<ストレス、睡眠の質に対する機能性>(最終製品を用いた臨床試験)
【標題】
(1)「Yakult(ヤクルト)1000」の一時的な精神的ストレスがかかる状況でのストレスに対する機能性
(2)「Yakult(ヤクルト)1000」の一時的な精神的ストレスがかかる状況での睡眠の質に対する機能性
【目的】
(1)健常な成人男女を対象とし、「Yakult(ヤクルト)1000」摂取が、一時的な精神的ストレスがかかる状況でのストレスの緩和に対して機能性を有するかを検証することを目的とした試験を実施しました。
(2)健常な成人男女を対象とし、「Yakult(ヤクルト)1000」摂取が、一時的な精神的ストレスがかかる状況での睡眠の質への影響に対して機能性を有するかを検証することを目的とした試験を実施しました。
【背景】
厚生労働省e-ヘルスネットに「ストレスによって自律神経系・内分泌系・免疫系のバランスが崩れ、からだの病気が生じる」と記載されているとおり、一時的にストレスがかかる状況下では、精神的な負荷を感じたり、睡眠の質の低下等が起こりやすくなります。現代社会においてストレスは避けて通れない問題であり、精神的ストレスがかかる状況でのストレスの緩和や睡眠の質の向上に繋がる機能性を持つ食品は、日本人の健康維持に役立つと考えます。近年は脳と腸が自律神経系等を介して密接に関係していることや、それに腸内細菌が関わっていることを示唆する報告がなされており、一時的に精神的ストレスがかかる状況でのストレスの緩和や睡眠の質の向上に乳酸菌の摂取が有用である可能性が考えられます。
【方法】
(1)一時的な精神的ストレスがかかる状況でのストレスに対する機能性(査読付き論文2報(①、②))
① 学術試験を受験する4年次の健常な医学部生の男女49名を無作為に2つのグループに分け、乳酸菌 シロタ株(L.カゼイ YIT 9029)を1000億個含む食品(以下、届出食品)または乳酸菌 シロタ株(L.カゼイ YIT 9029)を含まず他の成分は同一の乳飲料(以下、対照品)を、学術試験までの8週間摂取してもらいました。ストレスの程度を質問票(VAS)により確認するとともに、試験8週間前、試験2週間前、試験前日、試験直後、試験2週間後にストレスの指標である唾液中コルチゾール濃度を測定しました(UMIN臨床試験登録ID:UMIN000011926)。
② 上記①と同様に学術試験を受験する4年次の健常な医学部生の男女49名に届出食品または対照品を摂取してもらい、ストレスの指標である唾液中コルチゾール濃度の測定を実施し(UMIN臨床試験登録ID:UMIN000015295)、①も含めた3試験についてプール解析を行いました。
(2)一時的な精神的ストレスがかかる状況での睡眠の質に対する機能性(査読付き論文1報(③))
③ 学術試験を受験する4年次の健常な医学部生の男女49名に届出食品または対照品を、11週間(学術試験までの8週間および試験後3週間)摂取してもらいました。睡眠の質の主観的評価について、睡眠調査票(OSA睡眠調査票)を用いて評価しました。さらに、睡眠時の脳波を測定することにより睡眠の質を評価しました(UMIN臨床試験登録ID:UMIN000015295)。また、別の年度にも学術試験を受験する4年次の健常な医学部生の男女49名に対して同様の試験を実施し(UMIN臨床試験登録ID:UMIN00019116)、2試験についてプール解析を行いました。
【主な結果】
(1)一時的な精神的ストレスがかかる状況でのストレスに対する機能性(査読付き論文2報(①、②))
① 中途脱落およびデータ欠損を除く有効解析者数は、届出食品群23名(男性12名、女性11名、平均年齢22.8歳(21~28歳))、対照品群24名(男性13名、女性11名、平均年齢22.8歳(21~26歳))でした。届出食品および対照品の摂取に起因すると判断される有害事象は認められませんでした。ストレスについて、VASによる評価により、対照群と比較して届出食品群で有意な減少(ストレスの緩和)が認められました。また、ストレス下で増加することが報告されている唾液中コルチゾール濃度は、対照品群では学術試験前に有意な増加が認められたものの、届出食品群では増加は認められませんでした。
② 中途脱落およびデータ欠損を除く有効解析者数は、届出食品群70名(男性38名、女性32名、平均年齢23.0歳(21~29歳))、対照品群70名(男性38名、女性32名、平均年齢22.8歳(21~27歳))でした。届出食品および対照品の飲用に起因すると判断される有害事象は認められませんでした。ストレス下で増加することが報告されている唾液中コルチゾール濃度について、学術試験前に届出食品群では対照品群と比較して有意な減少が認められました。
(2)一時的な精神的ストレスがかかる状況での睡眠の質に対する機能性(査読付き論文1報(③))
③ 中途脱落およびデータ欠損を除く有効解析者数は、届出食品群48名(男性27名、女性21名、平均年齢22.8歳(21~29歳))、対照品群46名(男性28名、女性18名、平均年齢22.6歳(21~27歳))でした。届出食品および対照品の摂取に起因すると判断される有害事象は認められませんでした。睡眠調査票による主観的な眠りの評価において、届出食品群は対照品群と比較して「すっきりとした目覚め」を有意に改善することが認められました。また、脳波の測定による評価では、届出食品群は対照品群と比較して「眠りの深さ」を示す値で有意な増加(質の改善)が認められました。
【科学的根拠の質】
これらの試験は、届出食品の販売元である株式会社ヤクルト本社と徳島大学との共同研究にて実施されていますが、全てランダム化並行群間比較試験であり、科学的根拠の質は確保されていると判断しました。
<腸内環境に対する機能性>(研究レビュー)
【標題】
「Yakult(ヤクルト)1000」に含まれる乳酸菌 シロタ株(L.カゼイ YIT 9029)の腸内環境の改善に関する研究レビュー
【目的】
健常な成人が、乳酸菌 シロタ株(L.カゼイ YIT 9029)を含む食品を摂取すると、それを含まない食品を摂取した場合と比べて、腸内環境を改善するかを確認するために研究レビューを実施しました。
【背景】
腸内細菌は、ヒトの健康状態やQOLに深い関係があることが知られており、腸内環境を改善する機能性を持つ食品は、健常な成人の健康維持に役立つと考えます。乳酸菌 シロタ株(L.カゼイ YIT 9029)は生きて腸まで到達する乳酸菌として知られており、これまでに排便習慣との関係や腸内環境の研究が多く実施されています。しかし、乳酸菌 シロタ株(L.カゼイ YIT 9029)の腸内環境の改善について包括的に調査した研究レビューはありません。そこで、今回、乳酸菌 シロタ株(L.カゼイ YIT 9029)の機能性を検証するため、研究レビューを実施しました。
【レビュー対象とした研究の特性】
公表された論文を対象とし、乳酸菌 シロタ株(L.カゼイ YIT 9029)を含む食品を摂取した場合の腸内細菌叢および便性状の改善を評価している研究について調査しました。メタアナリシス、システマティックレビュー、無作為化コントロール比較試験(RCT)を対象に検索を行ったところ(検索日2018年8月3日)、健常な成人を対象としたRCT論文8報が採用されました。
【主な結果】
腸内細菌叢については、乳酸菌 シロタ株(L.カゼイ YIT 9029)摂取により有用菌であるビフィズス菌と乳酸菌の増加が認められました。また、便性状として、排便頻度、便の硬さおよび水分含量を評価し、乳酸菌 シロタ株(L.カゼイ YIT 9029)摂取により便性状の改善が認められ、乳酸菌 シロタ株(L.カゼイ YIT 9029)を含む食品を摂取することで、腸内環境を改善する機能性を発揮することが示されました。
【科学的根拠の質】
採用された文献が8報あり、肯定的な内容で一貫性のある結果が得られていることから、科学的根拠の質は十分と判断しました。しかし、研究の限界として出版バイアスの存在が否定できないため、今後さらなるエビデンスの拡充が望まれます。
(構造化抄録) |