●GABAについて
・標題
「GABA摂取の睡眠の質改善機能に関する研究レビュー」
・目的
成人男女を対象とし、食品形態を問わずGABAを摂取すると、GABAを含まない食品を摂取したグループと比較して、睡眠の質が改善するかというリサーチクエスチョンに対して定性的システマティックレビューを行い、GABAによる睡眠の質改善機能を検証した。
・背景
GABAは、末梢において存在するGABA受容体に作用し、ノルアドレナリンの分泌を抑制する作用により交感神経を抑制する。GABAの摂取による自律神経への作用は鎮静作用をもたらし、深部体温を低下させるため、良質な睡眠を促すことにつながると考えられている。実際にGABAを摂取することで睡眠の質が改善するかを評価した研究例がいくつか存在するが、これらの研究結果を統合し、評価する研究(研究レビュー)はこれまでほとんど報告がない。
・レビュー対象とした研究の特性
英語及び日本語の文献データベースを用いて文献調査を行い、2017年11月より以前に発表された文献を対象として、「目的」の項に記載した条件に合致する文献を検索した。文献の選抜を行い、最終的に残った4報を評価対象とした。評価対象の文献はいずれも、被験者をグループ分けし、一方が摂取する食品にのみGABAを入れ、結果をグループ間で比較する試験法を採用したものである。
・主な結果
文献内容を精査した結果、主観的評価(アンケート)のみが4報中2報、主観的評価(アンケート)と客観的評価(脳波測定)を実施した文献は2報であった。GABAを摂取したグループの睡眠の質(寝つき、眠りの深さ、すっきりとした目覚め)が、GABAを摂取しないグループと比較して改善した文献は2報中1報であった。改善の効果が現れなかったもう一方の文献は試験方法に偏りがあり、効果が現れにくいと考えられ、また、数値が改善する傾向を確認できたことから睡眠改善効果を否定する内容ではないと判断した。
以上の結果より総合的に判断して、必要最小量は100mgで、食品性状を問わず、GABAの摂取は健常成人の睡眠の質を向上させると結論付けた。
・科学的根拠の質
文献検索において、存在するすべての文献を網羅できたことに対する保障はなく、また未報告の研究が存在する可能性も否めない。しかしながら、評価対象とした文献のうち、質の高い論文がGABAの睡眠の質向上を報告していることから、今回の研究レビューの結果はGABAが健常成人の睡眠の質を向上させる根拠として十分なものであると考えられる。また、文献中の試験はすべて日本で行われたものであり、消費者に同様の効果を期待する場合に考慮すべき事柄が少ない。
●魚由来コラーゲンペプチドについて
・標題
魚由来コラーゲンペプチドの摂取による角層水分量及び肌の弾力性低下の緩和効果に関する研究レビュー
・目的
健常な成人に対しての魚由来コラーゲンペプチドの摂取が、角層水分量及び肌の弾力性の保持効果を有するかを検証するため、システマティックレビューを実施した。
・背景
魚由来コラーゲンペプチドについて、個々の研究は複数報告されているものの、それらを総合的に評価したレビューは存在しない。そこで、健常成人に対して魚由来コラーゲンペプチドを摂取することで、角層水分量及び肌の弾力性の保持がみられるかを検証する目的で本研究レビューを実施した。
・レビュー対象とした研究の特性
日本語及び英語のデータベースを用いて文献調査を行った。検索日(2021年1月7、14日)以前に各データベースにて公開されたすべての文献を対象として、健常成人に魚由来コラーゲンペプチドを摂取させ、角層水分量及び肌の弾力性を評価している文献を調査した。その結果、8件の文献をレビュー対象とした。
・主な結果
採用した8報の文献のうち、否定的な結果がそれぞれ1報あったのに対して、水分量については6報、弾力については3報が肯定的な結果が報告されていた。また、コラーゲンペプチド摂取による有害事象は報告されていなかった。
・科学的根拠の質
文献検索において、存在するすべての文献を網羅できたことに対する保障はなく、また未報告の研究が存在する可能性も否めない。しかしながら、採用した文献は8報と多く、各項目で肯定的な結果が否定的な結果を上回ったことから、化学的根拠の質は十分なものであると判断した。
(構造化抄録) |