1.「コーヒー豆由来クロロゲン酸類には、睡眠の質(夜中の中途覚醒時間を減らす・起きた時の疲労感を減らす)を高める機能が報告されています。」の機能性に関する評価
(ア)標題
機能性関与成分「コーヒー豆由来クロロゲン酸類」が睡眠の質に与える影響の定性的研究レビュー
(イ)目的
疾病に罹患していない者(未成年者、妊産婦、授乳婦は除く)に、コーヒ豆由来クロロゲン酸類を経口摂取させると、プラセボ(コーヒー豆由来クロロゲン酸類を含有しない)の経口摂取と比較して、睡眠の質が高まるか検証した。
(ウ)背景
コーヒー豆由来クロロゲン酸類の経口摂取が睡眠の質に与える影響を検証するため、定性的研究レビューを実施した。
(エ)レビュー対象とした研究の特性
2019年12月17日に3つのデータベースの開設時から検索日までの情報を対象とし、コーヒー豆由来クロロゲン酸類の経口摂取と、プラセボ(コーヒー豆由来クロロゲン酸類を含有しない)の経口摂取を比較した試験を検索した。検索の結果、2報の文献を採用した。採用文献2報は、疾病に罹患していない者を対象とし、コーヒー豆由来クロロゲン酸類を含有する食品、またはプラセボ(コーヒー豆由来クロロゲン酸類を含有しない)食品を摂取させ、睡眠の質を評価するランダム化比較試験(※)であった。文献はいずれも査読付き論文であった。
(オ)主な結果
採用文献2報のうち1報では、コーヒー豆由来クロロゲン酸類243 mg/日の14日間摂取により、睡眠の質の評価指標である睡眠中の中途覚醒時間と睡眠の効率、および起床時の疲労感と睡眠の質の主観的評価が有意に改善していた。もう1報では、コーヒー豆由来クロロゲン酸類511.8 mg/日の5日間摂取により、睡眠の質の評価指標である入眠潜時(入眠するまでの時間)が有意に短縮していた。2報はいずれもコーヒー豆由来クロロゲン酸類の睡眠の質を改善する効果について肯定的な結果であり、かつプラセボとの有意な群間差が認められたことから、コーヒー豆由来クロロゲン酸類の睡眠の質改善効果は科学的根拠を有すると考えられた。
(カ)科学的根拠の質
出版バイアスは否定できず、不精確も疑いありと評価されたが、バイアスリスク、非直接性、非一貫性は低かったことから、科学的根拠の質は担保されていると考えられる。採用文献2報いずれも疾病に罹患していない者を対象とした試験であり、コーヒー豆由来クロロゲン酸類の睡眠の質改善効果に対する肯定的な結果が得られていることから、コーヒー豆由来クロロゲン酸類は疾病に罹患していない者において、睡眠の質を高める機能性を持つと考えられる。
2.「コーヒー豆由来クロロゲン酸類には、加齢によって衰える認知機能の一部である、実行機能(状況に応じて適切に注意を切り替える力)、認知機能速度(複雑な視知覚情報を認識し、応答し、運動協調する力)をサポートすることが報告されています。」の機能性に関する評価
(ア)標題
機能性関与成分「コーヒー豆由来クロロゲン酸類」が認知機能に与える影響の定性的研究レビュー
(イ)目的
疾病に罹患していない者(未成年者、妊産婦、授乳婦は除く)に、コーヒー豆由来クロロゲン酸類を継続摂取させると、プラセボ(コーヒー豆由来クロロゲン酸類を含有しない)の継続摂取または摂取前と比較して、認知機能が改善するか検証した。
(ウ)背景
コーヒー豆由来クロロゲン酸類の継続摂取が認知機能に与える影響を検証するため、定性的研究レビューを実施した。
(エ)レビュー対象とした研究の特性
2019年12月17日に3つのデータベースの開設時から検索日までの情報を対象とし、コーヒー豆由来クロロゲン酸類の継続摂取と、プラセボ(コーヒー豆由来クロロゲン酸類を含有しない)の継続摂取または摂取前を比較した試験を検索した。検索の結果、2報の文献を採用した。採用文献のうち1報は、疾病に罹患していない者を対象とし、コーヒー豆由来クロロゲン酸類を含有する食品、またはプラセボ(コーヒー豆由来クロロゲン酸類を含有しない)食品を摂取させ、認知機能を評価するランダム化比較試験であった。もう1報は、コーヒー豆由来クロロゲン酸類を含有する食品を摂取させ、摂取前と認知機能を比較する非ランダム化比較試験であった。文献はいずれも査読付き論文であった。
(オ)主な結果
採用文献2報のうちランダム化比較試験である1報では、コーヒー豆由来クロロゲン酸類300 mg/日の16週間継続摂取により、認知機能の一部である実行機能と認知機能速度、運動速度がプラセボに比較して有意に改善していた。もう1報では、コーヒー豆由来クロロゲン酸類259 mg/日の6ヶ月間摂取により、認知機能の一部である実行機能、運動速度、総合記憶力、言語記憶力、総合注意力、認知柔軟性が摂取前に比較して有意に改善していた。2報はいずれもコーヒー豆由来クロロゲン酸類の認知機能を改善する効果について肯定的な結果であり、かつランダム化比較試験においてプラセボとの有意な群間差が認められたことから、コーヒー豆由来クロロゲン酸類の認知機能改善効果は科学的根拠を有すると考えられた。
(カ)科学的根拠の質
採用文献中、ランダム化比較試験は1報のみであったが、バイアスリスク、非直接性、不精確性、非一貫性、出版バイアスはいずれも低かったことから、科学的根拠の質は担保されていると考えられる。採用文献2報いずれも疾病に罹患していない者を対象とした試験であり、コーヒー豆由来クロロゲン酸類の認知機能改善効果に対する肯定的な結果が得られていることから、コーヒー豆由来クロロゲン酸類は疾病に罹患していない者において、認知機能の一部である実行機能と認知機能速度をサポートする機能性を持つと考えられる。
※ランダム化比較試験:評価の偏りを避けて客観的に効果を評価できる試験方法で、信頼性の高い結果が得られるとされている試験方法。 |