1.L-オルニチン一塩酸塩
①標題:
「キリン iMUSE(イミューズ) 免疫ケア・良眠プラス」に含有するL-オルニチンの睡眠に関する機能について
②目的:
本研究レビューは健常な成人男女を対象としプラセボ摂取と比較してL-オルニチ
ンの摂取による睡眠の質の向上効果を明らかにすることを目的とした。
③背景:
L-オルニチンがヒトの睡眠へどのような効果をもたらすかを検討した報告が複数
あるものの、それら研究をまとめた研究レビューはないため本レビューにて検証
した。
④レビュー対象とした研究の特性:
4つのデータベースを用いて2021年(検索時点)にそれぞれに掲載されている全て
の文献を対象に検索を実施した結果、適格基準に合致した採用論文は1報であっ
た。L-オルニチンとL-オルニチンを含まない食品を2つのグループを設けて摂取
させて効果を比較する試験方法で臨床研究が実施されており、対象者は健常な成
人男女であった。利益相反はなかった。
⑤主な結果:
採用論文は主観的指標を用いて評価されており1日当たり392 mgの
L-オルニチン摂取によって睡眠の質の向上効果が示されていた。具体的なアウト
カムとしてはOSA睡眠調査票MA版の「入眠と睡眠維持」、「睡眠時間」、AISに関し
てプラセボ摂取群と比較してL-オルニチン摂取群に有意な睡眠の質の向上効果が
確認された。なお、本レビューは塩形態を問わずL-オルニチンを対象としたが、
採用文献の試験食はL-オルニチンとして本品と同様のL-オルニチン一塩酸塩を用
いていた。これをヒトが摂取した場合、体内の水分に溶けてL-オルニチンとして
働くことから、機能性関与成分を「L-オルニチン一塩酸塩(L-オルニチンとして)」
とした上で、本品には本レビューの結果が適用されると判断した。
⑥科学的根拠の質:
採用論文はL-オルニチンの摂取による主観的な睡眠感に対する有効性を示した。
採用論文は30歳~60歳の健常な日本人勤労者を対象者としており、外挿性に問題
はない。また、当該製品のL-オルニチンの一日摂取目安量は研究レビューの結果
に従い設定しており、同様のアウトカムを得られることが期待される。
本レビューは日本語と英語の論文のみが対象であることから網羅性および出版バ
イアスの可能性は否定できない。また採用論文が1報のみであるため不精確性は
低いと評価せざるを得ないことから、さらなる研究が行われることが望まれる。
以上のような研究の限界はあるものの、採用論文が科学的根拠の質が高いランダ
ム化比較試験であること、さらに評価条件が適格基準に該当しなかったため除外
した国内の複数の文献において、限定的ながら本レビューを支持する結果が報告
されていることをあわせて考えると、本レビューの結果が後発の研究によって大
きく変更される可能性は低く、当該製品の機能性に関する科学的根拠の質は十分
であると判断した。
2.プラズマ乳酸菌(L. lactis strain Plasma)
①標題:
「キリン iMUSE(イミューズ) 免疫ケア・良眠プラス」に含まれるプラズマ乳酸菌(L. lactis strain Plasma)の健康な人の免疫機能の維持に関する評価
②目的:
L. lactis strain Plasmaを健康な方が摂取することによって、L. lactis strain Plasmaを摂取しない場合と比較して免疫機能が維持されるかを明らかにする。
③背景:
L. lactis strain Plasmaは、酸乳から分離されたチーズやヨーグルトの発酵に使われる乳酸菌の一種で、免疫調節に重要なプラズマサイトイド樹状細胞(pDC)を活性化することが見いだされている。pDCは健康維持に重要な役割を担っている免疫細胞と考えられているため、L. lactis strain Plasmaの摂取によってpDCの活性を高めることは、免疫機能の適切な維持さらには日常生活での体調管理に役立つと期待される。
これまでに、L. lactis strain PlasmaによるpDCの活性化は、細胞を用いた試験管内での評価や、モデル動物を用いた研究により明らかになっている。また、ヒトを対象としたL. lactis strain Plasmaを摂取する試験も実施されており、血液中のpDCを活性化することに加え、健康維持に効果があるといった結果が報告されている。しかし、L. lactis strain Plasmaの摂取による効果について明確ではなかったため、「免疫機能の維持」に着目して、網羅的に文献調査を行うことでL. lactis strain Plasmaの有効性を評価した。
④レビュー対象とした研究の特性
文献の検索は、5つのデータベースを用いて、2022年5月16日に、公表された和文と英文論文を対象に実施した。その結果、調査対象となる文献が7報得られた。7報のうち、pDCへの作用について報告した文献は6報、体調に関する全身の自覚症状について報告した文献は7報、体調に関する特定の部位の自覚症状について報告した文献は6報あった。いずれの文献も研究の質に問題はなく、調査対象として採用できるものであった。利益相反については適切に記載されていた。
⑤主な結果
調査対象の文献7報は全て、L. lactis strain Plasmaを1日あたり1000億個摂取していた。pDCへの作用について報告した文献6報のうち3報でpDC活性化を示す指標が対照群と比較して有意に高値であった。体調に関する全身の自覚症状について報告した文献7報のうち5報で全身の自覚症状(全身倦怠感、寒気、熱っぽさ、総合的な臨床症状、体調、疲労または吐き気)のいずれかが対照群と比較してより軽度に維持されていた。体調に関する特定の部位の自覚症状について報告した文献6報全てで特定の部位の自覚症状(くしゃみ、鼻汁、鼻閉、のどの痛み、せき、頭痛、関節痛、筋肉痛、目の奥の痛みまたは下痢)のいずれかが対照群と比較してより軽度に維持されていた。
⑥科学的根拠の質
調査対象の文献7報は、いずれも研究の質が高く、各項目に関して一定の根拠が認められた。これらを総合的に判断し、L. lactis strain Plasmaの免疫機能の維持効果について示唆的な根拠があると判断した。調査対象の文献が7報と十分に多いとは言えないことが本調査の限界であり、更なる臨床研究が望まれる。 |