①アスタキサンチン
<標題>
アスタキサンチンの目のピント調節機能を維持し、目の疲れを軽減する働きについて
<目的>
健康な成人において、アスタキサンチンの継続的な摂取は、目のピント調節機能を維持し、目の疲労感を軽減するかを調査する。
<背景>
アスタキサンチンの目のピント調節機能改善効果については、複数報告されていますが、それらを総合的に評価した報告はありません。そこで、アスタキサンチンの摂取により目のピント調節機能を維持し、目の疲労感を軽減するかを検証しました。
<レビューを対象とした研究の特性>
(公財)日本健康・栄養食品協会の担当者2名が、リサーチクエスチョン「健康な成人を対象とした臨床試験において、アスタキサンチンの継続的な摂取は、プラセボ群と比較して、目のピント調節機能を維持し、目の疲労感を軽減するか?」に基づいて検索式を設定し、3つのデータベース(PubMed、JDreamⅢ、医中誌Web)より文献検索を実施しました。検索により特定された文献を適格基準に基づいて採用文献と除外文献に分別した後、「論文の質」の評価により、一定水準以上の研究レベル(QL3以上)であるかを選択条件としました。採用文献のピント調節機能に係わる目の疲れの改善をアウトカムとして定性的研究レビューを実施し、エビデンスの総合評価を7名の学識経験者からなる機能性評価委員会にて、【科学的根拠レベル総合評価】、【「研究タイプ、質、数」の目安】、【一貫性の目安】についてA~Eの5段階評価で実施しました。
<主な結果>
適格基準に合致するエビデンスとして8報の文献を採用しました。これらの文献はすべて日本で行われた試験でした。アスタキサンチン4~12mg/日の継続的な摂取により、ピント調節機能に係わる目の疲れに有意な改善が認められ、目の疲労感を軽減することが示唆されました。
<科学的根拠の質>
機能性評価委員会における評価結果は、【科学的根拠レベル総合評価】:A、【「研究タイプ、質、数」の目安】:A、【一貫性の目安】:Aであったため質は高いと考えます。
②ルテイン
<標題>
ルテインの目の黄斑部の色素量を維持する機能と目のコントラスト感度改善(視界のぼやけ解消)機能について
<目的>
健康な成人が、ルテインを摂取することで、目の黄斑部の色素量が維持され光刺激から目を守る機能と目のコントラスト感度改善(視界のぼやけ解消)機能について調査する。
<背景>
ルテインの目の視覚機能改善効果については、複数報告されていますが、それらを総合的に評価した報告はありません。そこで、ルテインの摂取により目の黄斑部の色素量が維持されることで光刺激から目を守る機能と目のコントラスト感度改善(視界のぼやけ解消)機能について検証しました。
<レビューを対象とした研究の特性>
リサーチクエスチョンである「健康な成人を対象とした臨床試験において、ルテインの継続的な摂取は、目の黄斑部の色素量を維持する機能とコントラスト感度改善機能があるか?」に基づいて検索式を設定し、3つのデータベース(PubMed、Cochrane Library database、医中誌Web)で文献検索を実施しました。検索により特定された文献を適格基準に基づいて採用文献と除外文献に分別した後、論文の質を評価し、黄斑色素濃度の上昇とコントラスト感度の改善をアウトカムとして研究レビューを実施し、エビデンスの評価を行いました。
<主な結果>
適格基準に合致するエビデンスとして7報の文献を採用し、ルテインの1日当たりの摂取量は、黄斑部の色素密度上昇については10~30mg/日、コントラスト感度改善については6~20mg/日であったことから、ルテインの10mg/日の継続的な摂取は「目の黄斑部の色素量を維持することで光刺激から目を守ることおよび目のコントラスト感度改善(視界のぼやけ解消)」に有効であることが示されました。
本研究レビューの日本人への外挿性について、黄斑部の色素密度上昇の採用文献では6報中5報が海外において実施された臨床試験でありますが、残りの1報は日本人を対象にしていること、5報のうち1報がアジア人を対象にしておりました。また、コントラスト感度改善においては採用した2報ともがアジア人を対象にした試験であることから、どちらのアウトカムについても日本人への外挿は可能であると判断いたしました。
<科学的根拠の質>
本研究のレビューでは、採用論文7報は、RCT試験の査読付き論文であることから質は高いと考えます。 |