≪モリンガ種子由来グルコモリンギン≫
日常生活で疲れを感じやすい方の一時的な身体的疲労感を軽減する機能、腰の負担を感じやすい方の腰の不快感を緩和する機能
(ア)標題
モリンガ種子由来グルコモリンギンの日常生活における疲労感および腰の不快感に関するシステマティックレビュー
(イ)目的
日常生活で疲れや腰の負担を感じやすい健常者を対象として、モリンガ種子由来グルコモリンギンを摂取することによる疲労感や腰の不快感の軽減の有効性をプラセボと比較して明らかにする目的で調査した。
(ウ)背景
疲労は主に身体的および心理的ストレスによって引き起こされる症状であり、現代社会において心身の健康、仕事の効率、生活の質などに影響する深刻な問題となっており、その改善が求められている。モリンガ種子由来グルコモリンギンは抗酸化作用を有し、ヒトを対象とした試験で、疲労を感じやすい健常者の疲労感を軽減し、腰の負担を感じやすい健常者の腰の不快感を軽減することが示されているが、総合的に評価した研究レビューは実施されていなかった。
(エ)レビュー対象とした研究の特性
4つのデータベースを用い、日本語文献検索は2020年3月10日に、英語文献検索は2020年3月17日に実施した。その結果、本研究レビューの対象となった文献が1報得られた。健常者男女40名を対象者とし、機能性関与成分のモリンガ種子由来グルコモリンギンを1日あたり12mg量で、4週間摂取させていた。アウトカムの測定はモリンガ種子由来グルコモリンギン摂取前と摂取開始から1、2、3、4週間後の5点で実施されていた。主要アウトカムとして疲労感および疲労に伴う身体症状(肩、腰の負担、眼精疲労)に関するVAS(Visual Analogue Scale)の変化量を評価していた。また、本文献には、全被験者を対象とした全体解析と、疲労感や疲労に伴う身体症状を感じやすい健常者に限定した層別解析が報告されていた。利益相反については、適切に記載されていた。
(オ)主な結果
モリンガ種子由来グルコモリンギンの摂取により、日常生活で疲れを感じやすい方を対象とした解析で一時的な身体的な疲労感の有意な軽減、腰の負担を感じやすい方を対象とした解析で腰の不快感の有意な軽減がみられた。
(カ)科学的根拠の質
本研究レビューでは、全被験者を対象にした解析は日常生活で疲労感と腰の不快感を自覚しているが、その程度が軽度の健常者が含まれていたため採用しないこととし、疲労感や腰の不快感を感じやすい方を対象にした解析を採用した。本研究レビューで採用した研究は、研究の質に深刻な問題は認められず、モリンガ種子由来グルコモリンギン含む食品を摂取することで、日常生活で疲れを感じやすい方の一時的な身体的な疲労感を軽減し、腰の負担を感じやすい方の腰の不快感を軽減することが報告されていた。以上を以ってモリンガ種子由来グルコモリンギンの日常生活で疲れを感じやすい健常者の一時的な身体的疲労感を軽減し、腰の負担を感じやすい健常者の腰の不快感を軽減させる機能について、示唆的な根拠があると判断した。なお、限界としてモリンガ種子由来グルコモリンギン摂取による疲労感軽減効果を報告した文献が1報と少ないため、本効果を検証するための更なる臨床試験が望まれる。
≪モノグルコシルルチン≫
パソコン等の作業によるピント調節機能をサポートする機能、眼の疲労感を軽減する機能
(ア)標題
おいしい疲労感軽減に含有する機能性関与成分モノグルコシルルチンによるVDT(Visual Terminal Display)作業による眼のピント調節機能を助け、眼や腰の疲労感を軽減させる機能性に関するシステマティックレビュー
(イ)目的
モノグルコシルルチンの摂取がVDT(Visual Terminal Display)作業による眼のピント調節機能を助け、眼や腰の疲労感に与える影響について、システマティックレビューを実施し評価した。
(ウ)背景
モノグルコシルルチンが、パソコンなどに代表されるVDT作業者の眼のピント調節機能を助け、眼や腰の疲労感を軽減することが報告されていたが、モノグルコシルルチンの眼や腰の疲労感への効果を検証したシステマティックレビューはみあたらなかった。
そこで、モノグルコシルルチン摂取がVDT作業による眼のピント調節機能を助け、眼や腰の疲労感に与える影響について、システマティックレビューを実施した。
(エ)レビュー対象とした研究の特性
適格基準に合致したランダム化二重盲検クロスオーバー試験にて実施された臨床試験論文2報を採用した。参加者は眼の疲労感を感じている20歳から65歳までの健常成人日本人男女だった。眼のピント調節機能の指標としてHFC1を、眼や腰の疲労感の指標としてVASを測定していた。
(オ)主な結果
採用論文1報では、モノグルコシルルチン356mg摂取群が、プラセボ摂取群に対してHFC1が有意に改善されていた。眼の疲労感と腰の疲労感においても有意な改善を示していた。もう1報ではモノグルコシルルチン254mgの摂取群が、プラセボ摂取群に対して有意に改善していた。以上のことから日本人成人男女に対してモノグルコシルルチン摂取によって眼のピント調節機能を助け、眼や腰の疲労感の軽減に効果があると結論付けた。その作用機序としては、モノグルコシルルチンによる筋肉の酸化防止効果や血流改善効果によるものと考えられた。
(カ)科学的根拠の質
機能性の根拠となった研究が2報であり更なる研究が望まれる。
≪GABA≫
仕事や勉強に伴う一時的なストレスによる精神的な疲労感を軽減する機能
(ア)標題
GABAの、デスクワークなどの精神的ストレスがかかる作業によって生じる一時的な疲労感の緩和効果に関する研究レビュー
(イ)目的
健常成人において、「GABAを含む食品の摂取がストレスや疲労感を軽減するか」を検証するため、定性的研究レビューを実施した。
(ウ)背景
GABAは動物、植物など自然界に広く分布する非タンパク質構成のアミノ酸の一種である。脳内における主要な抑制性の神経伝達物質であると考えられており、興奮抑制作用によって精神安定の作用を有することが知られている。また、GABAには仕事や勉強などのデスクワークや日常生活における精神的ストレスからくる一時的な疲労感を緩和する報告もあることから、GABAについて定性的研究レビューを実施し、健常成人においてGABAを含む食品を摂取するとストレスや疲労感を軽減する効果があるか検証することとした。
(エ)レビュー対象とした研究の特性
3つのデータベースを情報源として用いた。PubMed(最終検索日:2020年12月17日)、医中誌Web(最終検索日:2020年12月17日)、JDreamⅢ(最終検索日:2020年12月17日)を検索し、ハンドサーチは実施しなかった。各データベースとも検索期間は限定せずに、最終検索日までの全範囲を対象として検索を行った。また、未報告研究についてはUMIN臨床試験登録システム(UMIN-CTR、最終検索日:2020年12月17日)を用いて検索した。最終的に2報の文献を採用した。いずれも健常な日本人成人を対象とした論文であった。
(オ)主な結果
一時的な精神的ストレスや疲労感の評価として、「唾液中クロモグラニンA」については2報中1報で肯定的、「自律神経活動」は1報中1報で肯定的、「主観的疲労感」については1報中1報で肯定的であった。採用した2報において、GABAの摂取量は28mg/回であった。よって本研究レビューの結果から、健常な成人がGABAを28mg/回摂取することで、一時的な精神的ストレスや疲労感を緩和することが示された。
(カ)科学的根拠の質
研究の限界としては、有効性が示されなかった研究が公表されていない可能性が考えられる。ただし、最終的に採用した2報の論文のバイアス・リスクの評価ではQL1(質が高い)であり、エビデンスの一貫性など特に問題は認められなかった。よって科学的根拠の質は高いと考えられる。各研究において問題となるような大きなバイアスは認められず、科学的根拠の質は確保されていると評価した。本研究レビューの結果からGABAの一時的な精神的ストレスや疲労感を緩和する作用には科学的根拠があると判断した。 |