1.ビルベリー由来アントシアニン
【標題】
標準ビルベリーエキスに含有する機能性関与成分ビルベリー由来アントシアニン(VMA*以後 VMA と記載)摂取による眼疲労改善作用としての機能性評価システマティックレビュー
【目的】
成年健常人が VMA を摂取した場合に眼疲労が改善するかについて、網羅的に文献調査を行い検証することを目的とした。
【背景】
抗酸化能を有する VMA は眼疲労等の改善作用が期待され広く使用されてきた。しかしながら、成年健常人が眼の健康維持を目的として VMA を摂取することに対して正確な検証はなされていなかった。
【レビュー対象とした研究の特性】
2015 年 5 月 1 日に 2015 年 4 月までに入手した情報から、20-59 才の日本の健常人男女を対象とした、標準ビルベリー果実抽出物を摂取し、眼疲労に対する効果を検証している 3 件の質の高い臨床試験(無作為化比較試験、RCT)を評価の対象とした、うち 2 件は研究レビュー作成者の所属部署による研究である。
【主な結果】
眼に疲労がある成年健常者が VMA を摂取することにより、眼の疲労が改善することがアンケート調査や視機能の検査から明らかとなった。なお、VMA の摂取が原因と考えられる重篤な副作用の報告は見当たらなかった。
【科学的根拠の質】
評価の対象は比較的質の高い臨床試験とされている無作為化比較試験であり、摂取した機能性関与成分の同等性についても厳密に考慮していることから科学的根拠の質は高いと考えられる。しかしながら、効果の指標が統一されたものでなかったことから定性的な評価に留まっており、サンプルサイズの小さい試験や製品関係者による研究を含むなど、バイアスを含む結果である可能性は否定できない。
2.ルテイン
【標題】
機能性関与成分マリーゴールド色素由来高純度ルテイン摂取による黄斑色素光学密度に対する機能性に関する研究レビュー
【目的】
成年健常人がルテインを摂取した場合に目の健康維持に対して効果があるかについて、網羅的に文献調査を行い検証することを目的とした。
【背景】
ルテインは黄斑を中心とする目の網膜に蓄積し、ブルーライトなどから眼を守る光フィルターあるいは抗酸化物質として期待され、広く利用されてきた。しかしながら、成年健常人が目の健康維持を目的としてルテインを摂取することに対して正確な検証はなされていなかった。
【レビュー対象とした研究の特性】
2015 年 3 月 24 日に 2015 年 2 月までに報告された論文から抽出した、日本人を含む 18-70 才の健常人男女を対象とした高純度ルテインを摂取し、ルテインの血中濃度あるいは黄斑の色素量を測定している 9 件の RCT を評価の対象とした。
【主な結果】
成年健常人が高純度ルテインを摂取することにより、ルテインの血中濃度が上昇し、網膜にある黄斑の色素量も増加することが明らかとなった。視覚の中核を担う黄斑や網膜に蓄積したルテインはブルーライトなどの光ストレスから網膜を守ることが強く示唆されている。以上のことから、ルテインを摂取することにより目の健康を守ることが期待できると考えられた。なお、ルテインの摂取が原因と考えられる重篤な副作用の報告は見当たらなかった。
【科学的根拠の質】
評価の対象は比較的質の高い臨床試験とされている無作為化比較試験あり、摂取した機能性関与成分の同等性についても厳密に考慮していることから科学的根拠の質は高いと考えられる。しかしながら、効果の指標が統一されたものでなかったことから定性的な評価に留まっており、サンプルサイズの小さい試験や製品関係者による研究を含むなど、バイアスを含む結果である可能性は否定できない。一方、ルテインは人の体内で生合成されず、食物等から摂取したルテインが生体内に吸収され、血液中から網膜部分にルテインが移行するメカニズムはほぼ解明されている。したがって、ルテイン血中濃度が有意に高い状態を継続することにより網膜部にルテインが蓄積し黄斑の色素量が上昇することは、生体内で起こっているごく一般的な事象であると考えられる。
(構造化抄録) |