【エラグ酸】
(ア)標題
機能性関与成分である「エラグ酸」を含む食品を経口摂取した場合における体重、体脂肪、及び血中中性脂肪に対する機能性に関する研究レビュー
(イ)目的
健常成人(肥満1度;BMI値25 kg/㎡以上30 kg/㎡未満を含む)において、エラグ酸を経口摂取することによる体重、体脂肪、及び血中中性脂肪に対する機能性に関する定性的研究レビューの実施を目的とした。
(ウ)背景
エラグ酸は健常な過体重(肥満1度)者に対して、体脂肪及び血中中性脂肪をはじめ、体重、BMI値、ウエスト周囲径、内臓脂肪などを低減させるとの報告がある。また、エラグ酸には脂肪細胞における脂肪蓄積抑制及び脂肪細胞の肥大化を抑制する作用が報告されていることから、エラグ酸がこの有効性(機能性)に関わると推定できる。そこで、エラグ酸の経口摂取において体重、体脂肪、及び血中中性脂肪を低減させる機能性について総合的に評価するため、研究レビューを実施した。
(エ)レビュー対象とした研究の特性
複数のデータベースを用いて、データベース開設あるいは情報掲載時から検索日までに公表された論文を検索対象とした。2020年5月8日に英語及び日本語のデータベースを用いて検索を行った。そこで、健常成人(肥満1度;BMI値25kg/㎡以上30kg/㎡未満を含む)において、エラグ酸の経口摂取が体重、体脂肪、及び血中中性脂肪に及ぼす影響に関する無作為化二重盲検プラセボ対照比較試験(RCT)の査読付き論文を検索した。文献検索し、論文の内容を精査した結果、採用した研究論文は2報となった。なお、そのうち1報は、日本人におけるRCTであり、論文著者として研究の資金提供を行った原料販売会社の社員等が含まれていた。
(オ)主な結果
採用された研究論文2報は、査読付き論文であり、無作為化二重盲検プラセボ対照比較試験という信頼性の高い研究であった。また、標題に対して肯定的な結果であった。肥満気味(BMI値25kg/㎡以上30kg/㎡未満)の健常成人を対象とし、エラグ酸(3mg/日)の日常的な経口摂取により、対照であるプラセボ群と比較して体脂肪、血中中性脂肪、体重、BMI値、ウエスト周囲径、及び内臓脂肪を有意に低減させることが認められた。なお、試験期間中において機能性関与成分の経口摂取に起因する有害事象は報告されていない。
以上の結果により、機能性関与成分であるエラグ酸を1日当たり3mg含む当該製品は、肥満気味の方の体重、体脂肪、血中中性脂肪、内臓脂肪、ウエスト周囲径の減少をサポートし、高めのBMI値の改善に役立つという機能性表示食品として適切であると判断された。
(カ)科学的根拠の質
採用された研究論文2報は、査読付き論文であり、無作為化二重盲検プラセボ対照比較試験で信頼性が高く、質の高い研究であった。本研究レビューの限界については、その他の未発表の研究データが存在する可能性が否定できない。しかし、文献検索は科学技術分野から医療分野の主要な7つのデータベース(英語・日本語)を使用しているため、現時点で公表されている当該研究をほぼ網羅していると判断した。さらに、採用された研究論文が2報と少ないことから、今後さらなる研究の検証が必要である。
【植物性乳酸菌K-1(L.casei 327)】
<肌の潤いを維持する機能>
【標題】
植物性乳酸菌 K-1(L. casei 327)の肌の潤いの維持作用に関する研究レビュー
【目的】
植物性乳酸菌 K-1(L. casei 327)の摂取による肌の潤いの維持作用に関する機能性を検証する目的で実施しました。
【背景】
食品成分による肌の保湿能の維持に関しては、グルコシルセラミドやヒアルロン酸ナトリウムなどが知られ、機能性表示食品としても数多く受理されている。これらとは異なった作用機序による肌の保湿能の維持も有用性が期待され、乳酸菌に代表される有用な菌による腸内フローラの改善や腸脳相関を作用機序とした肌の潤いの維持も有望と思われる。
【レビュー対象とした研究の特性】
リサーチクエスチョン(以下RQ)及びPICOを以下のように設定し研究レビューを実施しました。
RQ:「植物性乳酸菌K-1(L. casei 327)は、肌の潤いを維持させるか?」
P:「肌の乾燥が気になる健常成人」
I:「植物性乳酸菌K-1(L. casei 327)の経口摂取(食品形態は問わない)」
C:「プラセボの経口摂取(プラセボの配合内容は問わない)」
O:「肌の潤い」
上記PICOをもとに検索式と除外基準を設定し、医中誌Web及びPubMedで論文を検索しました。検索により特定された文献は、適格基準により採用文献と除外文献に選別し、採用文献からPICOに対応した項目の情報を抽出しました。また、原著論文であるか、査読誌であるか確認しました。
【主な結果】
データベース検索により、最終的に2報を採用しました。この2報の文献の質およびエビデンス総体の質の評価を行い、それらの結果を表示しようとする機能性との関連において評価しました。その結果、植物性乳酸菌 K-1(L. casei 327)1,000億個、4週間以上の摂取で肌の潤いを維持することが確認され、表示しようとする機能性は妥当と判断しました。2報とも臨床試験が日本で実施されていることより、日本人への外挿性の問題はないと判断しました。
【科学的根拠の質】
全研究のバイアスリスクは「中」、非直接性は「低」、不精確は「中」、非一貫性は「低」と判断し、全体のエビデンスの強さは「中等度」と判断しました。使用したデータベースが少なく研究の収集が不完全と思われました。本機能性関与成分を使用した臨床試験は採用された2報のみであることから出版バイアスは低いと判断しました。被験者が便秘傾向の女性で、皮膚の測定部位も少ないため、今後は男性被験者への対応や肌の測定部位なども増やし、より広範な研究が望まれます。
<お通じを改善する機能>
【標題】
植物性乳酸菌 K-1(L. casei 327)の便通改善作用に関する研究レビュー
【目的】
植物性乳酸菌 K-1(L. casei 327)の摂取による便通改善作用に関する機能性を検証する目的で実施しました。
【背景】
植物性乳酸菌 K-1(L. casei 327)は主に整腸作用が期待され、最近では臨床試験の実施により有効性が確認されるなどその有用性が見出されていますが、便通改善作用に関する研究レビューは確認できませんでした。
【レビュー対象とした研究の特性】
リサーチクエスチョン(以下RQ)及びPICOを以下のように設定し研究レビューを実施しました。
RQ:植物性乳酸菌K-1(L. casei 327)は、便通を改善させるか?
P:便秘傾向のある健常成人
I:植物性乳酸菌K-1(L. casei 327)の経口摂取(食品形態は問わない)
C:プラセボの経口摂取(プラセボの配合内容は問わない)
O:便通の改善
上記PICOをもとに検索式と除外基準を設定し、データベースで論文を検索しました。検索により特定された文献は、適格基準により採用文献と除外文献に選別し、採用文献からPICOに対応した項目の情報を抽出しました。また、原著論文であるか、査読誌であるか確認しました。
【主な結果】
最終的に1報を採用し、植物性乳酸菌 K-1(L. casei 327)500億個、2週間の摂取で便通が改善することが確認され、表示しようとする機能性は妥当と判断しました。採用論文は臨床試験が日本で実施されていることより、日本人の外挿性の問題はないと判断しました。
【科学的根拠の質】
全研究のバイアスリスクは「低」、非直接性は「低」、不精確は「低」、非一貫性は「中/疑い」、全体のエビデンスの強さは「強」と判断しました。使用したデータベースが少なく研究の収集が不完全と思われました。本機能性関与成分を使用した便通改善に関する臨床試験は採用された1報のみであることから出版バイアスは「低」と判断しました。 |