◆骨の成分の維持
【標題】
「菜ごころ富山県産大豆」に含まれる大豆イソフラボン摂取による骨吸収抑制作用に関する定性的研究レビュー
【目的】
健常な日本人女性(未成年者、妊産婦及び授乳婦は除く。)において、大豆イソフラボンの摂取が骨吸収抑制の機能性を有するか明らかにするため、定性的研究レビューを実施した。
【背景】
人の骨は常に代謝しており、古い骨が破骨細胞により吸収される骨吸収と、新しい骨が骨芽細胞により作られる骨形成のバランスが維持されることで、骨の成分が維持されている。骨吸収と骨形成のバランスがくずれ骨吸収が上回ると、骨密度は低下し、骨質が劣化していくことが知られている。中高年の女性、特に閉経後においては、女性ホルモンであるエストロゲンの欠乏に起因する骨吸収の亢進により急激な骨量の減少が起こりやすく、丈夫な骨の維持はエストロゲンに大きく影響されることが報告されている。大豆に含まれる大豆イソフラボンは植物エストロゲンの一種であり、大豆イソフラボンには弱いエストロゲン様作用があることが知られており、骨吸収の抑制に効果があることが報告されている。そこで本研究レビューでは、骨吸収マーカーである尿中デオキシピリジノリン量を指標に、健常な日本人女性において、大豆イソフラボンの摂取が骨吸収抑制作用を有するかを検証した。
【レビュー対象とした研究の特性】
文献検索により最終的に5報の文献を採用した。評価対象となった5報は日本語(3報)、英語(2報)で記載されておりいずれも無作為化二重盲験プラセボ対象比較試験であった。試験デザインは、5報のうちクロスオーバー試験が3報、並行群間試験が2報であった。
【主な結果】
主な結果:適格基準に合致するエビデンスとして5報の文献を採用した。5報のうち2報(文献3、5)において、大豆イソフラボン26.4と23.3 mg/日(アグリコン換算)の摂取により対照群との比較において尿中デオキシピリジノリン量の有意な低下が確認された(効果あり)。1報(文献1)においては介入群の摂取前後のみ有意であり、対照群との比較において効果が認められなかった(効果なし)。2報(文献2、4)においては介入群の摂取前後のみ有意な低下が認められ、群間での有意差が不明確であった(判定保留)。さらなるエビデンスの充実が必要ではあるものの、本研究レビューの結果から大豆イソフラボンの摂取が骨吸収マーカーである尿中デオキシピリジノリン量を有意に低下させることから、大豆イソフラボンの摂取は骨吸収を抑制する作用を有するという肯定的な結果を得た。以上のことから、大豆イソフラボン23.3 mg/日(アグリコン換算)以上の摂取は骨吸収抑制作用を有することで骨の成分の維持に役立つ機能があることが示唆されると考えられた。
【科学的根拠の質】
レビューレベルの限界については、主な摂取対象者である日本人女性を考慮し、健常な日本人女性(未成年者、妊産婦及び授乳婦は除く。)を試験対象者とすることで大豆イソフラボン摂取による骨吸収を抑制する作用について検証したため採用論文が5報と少ないことが挙げられた。しかしながら、大豆イソフラボンの摂取は骨吸収マーカーである尿中デオキシピリジノリン量を有意に低下させることから、大豆イソフラボンの摂取は骨吸収を抑制する作用を有するという肯定的な結果を得た。さらなるエビデンスの充実が必要ではあるものの、本研究レビューの結果から大豆イソフラボンの摂取は骨吸収を抑制する作用を有すると考えられた。
◆皮膚の潤いの保持
【標題】
最終製品「菜ごころ富山県産大豆」に含有する機能性関与成分「大豆イソフラボン」が皮膚の潤いを維持する機能に関するシステマティックレビュー
【目的】
中高年女性が、大豆イソフラボンを含む食品を摂取する場合、プラセボ摂取と比較して皮膚の潤いを維持する機能に違いがあるかを検証することとした。
【背景】
大豆イソフラボンはマメ科植物が多く含むポリフェノールの一種であるイソフラボンのうち、大豆に含まれるイソフラボンの総称である。
大豆イソフラボンが肌の潤いを維持する機能に関しては、女性ホルモンの一種であるエストロゲン様の働きをすることで中高年女性のエストロゲンの減少を補って肌の潤いを維持する作用が期待されているものの、中高年女性が大豆イソフラボンを摂取した場合の肌の潤いを評価したシステマティックレビューは確認できなかった。
【レビュー対象とした研究の特性】
PubMed、Cochrane Library、JDreamⅢ(JSTPlus+JMEDPlus+JST7580)を情報源として用いるデータベースとして文献検索を行った(検索日2021年10月8日)。その結果、計208報の文献が検索され、採用基準で選抜した結果、1報が採用された。採用文献について評価を行った。
【主な結果】
採用文献はRCTであり、健常な中高年女性が大豆イソフラボンを摂取し、介入群の角質水分量が対照群と比較して有意に高い値であった。このことより、大豆イソフラボンが肌の潤いを維持する機能に対して肯定的な結果が得られた。
【科学的根拠の質】
英語及び日本語文献データベースを用い論文収集を行ったが、未発表のデータが存在する可能性が否定できない。また、採用文献が1報と極めて少なかった。しかし、採用文献は日本人を対象とした試験であり、エビデンス総体の質は中程度と評価し、レビュー結果は信頼できるものであると考えられた。 |