1.テアニンの評価(眠りの質を高めること(起床時の疲労感や眠気を軽減))
(ア)標題
テアニンの摂取における睡眠の質の改善機能について
(イ)目的
健常成人に、本品に含有する機能性関与成分テアニンを含む錠剤(テアニンとして200mg)を就寝前に摂取させると、プラセボと比べ睡眠の質が改善するかについて明らかにする目的で、起床時の昨夜の睡眠に関するアンケートや睡眠中の客観的指標について調査した。
(ウ)背景
テアニンの睡眠改善効果について、個々の文献では報告されているものの、それらを網羅的に評価された文献はなかったため、テアニンが夜間睡眠の質を改善するかを結論付けることは出来なかった。そこで、検証が必要となった。
(エ)レビュー対象とした研究の特性
英語文献検索には、PubmedとCochrane Library、日本語文献はJDreamⅢのデータベースを用いて検索を実施した。検索対象は、健常な成人の集団とし、テアニンを摂取しない群と比較した試験デザインであることとした。その結果、最終的に2報の文献を評価した。
(オ)主な結果
評価した2報において、テアニン摂取により、起床時のアンケート調査のうち「疲労回復」、「眠気」の改善については強い関連性が、「夢み」、「睡眠時間延長感」の改善については中程度の関連性がみられた。また、生理学的指標のひとつである睡眠中の交感神経活動の抑制についても中程度の関連性がみられた。これらの指標は、日本人(成人)で標準化された「OSA睡眠調査票(MA版)」の評価項目に含まれていることから日本人の睡眠の質を評価するのに適しているといえ、「疲労回復」と「眠気」の改善に強い関連性がみられたことは良質な睡眠がもたらされたことを示している。以上より、就寝前にテアニンを摂取することは、起床時の疲労感や眠気を軽減し、睡眠の質を高めると考えられた。
(カ)科学的根拠の質
レビューに関してはデータベースに収載されていない文献の存在も否定できない。選定された文献が2報であるため出版バイアスは検討していない。正確性の評価に関してはサンプルサイズが少ないため考慮が必要とされた。エビデンスの一貫性などに特に問題は認められず、エビデンス総体の質はおおむね良好と考えている。選定された2報の文献は食品添加物のテアニンを用いており最終製品に含有する機能性関与成分テアニンと同等である。
2.テアニンの評価(一過性作業にともなうストレスをやわらげること)
(ア)標題
テアニンの摂取は、ストレスを緩和する機能が考えられる。
(イ)目的
健常成人に、機能性関与成分テアニン200mgをストレス負荷前に摂取させると、プラセボと比べてストレスをやわらげる機能があるかについて明らかにする目的で、一過性作業に伴うストレス負荷におけるストレスのアンケートや生理学的指標について調査した。
(ウ)背景
テアニンのストレスを緩和する機能について、個々の文献では報告されているものの、それらを網羅的に評価された文献はなかったため、テアニンはストレスを緩和する機能があるか結論付けることは出来なかった。そこで、検証が必要となった。
(エ)レビュー対象とした研究の特性
英語文献検索には、PubmedとCochrane Library、日本語文献はJDreamⅢのデータベースを用いて検索を実施した。健常日本成人を対象集団としテアニンを摂取しない群と比較した試験デザインである3報の文献を評価した。
(オ)主な結果
評価した3報においてパソコン作業といった一過性作業にともなうストレス負荷においてテアニン200mgの摂取によりアンケート調査でストレスの軽減が見られた。また、ストレスに関連する唾液IgAやアミラーゼのマーカーに関してもテアニンによりストレスを緩和する機能が見られた。以上により、テアニンの摂取は、一過性作業にともなうストレスを緩和する機能があると考えられた。
(カ)科学的根拠の質
レビューに関しては、データベースに収載されていない文献の存在も否定できない。選定された文献についてはCONSORT声明に則って記載された文献は無かったことから、文献の質の限界も考慮すべきと考えられる。選定された文献が3報であるため出版バイアスは検討していない。正確性の評価に関してはサンプルサイズが少ないため考慮が必要とされた。エビデンスの一貫性などに特に問題は認められず、エビデンス総体の質はおおむね良好と考えている。選定された3報の文献は食品添加物のテアニンを用いており最終製品に含有する機能性関与成分テアニンと同等である。
3.米由来グルコシルセラミドの評価(肌のバリア機能(保湿力)を高めること)
(ア)標題
米由来グルコシルセラミド経口摂取が肌のバリア機能(保湿力)に与える影響について
(イ)目的
肌の乾燥が気になる健常者が米由来グルコシルセラミドを経口摂取することにより、プラセボの経口摂取と比較して、肌の保湿力が高まるか否かを検証することを目的として研究レビューを実施した。
(ウ)背景
セラミドは皮膚の保湿バリア機能を果たす角質層の細胞間脂質の主成分である。セラミドは加齢とともに含有量が低下し、乾燥肌、肌荒れなどの原因になることが知られている。セラミドの一種である米由来グルコシルセラミドについても保湿作用が期待されるが、米由来グルコシルセラミドのみを対象とした保湿作用に関する研究レビューは確認できなかった。
(エ)レビュー対象とした研究の特性
レビュー対象とした研究は、感想などによる肌荒れを自覚している健常な男女133名を対象として、米由来グルコシルセラミドまたはプラセボを12週間、経口摂取することによる、肌の角質層から蒸散する水分量(経皮水分蒸散量(TEWL))の変化を評価した日本で実施された無作為化プラセボ対照試験であった。
(オ)主な結果
検索により得られた1件の論文において、乾燥などによる肌荒れを自覚している健常者に、米由来グルコシルセラミド1.8 mgを含む米胚芽エキスを配合した粉末顆粒またはそのプラセボを1日1回12週間経口摂取させた。肌の保湿力を評価するために測定した肌の角質層から蒸発する水分量(TEWL)が、米由来グルコシルセラミド摂取群ではプラセボ摂取群に比較して、上背部、肘部及び頬部では摂取4、8及び12週目に、頸部では摂取4及び12週目に、足背部では摂取8週目に有意な低下(改善)が認められた。
(カ)科学的根拠の質
本研究レビューの結果、乾燥などによる肌荒れを自覚している健常者が米由来グルコシルセラミドを経口摂取すると、全身の皮膚のTEWLが低下することが示された。TEWLは皮膚から体外へ蒸散する水分量であることから、米由来グルコシルセラミドには、肌のバリア機能(保湿力)を高める機能があると言える。なお、文献中で用いられている米由来グルコシルセラミドは最終製品に含有する機能性関与成分である米由来グルコシルセラミドと同等である。本研究の限界は、レビュー対象とした研究は1報のみであり、今後、複数の研究において検証がなされる必要があること、摂取期間が12週間であり、さらに長期間摂取した場合の影響については不明であること、レビュー対象とした研究1報は、信頼性の高いプラセボ対照のRCTであったが、試験途中での症例減少、研究実施計画の事前未登録、製品メーカー関連者が著者に含まれ利益相反のバイアスリスクがあることなどである。
なお、機能性関与成分同士の相互作用の報告は見当たらなかった。 |