【GABA】
●仕事や家事などによる一時的な疲労感や精神的ストレスの緩和効果に関する研究レビュー
【目的】日常生活における精神的ストレスがかかる作業によって生じる一時的な疲労感に対してGABA摂取の機能性を検証した。
【背景】GABAのデスクワークなどを主体とする精神負荷作業における疲労感の緩和について、これまで網羅的に評価された文献はなかった。そこでGABAの精神的ストレスがかかる作業後の疲労感緩和効果について検証するため本研究レビューを行った。
【レビュー対象とした研究の特性】英語、日本語の医学論文データベースを検索し、精査した結果、健常成人を対象とし、GABA・プラセボ摂取時を比較した試験である7報の文献を評価した。
【主な結果】一時的なストレスや疲労感を評価する指標「主観的指標(VAS、POMS)、客観的指標(唾液中のコルチゾール・クロモグラニンA、脳波の変動、自律神経活動の各指標)」により評価した結果、28 mg以上のGABAを摂取することで、事務作業や家事による一時的なストレスや疲労感を和らげる効果が確認された。
【科学的根拠の質】論文のバイアスリスクの評価では、採用論文7報中1報が中程度であり、他の6報は低度であった。エビデンスの一貫性など特に問題は認められず、科学的根拠の質は高いと考えられる。
●睡眠後の目覚めの質に関する研究レビュー
【目的】日常生活における睡眠の質(目覚め)に対するGABA摂取の機能性を検証した。
【背景】目覚めの質と睡眠の質は正の相関関係にあると考えられる。よって目覚めの質が睡眠の質を評価する上で重要な指標の一つであるとし、GABA摂取による日常生活における睡眠の質(目覚め)への効果を検討した。
【レビュー対象とした研究の特性】英語、日本語の医学論文データベースを検索し、健康成人を対象とし、GABA・プラセボ摂取時を比較した試験であり、VAS[feeling upon awakening]を評価している文献1報を評価した。
【主な結果】睡眠の質がやや低い健康な成人男女がGABA 100 mgを摂取することにより、睡眠の質(目覚め)の改善が認められた。
【科学的根拠の質】論文のバイアスリスクの評価では、採用論文は低度であった。
●睡眠の質(眠りの深さ)に関する研究レビュー
【目的】GABA摂取による睡眠の質(眠りの深さ)を改善する効果について、機能性を検討した。
【背景】GABA摂取により、精神的ストレスがかかる作業における一時的な疲労感を軽減することや、睡眠の質を改善することが既に報告されている。そこで、GABA摂取による日常生活における睡眠の質(眠りの深さ)改善への効果を検討した。
【レビュー対象とした研究の特性】英語、日本語の医学論文データベースを検索し、健康成人対象でGABA・プラセボ摂取時を比較した試験で脳波を評価している文献を2報採用し評価した。
【主な結果】GABA摂取(100 mg/日)の効果として、採用文献2報で、深い睡眠時間の有意な増加を示している。また1報では、ストレス状況や疲労感の違いによる層別解析を実施した場合、一時的な疲労感やストレスをより強く感じている人のノンレム睡眠ステージ3の時間が、GABA摂取時はプラセボ摂取時と比較して有意に増加した。
【科学的根拠の質】採用文献のバイアスリスクは低度であり、査読ありのRCT論文で、客観的評価指標の脳波であるため科学的根拠の質は高いと考えられる。
【カツオ由来エラスチンペプチド】
●血管のしなやかさ(柔軟性)維持に役立つ機能に関する研究レビュー
【目的】健常成人がカツオ由来エラスチンペプチドを摂取することによって、血管機能の改善に役立つかの検証を目的とした。
【背景】エラスチンはゴムのように伸縮性に富むタンパク質であり、動脈では中膜に多く存在し、血圧及び血流の拍動を緩衝するのに役立っている。しかし、加齢により中膜のエラスチンが減少し、血管はしなやかさ(柔軟性)を失うことが報告されている。エラスチンは血管機能に重要な役割を担っているが、経口摂取による血管機能への効果をまとめたレビューはない。そこで、カツオ由来エラスチンペプチド摂取による血管機能の改善作用について検証するため本研究レビューを行った。
【レビュー対象とした研究の特性】日本語及び外国語文献のデータベースを用いて、健常成人がカツオ由来エラスチンペプチドを経口摂取することで、血管機能が改善するかを検証した並行群間比較試験を検索し、合致するものを対象とした。
【主な結果】採用文献によると、血管弾性を表す数値(上腕足首間脈波伝播速度)が各年代及び性別における基準範囲内であり、40歳以上64歳以下の疾病を患っていない健康な日本人男性及び女性を対象に、カツオ由来エラスチンペプチド75mg/日またはプラセボを16週間持続して経口摂取させることで、エラスチン群ではプラセボ群と比較して血管弾性、血管内皮機能が有意に改善した。本レビューによって、健常者がカツオ由来エラスチンペプチド75mg/日を経口摂取することで、加齢とともに低下する血管のしなやかさ(柔軟性)(血管を締め付けた後の血管の拡張度)維持に役立つ機能を期待できると判断した。
なお、広辞苑(第七版)によると「柔軟」とは「やわらかなこと」「しなやかなこと」と定義されている。本届出においては、血管を締め付けた後の血管の拡張度によって評価される血管の柔軟性を、より消費者が理解しやすいように「血管のしなやかさ(柔軟性)」と言い換えて表示することとした。
【科学的根拠の質】本レビューの限界として、出版バイアスの可能性や未発表データが存在する可能性は否定できない点があるが、公開されている当該研究はほぼ網羅されていると判断した。採用文献は査読付であり、人間ドックなどに用いられ学術的にも信頼性のある検査法を用いているため、科学的根拠の質は機能性評価に値すると考えた。
●膝関節の動きをサポートする機能に関する研究レビュー
【目的】健常成人がカツオ由来エラスチンペプチドを摂取することによって、膝関節機能の改善に役立つかを検証することを目的とした。
【背景】エラスチンは、膝の靭帯の構成成分であり、靭帯の張力を保ち関節を支持・安定化するのに役立っているが、加齢とともにエラスチンが変性・減少し、靭帯機能や張力低下の原因の一つと予測される。そこで、カツオ由来エラスチンペプチド摂取による膝関節機能の改善作用について検証するため本研究レビューを行った。
【レビュー対象とした研究の特性】日本語及び外国語文献のデータベースを用いて、健常成人がカツオ由来エラスチンペプチドを経口摂取することで、膝関節機能が改善するかを検証した並行群間比較試験を検索し、合致するもの対象とした。
【主な結果】採用文献によると、膝関節痛の自覚症状はあるが、変形性膝関節症などの疾病がない45歳以上75歳以下の健常成人(日本人)男女が、カツオ由来エラスチンペプチド75(mg/日)またはプラセボを12週間持続して経口摂取したところ、日本版変形性膝関節症患者機能評価表(JKOM)のスコア評価により、「膝の痛みやこわばり」、「日常生活の状態」、「普段の活動」に関する設問の合計点について、エラスチン群では12週間後にプラセボ群と比較して、有意な改善が認められた。本レビューによって、膝関節の違和感を持つ健常な中高年の方がカツオ由来エラスチンペプチドを75(mg/日)経口摂取することで、膝関節の動きの悩みを緩和する機能が期待できると判断した。
【科学的根拠の質】本レビューの限界として、出版バイアスの可能性や未発表データが存在する可能性は否定できない点が挙げられるが、研究の収集は科学技術および医療分野の主要なデータベースを使用しているため、公開されている当該研究はほぼ網羅されていると判断した。採用文献は査読付き論文であり、日本人を対象とした信頼性の高い評価指標を用いていることから、科学的根拠の質は機能性評価に値すると考えた。 |