標題:グアーガム分解物(食物繊維)の摂取が腸内環境に及ぼす影響
目的:健常者を対象に、グアーガム分解物(食物繊維)を含む食品を摂取させるとビフィズス菌を増やして腸内環境を良好にするかについて検証しました。
背景:腸内細菌の一種であるBifidobacterium属細菌(ビフィズス菌)には、便秘改善や有害菌の排除、発ガン関連酵素の活性低下などの有用作用が報告されており、有用菌の代表として一般に広く知られています。一方、グアーガム分解物には摂取後に糞便中のビフィズス菌が増加したという研究報告はあるものの、網羅的に検索して評価されたことはありませんでした。
レビュー対象とした研究の特性:1971年~2019年に公開された文献を対象として4つのデータベースを用い、日本語文献検索、英語文献検索ともに2019年10月16日に実施しました。対象集団は健常者とし、グアーガム分解物摂取群とプラセボ摂取群とを比較した試験デザインである1報の文献を評価しました。この文献は原料を販売している企業(太陽化学㈱)が資金提供を行い、第三者機関が実施しました。論文の著者には太陽化学㈱の従業員が含まれます。
主な結果:選定された1報を評価した結果、グアーガム分解物(食物繊維として)3.5gを1日1回摂取することにより、プラセボ摂取時と比較して健常者(下痢傾向者)の糞便中のビフィズス菌が有意に増加することが認められました。従って、グアーガム分解物にはビフィズス菌を増やして腸内環境を良好にする機能があると考えられます。
科学的根拠の質:選定された文献が1報であったため、科学的根拠の一貫性を示すことができませんでした。また、出版バイアスなどの評価には至らず、未報告研究の存在が否定できないことも研究の限界として挙げられます。しかし、採用文献は査読付き論文であり、研究デザインがランダム化コントロール比較試験(RCT)であったため、科学的根拠の質は高いと考えられます。
標題:グアーガム分解物(食物繊維)の摂取が便秘気味の方のお通じを改善する機能に及ぼす影響
目的:健常者(便秘気味の方を含む)に、グアーガム分解物(食物繊維)を含む食品を摂取させるとお通じを改善するかについて検証しました。
背景:グアーガム分解物には、規格基準型特定保健用食品の関与成分として、おなかの調子を整えることを表示することが認められています。しかし、便秘気味の方のお通じを改善する機能に関して網羅的に検索して評価されたことはありませんでした。
レビュー対象とした研究の特性:1971年~2015年に公開された文献を対象として4つのデータベースを用い、日本語文献検索は2015年5月27日に、英語文献検索は2015年5月6日に実施しました。健常者(便秘気味の方を含む)を対象集団とし、グアーガム分解物摂取群とプラセボ摂取群とを比較した試験デザインである2報の文献を評価しました。これらの2文献は原料を販売している企業(太陽化学㈱)と利益相反はない企業により実施されました。また、掲載雑誌に著者との利益相反はありません。
主な結果:選定された2報を評価した結果、1日当たりグアーガム分解物(食物繊維として)5.2gを含む食品を摂取することにより、含まない食品を摂取した場合と比較して、排便回数、排便量が有意に増加することが認められました。従って、グアーガム分解物(食物繊維)は便秘気味の方のお通じを改善する機能があると考えられます。
科学的根拠の質:選定された文献が2報だったため、出版バイアスなどの評価には至らず、未報告研究の存在が否定できないことが研究の限界として挙げられます。採用文献については、試験方法に関して文献中の記述が十分でない箇所があるため、試験方法が適切でない可能性は完全には否定できませんが、いずれの文献も、対象者、被験食、比較するための対照、試験項目が調査の目的に合致したものであり、かつ結果は肯定的であったため、レビュー結果は信頼できるものであると考えられます。
標題:グアーガム分解物(食物繊維)の摂取がやや軟らかめの便を改善しておなかの調子を整える機能に及ぼす影響
目的:便がやや軟らかめの方を対象に、グアーガム分解物(食物繊維)を含む食品を摂取するとお腹の調子を整えるか(便性状を改善するか)について検証しました。
背景:グアーガム分解物は、規格基準型特定保健用食品の関与成分として、おなかの調子を整えることを表示することが認められています。しかし、やや軟らかめ便を改善しお腹の調子を整えるかを網羅的に検索して評価されたことはありませんでした。
レビュー対象とした研究の特性:1971年~2019年に公開された文献を対象として4つのデータベースを用い、日本語文献検索、英語文献検索ともに2019年10月16日に実施しました。対象集団は便がやや軟らかめの方とし、グアーガム分解物摂取群とプラセボ摂取群とを比較した試験デザインである1報の文献を評価しました。この文献は原料を販売している企業(太陽化学㈱)が資金提供を行い、第三者機関が実施しました。論文の著者には太陽化学㈱の従業員が含まれます。
主な結果:選定された1報を評価した結果、グアーガム分解物(食物繊維として)3.5gを含む食品を1日1回摂取することにより、含まない食品を摂取した場合と比較して、やや軟らかめの便を改善する作用が認められました。従って、グアーガム分解物(食物繊維)はやや軟らかめの便を改善しておなかの調子を整える機能があると考えられます。
科学的根拠の質:選定された文献が1報であったため、科学的根拠の一貫性を示すことができませんでした。また、出版バイアスなどの評価には至らず、未報告研究の存在が否定できないことも研究の限界として挙げられます。しかし、採用文献は査読付き論文であり、研究デザインがランダム化コントロール比較試験(RCT)であったため、科学的根拠の質は高いと考えられます。
標題:グアーガム分解物(食物繊維)の摂取が、糖の吸収をおだやかにし、食後血糖のピーク値を抑える機能に及ぼす影響
目的:健常者(食後血糖値が高めの者を含む)に、グアーガム分解物(食物繊維)を含む食品を摂取させると、糖の吸収をおだやかにし、食後血糖のピーク値を抑えるかについて検証しました。
背景:わが国では、近年、糖尿病患者が増加しています。高血糖は糖尿病となるリスクを高めるため、食生活の改善などによる一次予防が求められています。一方、グアーガム分解物の摂取が、糖の吸収をおだやかにし、食後血糖のピーク値を抑える効果について、個々の文献では報告されているものの、それらを網羅的に検索して評価されたことはありませんでした。
レビュー対象とした研究の特性:1971年~2016年に公開された文献を対象として4つのデータベースを用い、日本語文献検索は2016年1月28日に、英語文献検索は2016年2月19日に実施しました。対象集団は空腹時血糖値又は75gOGTT:経口ブドウ糖負荷試験(糖尿病の診断方法のひとつ)の結果が境界型の者または食後血糖が高めの者とし、グアーガム分解物摂取群とプラセボ摂取群とを比較した試験デザインである1報の文献を評価しました。この文献は原料を販売している企業(太陽化学㈱)が資金提供を行い、第三者機関が実施しました。論文の著者には太陽化学㈱の従業員が含まれます。
主な結果:選定された1報を評価した結果、グアーガム分解物(食物繊維として)3gを食事とともに摂取することにより、食後血糖血中濃度曲線下面積(AUC値)および食後血糖のピーク値(Cmax)が有意に低下することが認められました。従って、グアーガム分解物(食物繊維)は糖の吸収を押さえて、食後血糖のピーク値をおだやかに抑える機能があると考えられます。
科学的根拠の質:選定された文献が1報であったため、科学的根拠の一貫性を示すことができませんでした。また、出版バイアスなどの評価には至らず、未報告研究の存在が否定できないことも研究の限界として挙げられます。しかし、採用文献は査読付き論文であり、研究デザインがランダム化コントロール比較試験(RCT)であったため、科学的根拠の質は高いと考えられます。 |