<桑の葉由来イミノシュガー>
【標題】
桑の葉由来イミノシュガーの摂取による、食後の血糖値上昇抑制に関する研究レビュー
【目的】
成人健常者を対象として、桑の葉由来イミノシュガーの経口摂取による食後血糖値の上昇抑制機能について評価した。
【背景】
桑葉は蚕の餌として長年栽培され、桑の実についても食品として利用されてきた実績がある馴染みの深い植物である。桑葉においてはイミノシュガーと呼ばれるアザ糖の一種(DNJ、GAL-DNJ、ファゴミン)が同定され、スクロースやマルトース等の二糖を単糖に分解するα-グルコシダーゼの活性を阻害する作用がin vitroにおいて示されている。臨床試験においても、イミノシュガーを含む桑葉摂取により食後の血糖値上昇抑制作用が報告されている。つまり、桑の葉由来イミノシュガーには、食事由来の糖質の吸収を抑制することで、血糖値の上昇を抑制する機能があると考えられるが、健常者に絞って評価した研究レビューは少ない。そこで我々は、健常者を対象に、イミノシュガーの単回経口摂取による食後の血糖値上昇抑制作用について、システマティックレビューの手法を用いた解析を実施した。
【レビュー対象とした研究の特性】
外国語及び日本語のデータベースを使用し、ランダム化比較試験(RCT)・準RCTを対象に検索を行った。対象の集団は、健康な成人男女であり、最終的には1報の論文を採用した。
【主な結果】
評価対象の1報を評価した結果、食後の血糖値上昇抑制機能に対して肯定的であり、その有効性が認められていた。対象者は20~64歳の健常男女であったため、幅広い年代で男女の区別なく機能性を得られると判断した。一日当たりの桑の葉由来イミノシュガーの摂取量は2.42 mgだった。したがって、totality of evidenceの観点から、桑の葉由来イミノシュガーの摂取は、成人健常者の食後の血糖値の上昇を抑制する機能に関して肯定的であると判断した。本品は一日当たりの摂取目安量中に桑の葉由来イミノシュガーを2.5 mg以上含んでおり、食後の血糖値上昇抑制が期待できると判断した。
【科学的根拠の質】
本研究レビューでは、桑の葉由来イミノシュガーの摂取の効果について1報のRCT論文を評価した。本研究レビューにおいて、採用論文におけるバイアス・リスクは「低」であり、バイアス・リスクは「低」と評価した。また、本研究レビューの限界として、論文数が1報しかないことが挙げられる。そのため、今後、さらなる研究が必要であると考えられる。
<GABA>
①仕事や勉強などによる一時的な精神的ストレスや疲労感を緩和する機能について
【標題】
GABAのデスクワークなどの精神的ストレスがかかる作業によって生じる一時的な疲労感の緩和効果に関する研究レビュー
【目的】
健康な成人日本人男女がGABAを含む食品を摂取した場合と、GABAを含まない食品(プラセボ)を摂取した場合で、デスクワークなどの精神的ストレスがかかる作業によって生じる一時的な疲労感の緩和効果に違いがあるかどうかを検証することを目的とした。
【背景】
GABAのデスクワークなどを主体とする精神負荷作業における疲労感の緩和について、個々の文献では報告されているものの、それらを網羅的に評価された文献はなかった。そこでGABAの、精神的ストレスがかかる作業後の疲労感を緩和する機能性について検証するため、本研究レビューを行った。
【レビュー対象とした研究の特性】
外国語文献検索には、PubMed(1946年~2016年)、英語文献検索には、The Cochrane Library(1992年~2016年)のデータベースを用い2016年7月1日に検索を実施した。日本語文献は、医中誌Web(1977年~2016年)、J-DreamⅢ(1975年(医学情報は1981年)~2016年)のデータベースを用い2016年7月3日に検索を実施した。文献を精査し、健常な日本人成人を対象とし、GABAを摂取しない群と比較した試験デザインである7報の文献を評価した。利益相反に関して、申告がない論文もあったが特に問題となるものはなかった。
【主な結果】
主観的疲労感(精神的ストレス)としてVASおよびPOMS、唾液中のコルチゾールおよびクロモグラニンA、さらに、脳波の変動、自律神経活動の各指標により精神的ストレスや疲労感を評価した。これらの指標は一時的な精神的ストレスや疲労感を評価する指標として広く用いられ、表示しようとする機能性を評価するのに適した指標である。結果は、28~100mgのGABAを摂取することで、GABAを摂取しない時と比較して、勉強や仕事などによる一時的な精神的ストレスや疲労感を緩和する効果が確認された。なお、GABAの摂取による副作用などの有害事象の記載はみられなかった。
【科学的根拠の質】
最終調査対象とした論文のバイアス・リスクの評価では、採用論文7報中1報が中程度であり、他の6報は低度であった。エビデンスの一貫性など特に問題は認められず、科学的根拠の質は高いと考えられる。本レビューの限界として、報告数、被験者数ともに少ないことから、バイアスの存在が完全に否定できないことが考えられる。
<GABA>
②血圧が高めの方の血圧を低下させる機能について
【標題】
GABA摂取による血圧が高めの方の血圧を低下させる効果についての研究レビュー
【目的】
血圧が正常もしくは高め〔最高(収縮期)血圧~139 mmHgまで、または、最低(拡張期)血圧~89 mmHgまで〕の健常成人が、長期間GABAを含む食品を摂取した場合と、GABAを含まない食品を摂取した場合で、血圧低下効果に違いがあるかどうかを評価し、届出品に含まれる量のGABAが健常人の高めの血圧を健康的な値に保つことをサポートするかを検証することを目的とした。
【背景】
本品を機能性表示食品として販売するにあたり、GABAを配合した本届出品の血圧低下効果について検証するため、本研究レビューを行った。
【レビュー対象とした研究の特性】
日本語および英語の文献データベース、健康食品素材のデータベースを用いて文献調査を行い、2016年7月より以前に発表された文献を対象として、「目的」の項に記載した条件に合致する文献を検索した。なお、特定保健用食品の試験方法に倣い、参加者に軽症高血圧者が含まれる研究も対象としたが、軽症高血圧者のみの研究は疾病者のデータになるため対象外とした。最終的に残った15報を評価対象とした。
【主な結果】
血圧低下効果は、収縮期および拡張期血圧を指標として評価された。その結果、正常高血圧(収縮期血圧 130~139 mmHg 又は拡張期血圧 85~89 mmHg)の人において、1日あたり12.3mg~80mgのGABAを含んだ食品はGABAを含まない対照品と比較して、有意な効果(統計学上、偶然ではなく意味のある効果)が認められた。また、正常な血圧の人のみを対象とした場合は正常な血圧を維持した。採用した論文は、いずれも日本人を対象とした試験であり、日本人への外挿性は高いと判断した。
【科学的根拠の質】
収集した論文は、GABAを含まないプラセボを対照としたランダム化二重盲検並行群間試験がほとんどで、研究レビューの科学的根拠の質は高いと考えられる。一部の採用論文において、研究方法に偏り(バイアス)が疑われるもの、利益相反について記述がないものもあったが特に問題となるものはなかった。また、幅広く文献の検索を実施しているが、未報告の研究が存在する可能性があり、出版バイアスの可能性もあると考えられるため、今後も新しい研究報告について定期的にチェックする必要がある。 |