①難消化性デキストリン:食後血糖値の上昇抑制機能
【標題】難消化性デキストリンを用いた健常成人に対する食後血糖値の上昇抑制機能に関する研究レビュー
【目的】健常成人に対して難消化性デキストリンを摂取することにより、食後血糖値の上昇抑制作用が見られるかを確認する。
【背景】食生活の欧米化等により生活習慣病の患者数は増加している。食後血糖値は糖尿病の指標となり、その是正は発症予防に意義がある。難消化性デキストリンは食後血糖値の上昇抑制作用を有することが報告されていることから、その機能性について確認する。
【レビュー対象とした研究の特性】4つの電子データベースについて、全期間を対象として検索を行った。空腹時血糖値が126mg/dL未満の健常成人を対象に、食後血糖値の上昇抑制作用について調査したランダム化比較試験を収集した。各論文の質の評価を行い、抽出された43報の論文を対象とした。
【主な結果】難消化性デキストリンの1回の摂取量が4~16gの時、難消化性デキストリンの摂取群は対照群と比較して「食後血糖値」及び「血中濃度曲線下面積」が有意に低下することが確認された。
【科学的根拠の質】研究方法にバイアスはみられるが、採用論文の条件がリサーチクエスチョンに合致しており、全体としては効果があると判断できる。効果がないという未公表の研究結果の存在を仮定しても、統合結果は大きく変わらないことが示唆された。以上から難消化性デキストリン摂取による食後血糖値の上昇抑制効果に強い科学的根拠があると判断した。
②難消化性デキストリン:食後血中中性脂肪の上昇抑制機能
【標題】難消化性デキストリンの食後血中中性脂肪値の上昇抑制機能に関する研究レビュー
【目的】空腹時血中中性脂肪値が200mg/dL未満の成人に対して難消化性デキストリンを摂取することにより、食後の血中中性脂肪値の上昇抑制作用が見られるかを確認する。
【背景】食生活の欧米化等により生活習慣病の患者数は増加している。脂質異常症のひとつである食後高脂血症が、動脈硬化症等の発症を早めることが明らかとなっている。難消化性デキストリンは食後の血中中性脂肪値の上昇抑制作用を有することが報告されていることから、その機能性について確認する。
【レビュー対象とした研究の特性】4つの電子データベースについて、全期間を対象として検索を行った。空腹時血中中性脂肪値が200mg/dL未満の成人を対象に、食後の血中中性脂肪値の上昇抑制作用について調査したランダム化比較試験を収集した。各論文の質の評価を行い、抽出された9報の論文を対象とした。
【主な結果】難消化性デキストリンの1回の摂取量が5~9gの時、難消化性デキストリンの摂取群は対照群と比較して「食後の血中中性脂肪値」及び「血中濃度曲線下面積」が有意に低下することが確認された。なお、疾病に罹患していない者のみで層別解析を行い、別途評価を実施した結果、健常成人に対しても同様に効果があることが確認された。
【科学的根拠の質】研究方法にバイアスはみられるが、採用論文の条件がリサーチクエスチョンに合致しており、全体としては効果があると判断できる。効果がないという未公表の研究結果の存在を仮定しても、統合結果は大きく変わらないことが示唆された。以上から難消化性デキストリン摂取による食後血中中性脂肪値の上昇抑制効果について、強い科学的根拠があると評価した。
③GABA:血圧低下機能
【標題】GABAの、血圧が高めの健常者の血圧を低下させる効果について
【目的】血圧が高めの健常者が長期間GABAを含む食品を摂取した場合と、GABAを含まない食品を摂取した場合で、血圧低下効果に違いがあるかどうかを検証する。
【背景】適正な血圧の維持は健康の維持増進において重要な取り組みである。血圧低下効果があるとされるGABAの機能について検証するため、本研究レビューを行った。
【レビュー対象とした研究の特性】4つの電子データベースについて、全期間を対象として検索を行った。レビュー対象は、血圧が高めの健常者を研究対象とし、ランダム化比較試験で査読付論文とした。最終的に評価した論文は11報あった。
【主な結果】各論文では血圧低下効果は、収縮期血圧および拡張期血圧で評価されていた。結果として、12.3mg以上のGABAを含んだ食品は、GABAを含まない食品と比較して血圧が高めの健常者の血圧を下げる有意な効果が認められた。
【科学的根拠の質】採用論文の中には、研究方法にバイアスがあり、結果が正しく出ない可能性、効果がないとする研究結果が未公表の可能性があった。これらの問題点は残るものの、ほぼすべての論文で、本研究レビューの目的に合った条件で試験がなされており、本研究レビューで評価した論文は科学的根拠として問題のないものであった。
④GABA:精神的ストレスの緩和機能
【標題】GABAの、精神的負荷による一時的な精神的ストレスの緩和効果について
【目的】健康な成人日本人がGABAを含む食品またはGABAそのものを摂取した場合と、GABAを含まない食品を摂取した場合で、精神的負荷による一時的な精神的ストレスの緩和効果に違いがあるかどうかを検証する。
【背景】GABAにはストレス緩和効果があることが知られている。GABA配合食品のストレス緩和機能について検証するため、本研究レビューを行った。
【レビュー対象とした研究の特性】4つの電子データベースについて、全期間を対象として検索を行った。レビュー対象は、健康な成人を研究対象としたランダム化比較試験またはこれに準じる試験の査読付論文とした。最終的に評価した論文は7報あった。
【主な結果】脳波、副交感神経活動、唾液中のクロモグラニンA、主観的疲労感などによりストレス、疲労感を評価した。これらの指標は一時的な精神的ストレス、疲労感を評価するのに適した指標である。結果として、28mg~100mgのGABAを含んだ食品は、GABAを含まない食品と比較して、精神的負荷による一時的な精神的ストレスや疲労感を緩和する有意な効果が認められた。
【科学的根拠の質】採用論文の中には、研究方法にバイアスがあり、結果が正しく出ない可能性、効果がないとする研究結果が未公表の可能性があった。これらの問題点は残るものの、ほぼすべての論文で、本研究レビューの目的に合った条件で試験がなされており、本研究レビューで評価した論文は科学的根拠として問題のないものであった。
⑤GABA:認知機能の改善機能
【標題】GABAの認知機能の改善効果について
【目的】40歳以上の健康な成人日本人がGABAを含む食品を摂取した場合と、GABAを含まない食品を摂取した場合で、認知機能の改善効果に違いがあるかどうかを検証する。
【背景】認知機能の維持、低下の抑制は健康長寿の実現において重要な課題であり、健康の維持増進に必要な取り組みである。認知機能の改善に効果があるとされるGABAの機能について検証するため、本研究レビューを行った。
【レビュー対象とした研究の特性】4つの電子データベースについて、全期間を対象として検索を行った。レビュー対象は、健康な成人を研究対象としたランダム化比較試験で査読付論文とした。最終的に評価した論文は2報あった。試験方法などに大きな問題がある論文はなかった。
【主な結果】各論文ではCognitraxなどの認知機能の評価指標として妥当性が検証された指標により評価された。結果として、100mg~200mgのGABAを含んだ食品は、GABAを含まない食品と比較して、一部の認知機能を改善する有意な効果が認められると判断された。改善した認知機能はGABA摂取量によって異なり、100mgを摂取することで「視空間/構成」、「遅延再生」等が、200mgのGABAを摂取することで「論理思考」、「ワーキングメモリー」等が改善した。当該製品には100mgのGABAが含まれるため、「遅延再生」が表す【記憶力】に効果が得られると考えられる。
【科学的根拠の質】採用論文の中には、研究方法にバイアスがあり、結果が正しく出ない可能性、効果がないとする研究結果が未公表の可能性があった。これらの問題点は残るものの、2報の論文ともに本研究レビューの目的に合った条件で試験がなされており、本研究レビューで評価した論文は科学的根拠として問題のないものであった。 |