■血圧低下機能に関する研究レビュー
【標題】GABA摂取による血圧が高めの方の血圧を低下させる機能性についての研究レビュー
【目的】血圧が正常もしくは高め〔最高(収縮期)血圧~139 mmHgまで、または、
最低(拡張期)血圧~89 mmHgまで〕の健常成人が、長期間GABAを含む食品を摂取
した場合と、GABAを含まない食品を摂取した場合で、血圧低下機能に違いがあるか
どうかを評価し、届出品に含まれる量のGABAが健常人の高めの血圧を健康的な値
に保つことをサポートするかを検証することを目的とした。
【背景】本品を機能性表示食品として販売するにあたり、GABAを配合した本届出品の血圧低下機能について検証するため、本研究レビューを行った。
【レビュー対象とした研究の特性】
日本語および英語の文献データベース、健康食品素材のデータベースを用いて文献
調査を行い、2016年7月より以前に発表された文献を対象として、「目的」の項に記
載した条件に合致する文献を検索した。なお、特定保健用食品の試験方法に倣い、
参加者に軽症高血圧者が含まれる研究も対象としたが、軽症高血圧者のみの研究は
疾病者のデータになるため対象外とした。最終的に残った15報を評価対象とした。
【主な結果】血圧低下機能は、収縮期および拡張期血圧を指標として評価された。
その結果、正常高血圧(収縮期血圧 130~139 mmHg 又は拡張期血圧 85~89 mmHg)
の人において、1日あたり12.3mg~80mgのGABAを含んだ食品はGABAを含まない対
照品と比較して、有意な機能(統計学上、偶然ではなく意味のある機能)が認めら
れた。また、正常な血圧の人のみを対象とした場合は正常な血圧を維持した。採用
した論文は、いずれも日本人を対象とした試験であり、日本人への外挿性は高いと
判断した。
【科学的根拠の質】
収集した論文は、GABAを含まないプラセボを対照としたランダム化二重盲検並行群
間試験がほとんどで、研究レビューの科学的根拠の質は高いと考えられる。一部の
採用論文において、研究方法に偏り(バイアス)が疑われるもの、利益相反につい
て記述がないものもあったが特に問題となるものはなかった。
また、幅広く文献の検索を実施しているが、未報告の研究が存在する可能性があり、
出版バイアスの可能性もあると考えられるため、今後も新しい研究報告について定
期的にチェックする必要がある。
■一時的な精神的ストレスや疲労感の緩和機能に関する研究レビュー
【標題】GABAの、デスクワークなどの精神的ストレスがかかる作業によって生じる
一時的な疲労感の緩和機能に関する研究レビュー
【目的】健康な成人日本人男女がGABAを含む食品を摂取した場合と、GABAを含まな
い食品(プラセボ)を摂取した場合で、デスクワークなどの精神的ストレスがかか
る作業によって生じる一時的な疲労感の緩和機能に違いがあるかどうかを検証する
ことを目的とした。
【背景】GABAのデスクワークなどを主体とする精神負荷作業における疲労感の緩和
について、個々の文献では報告されているものの、それらを網羅的に評価された文
献はなかった。そこでGABAの、精神的ストレスがかかる作業後の疲労感を緩和する
機能性について検証するため、本研究レビューを行った。
【レビュー対象とした研究の特性】外国語文献検索には、PubMed(1946年~2016年)、
英語文献検索には、The Cochrane Library(1992年~2016年)のデータベースを用
い2016年7月1日に検索を実施した。日本語文献は、医中誌Web(1977年~2016年)、
J-DreamⅢ(1975年(医学情報は1981年)~2016年)のデータベースを用い2016年7
月3日に検索を実施した。文献を精査し、健常な日本人成人を対象とし、GABAを摂
取しない群と比較した試験デザインである7報の文献を評価した。利益相反に関し
て、申告がない論文もあったが特に問題となるものはなかった。
【主な結果】主観的疲労感(精神的ストレス)としてVASおよびPOMS、唾液中のコ
ルチゾールおよびクロモグラニンA、さらに、脳波の変動、自律神経活動の各指標に
より精神的ストレスや疲労感を評価した。これらの指標は一時的な精神的ストレス
や疲労感を評価する指標として広く用いられ、表示しようとする機能性を評価する
のに適した指標である。結果は、28~100mgのGABAを摂取することで、GABAを摂取
しない時と比較して、勉強や仕事などによる一時的な精神的ストレスや疲労感を緩
和する機能が確認された。なお、GABAの摂取による副作用などの有害事象の記載は
みられなかった。
【科学的根拠の質】最終調査対象とした論文のバイアス・リスクの評価では、採用
論文7報中1報が中程度であり、他の6報は低度であった。エビデンスの一貫性な
ど特に問題は認められず、科学的根拠の質は高いと考えられる。本レビューの限界
として、報告数、被験者数ともに少ないことから、バイアスの存在が完全に否定で
きないことが考えられる。 |