機能性 |
【標題】本届出製品「スペイン産アルメナーラ エキストラバージン」に含有する機能性関与成分「オリーブオイルポリフェノール」の摂取による血中コレステロールへの影響に関するシステマティックレビュー
【目的】オリーブオイルポリフェノールの摂取は、成人健常人において血中コレステロール(酸化LDLコレステロール、LDLコレステロール、HDLコレステロール)への効果について、ヒト試験論文のシステマティックレビューを実施し、検証した。
【背景】日本の脂質異常症患者数は、220万5,000人で、2014年から14万3,000人増加したと報告されている。脂質異常症は、高LDLコレステロール血症、高トリグリセライ血症および低HDLコレステロール血症のいずれか、または複数を認める場合に診断され、動脈硬化性疾患の危険因子の1つとされている。リポたんぱく質であるHDLは、末梢組織から余剰なコレステロールを回収し,肝臓に搬送するというコレステロール逆転送系の機構であり、HDL の抗動脈硬化機構の1つとされている。一方、LDLコレステロールは活性酸素によって酸化され、酸化LDLは、血管内皮細胞を障害し、またマクロファージに限りなく取り込まれ、コレステロールを多量に蓄積した泡沫細胞を形成することで動脈硬化の発症、進展に重要な役割を果たしていることが報告されている。
このため、血中の酸化LDLコレステロールの抑制、HDLコレステロール濃度の上昇は健康の維持・増進に寄与するものであると考える。
エキストラバージンオリーブオイルは、オリーブの果実を絞ったバージンオイル(一番搾り)であり、抗酸化作用を示すポリフェノール成分を豊富に含むことが知られている。様々な先行研究により、オリーブオイルポリフェノール(OOP)の抗酸化作用が示唆されており、血中のLDLコレステロールの酸化抑制についても同様である。なお、欧州安全機構(EFSA)では「オリーブオイルのポリフェノールは、酸化ストレスから血中脂質を保護するのに役立ちます。」という健康強調表示が認められている。
また、心血管リスク因子に対する高ポリフェノールエキストラバージンオリーブオイルの効果に関する系統的レビューとメタ分析によって、エキストラバージンオリーブオイルのポリフェノール成分が、LDLコレステロールを含む総コレステロールとHDLコレステロールの改善に効果があるという報告がある。しかし、系統的レビューで採用されている文献が、採用文献としての基準を満たしていない可能性があるため、本論では成人健常者を対象として、オリーブオイルポリフェノールの経口摂取が、プラセボ群と比較した場合において、その抗酸化作用によって血中のLDLコレステロールの酸化抑制に寄与するか、コレステロール濃度の改善に寄与するか、レビューし検証した。
【レビュー対象とした研究の特性】医中誌Web、PubMed、Cochrane Libraryの3つのデータベースを、情報源として用いるデータベースとして文献検索を行った(最終検索日2022年3月13日)。その結果、計95報の文献が検索され、採用基準で選抜した結果、最終的に計6報が採用され評価した。
【主な結果】適格基準に合致した論文6報が採用された。定量的な統合はおこなわず定性的な評価を行った。LDLコレステロールの作用について報告のあったLDLコレステロールの酸化抑制作用について報告のあった5報中5報で、酸化LDLコレステロール濃度が有意に低下し、HDLコレステロールの作用について報告のあった3報中3報で有意な改善が認められた。このことから、オリーブオイルポリフェノールを含む食品の摂取により、健常人における血中LDLコレステロールの酸化抑制、HDLコレステロールの増加に関する機能に対して肯定的な結果が得られた。
【科学的根拠の質】採用された文献は6報ともRCTであり、酸化LDLコレステロールの抑制で5報、HDLコレステロールで3報の群間有意差のある結果を得られたが、本研究レビューの限界として、適格基準を外れる論文を除外したことで採用文献数が減ってしまったこと、採用文献3報でFAS解析で症例減少バイアスリスクがあったこと、採用文献1報で筆者の中に利害関係者が含まれていたことが挙げられる。 |