹時血糖値を低下させる効果が期待できると判断した。
【科学的根拠の質】
本研究レビューでは、バナバ葉由来コロソリン酸摂取の効果について1報のRCT論文を評価した。本研究レビューの限界として論文数が1報しかないため、今後さらなる研究が必要と考えられる。また、PubMed、The Cochrane Library、医中誌Webの3つデータベースを用いて、英語、和文の両方を検索したが、網羅的に検索できているかという出版バイアスが存在する可能性がある。
◆GABA(血圧)
【標題】血圧低下作用に関する研究レビュー
【目的】血圧が高めの健常者に対するGABA摂取による血圧低下効果を検討した。
【背景】GABAは発酵食品などに含まれており、日常的に摂取されているアミノ酸であり、血圧降下作用があることが知られている。
【レビュー対象とした研究の特性】国内外の文献データベースを検索し、健康成人対象でGABA・プラセボ摂取時を比較した試験で血圧を評価している文献15報を評価した。
【主な結果】正常高血圧の人において、12.3mg~80mg/日のGABA摂取時の効果として、血圧が有意に低下する効果が認められた。また、正常な血圧の人のみを対象とした場合は正常な血圧を維持した。
【科学的根拠の質】今回のレビューにおける採用文献は、いずれも日本人を対象とした研究であり、日本人への外挿性については問題ないと考えられる。採用した 15 報の論文のバイアス・リスクの評価では、1 報が「中」、残りの採用論文は、「低」であった。エビデンスの強さでは、収縮期血圧は強(A)、拡張期血圧は中(B)と評価した。比較的研究の進んでいるジャンルであるが、出版バイアスなどは否定できない。
◆GABA(睡眠の質(眠りの深さ))
【標題】睡眠の質(眠りの深さ)に関する研究レビュー
【目的】GABA摂取による睡眠の質(眠りの深さ)の改善効果を検討した。
【背景】GABA摂取により、精神的ストレスがかかる作業における一時的な疲労感を軽減することや、睡眠の質を改善することが既に報告されている。
【レビュー対象とした研究の特性】国内外の文献データベースを検索し、健康成人対象でGABA・プラセボ摂取時を比較した試験で脳波を評価している文献2報を評価した。
【主な結果】GABA摂取(100 mg/日)の効果として、採用文献2報で、深い睡眠時間が有意に増加した。また1報では、ストレス状況や疲労感の違いによる層別解析を実施した場合、一時的な疲労感やストレスをより感じている人のノンレム睡眠ステージ3の時間が、有意に増加した。
【科学的根拠の質】今回のレビューにおける採用文献は、いずれも日本人を対象とした研究であり、日本人への外挿性については問題ないと考えられる。採用文献のバイアス・リスクは「低」とした。不精確性に関しては採用文献全体の症例数が少ないため「中」とした。非直接性、非一貫性は「低」とした。エビデンスの強さは客観的評価指標である脳波(ノンレム睡眠時間)であるため「中(B)」と評価した。ただし、採用文献が2報であるため出版バイアスの可能性が否定できないことから、今後さらなる研究結果が発表され、エビデンスの拡充が望まれる。
◆GABA(睡眠後の目覚めの質)
【標題】睡眠後の目覚めの質に関する研究レビュー
【目的】GABA摂取による睡眠の質(目覚め)の改善効果を検証した。
【背景】目覚めの質と睡眠の質は正の相関関係にあると考えられる。よって目覚めの質が睡眠の質を評価する上で重要な指標の一つである。
【レビュー対象とした研究の特性】国内外の文献データベースを検索し、健康成人を対象とし、GABA・プラセボ摂取時を比較した試験でVAS[feeling upon awakening]を評価している文献1報を評価した。
【主な結果】睡眠の質がやや低い健康な成人男女がGABA 100 mg/日を摂取することで睡眠の質(目覚め)が有意に改善した。
【科学的根拠の質】今回のレビューにおける採用文献は、日本人を対象とした研究であり、日本人への外挿性については問題ないと考えられる。採用文献のバイアス・リスクは低度であり、VAS【feelings upon awakening】のエビデンスの強さは「中(B)」と評価した。ただし、採用した文献が1報であることから、今後さらなる効果の検討が望まれる。
◆GABA(一時的な活気・活力感の低下軽減効果)
【標題】一時的な活気・活力感の低下軽減効果に関する研究レビュー
【目的】GABA摂取による日常生活における一時的な活気・活力の低下を軽減する効果について検証した。
【背景】日常生活で、一定期間十分な休息なく継続して精神的、身体的負荷がかかる場合、健常人でも、一時的な活気・活力感が低下することが考えられる。日常生活で一時的に活気・活力感が低下している人に対するGABA摂取効果について検討した。
【レビュー対象とした研究の特性】国内外の文献データベースを検索し、日常生活で一時的に活気・活力感が低下している健康な成人男女を対象とし、GABA摂取群とプラセボ群を比較した試験でありPOMS2-AS「活気-活力」を評価している1報を評価した。
【主な結果】GABA 100 mg/日を摂取することにより、一時的な活気・活力の低下を軽減する効果が確認された。
【科学的根拠の質】今回のレビューにおける採用文献は、日本人を対象とした研究であり、日本人への外挿性については問題ないと考えられる。採用文献のバイアス・リスクは「低」であった。その他バイアスで採用文献1報のみのため出版バイアスが否定できないため「中」とし、エビデンスの強さは「中(B)」と評価した。ただし、採用文献が1報であり、今後さらなる効果の検討が望まれる。 |